「櫻咲くころ」 の店長・小西さんに送られ、2階にある 「Piano Bar TOP WIN」 へ。
迎へてくれたのは、居酒屋の大將か山小屋の番人が似合ふやうな、ヒゲだらけのマスター。
このマスターが、實はピアノ教師でありソムリエであり日本酒の利酒師だといふのだから、人は見掛けで判斷すべきではない。
ピアノバーと云ふからには、かなりオサレな雰圍氣なのだらうと想像してゐた。
しかし、そんな想像はものの見事に肩透かしを喰ふ。
私のやうな人間にとつては、落ち着いて心地好い空間なのだが、彼女をデートに誘ふ店としては少々微妙だ。
じつはこの店のマスターが「櫻咲くころ」のオーナーなので、兩者のメニューはクロスオーバーしてゐる。
片方の店のメニューになくても、もう片方のメニューにあるものなら出前をしてくれるらしい。
でも、マスター曰く、
「下の店は庶民の店なので安い、こちらはブルジョワの店なので高い」
のださうだ。
は?ブルジョワ・・・ですか?
こちらのはうが庶民の雰圍氣なんですけど。
店の奧にはスタインウェイが鎭坐ましましてゐる。
マスターが興に乘るとピアノを彈いてくれることもあるらしい。
しかし、この雜然とした状況はだうよ。
まるで、のだめの部屋みたい。
しつこいやうだが、私はこんな雰圍氣が好きだ。
本日のメニュー。
バーのメニューとしては些か異質である。
とにかくオサレといふ言葉からは程遠い。
こちらは定番メニューのやうだ。
ご覽のやうにパスタとピザが充實してゐる。
バーに來たからには、何か酒を飮まう。
マスターにお薦めを聞いたら・・・・
「お薦めは、ウヰスキーのストレートか日本酒のストレート。カクテルは作れと云はれれば作るけど、面倒だから」
をいをい・・・
で、マスターの無言の壓力に負けて日本酒のストレートを注文。
出してくれたのが、「おでんでん」といふ徳島の酒3種。
せつかくなので3種類とも頂いた。
これはかなり美味い酒だつた。
マスターはこの酒の酒造米を栽培する有志の一人だとのことで、裏ラベルに名前が書かれてゐた。
やはりタダモノではないな。
アテはこちら。
ちやうどタイミングよく宅配便で屆いたところ。
これはなにかと尋ねたら、ベンベン。
ああら、沖繩の鹽辛、沖繩の鹽辛。
これが、かなり鹽辛いものの、美味い。
日本酒がぐいぐいいけてしまふ。
危險なアテだ。
先客は常連の女性。
しばらくして、マスターとは35年來の付合ひといふ男性が入店。
こちらは久しぶりの出張で來たとのこと。
彼らとマスターのやりとりを横で聞いてゐるだけで面白かつた。
BGMでバッハの平均律が流れてゐた。
演奏は私の大好きなリヒテル。
リヒテルの演奏で平均律を聽きながら、沖繩の鹽辛で日本酒を(ストレートで)飮む。
そんな、格好つけない普段着のスタイルで酒を飮める場所なのである。
まとめ。
庶民的な雰圍氣の濃厚なブルジョワの店?
運が良ければマスターのピアノが聽ける。
食べ物は下の「櫻咲くころ」からの出前も頼めるので充實してゐる。
コストパフォーマンス的には下の店で腹を滿してから階段を上るのが吉かと。
カクテルメニューも充實してゐるが、マスターのお薦めはウヰスキーか日本酒のストレート。
マスターはタダモノではない。
とにかく、バーといふ言葉でくくるには異質なバーであることは間違ひない。
リピートするかどうかは、その人の感性がこの店にマッチするかどうかにかかつてゐる。
ちなみに私はまた行きたいと思つてゐる。
<使用カメラ:Canon PowerShot G11>
気に入って頂いたようで・・・
ピアノはリクエストがあればいつでも弾いて貰えます。
但し曲目は限られていますけど。
私は直心の会の後、酔っ払ってから伺います。
お客さんは音楽関係が殆どです。
またお越し下さいませ。
higemasterに代わり御礼申し上げます。
有り難うございました。
いいお店ですね。
ああいふ雰圍氣は性に合ひます。
リラックスできますね。
いつかマスターのピアノを聽かせて頂きたいなあと思つてゐます。
どうもありがたうございます。
>また、失礼の数々、お許し下さい
はて?
何かありましたつけ?
お蔭樣で、とてもゆるりとした時間を過させて頂きましたよ。
また伺ひますので、よろしくお願ひ致します。
じつはGeorgesさんとはまだ面識がありません。
いづれワインや音樂について教へて頂きたいと思つてをります。