今はもうない古書店の主の作に成る歌集。
古書の店 尚古堂と背にはある。この店を知っているのはもう数少ない人しかいないのではないかと思う。こちらの古書店組合の方は知っているとは思うが。
・雪の上に捺したる児らの面型の早く凍れり夕べの風に
・煙草をばタンバコと言ふ穏しかる鼻音のひびき津軽の人か
・震う葉とポプラの語源知りしより何時仰ぎても葉はそよぎゐる
・戦(いくさ)より帰りしは義重とわれとのみ健吉・房吉戦ひ死にき
・地の暗き柩の中にしんかんと座りて在す母をし想ふ
・とむらひのあと仄暗き納屋に来つ母の襁褓のまだ乾かされゐる
以上は三浦綾子さんによる『「帯」にかえて』からの三浦綾子さんの選になるものだ。
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金坂氏は宮柊二氏に師事していたようだ。
その宮柊二氏は北原白秋門下だったような気がする。その扉で紹介されている宮柊二氏の歌
・大雪山の老いたるきつね毛の白くかはりてひとり径をゆくとふ
「白い毛の老狐の歌は、宮先生の自画像であろうと人々に噂されています」と後書きにある。
・古書の塵払ふと起てば店奥へ雪のひかりは乱れ溢れぬ
・古書を購ふよろこびありと指折りて嬉しきことを老はなされき
・一冊の古書に執するわが性(さが)をビブリオマーヌと人は蔑む
・めくらるる古書それぞれの紙の音しづかに店の奥に聞こゆる
・憎からぬ書込みあればしばしばも持主偲ぶ古書めくりつつ
以上はおいらの好みで引いてみた歌だ。
歌をどのくらい理解できているかは不明だが、それでも好みはある。
この古書店のおやじさんが歌を詠む人でなければ、おいらは歌集などは全くてを触れなかったと思う。
以前のブログで宮修二と書いていたが宮柊二の誤りでした。訂正します。