鳩山首相は「労働なき富」という引用について、行き過ぎたマネーゲームや金融資本主義のことを言ったのであって自らの贈与問題は含まないと述べたそうだ。随分と強引な解釈だが、たしかに我が国では首相と同様、相続の格差より所得の格差ばかり問題にする風潮があるようだ。
しかし、いつの時代も不平等の根源は贈与・相続だ。貴族も大地主も財閥も、相続がなければ成立しない。格差を問題にするなら、派遣労働を禁止したりするより、まずは相続について考えるべきである。
戦後の日本では経済的格差が少なかったが、これは敗戦によって資産がいったんリセットされたからだ。戦前の貯金や国債は千倍を超えるインフレによって紙くず同然になり、株は暴落し、農地解放で地主は土地を失った。いわば皆がゼロから出発したから、しばらく相続格差があまり生じなかったのである。
ところが平和な時代が続いた結果、今では全国の相続額は毎年80兆円にも達するようになった。しかし相続税は極めて低く、6千万円位まで無税である。普通の人が働いて貯めるには一生かかる金額だ。さらに多くの特例もあるから、都市部では数億円くらい無税で相続できることもある。それだけあれば一生働かないで食べていけるだろう。
この状況が続けば国民間の格差が拡大・固定化されていくのは目に見えている。今まで深刻な格差が生じなかったのは、資産格差がまだ十分に蓄積していなかったからだ。このままいくと日本も徐々に、欧米や戦前日本のような真の格差社会になっていくだろう。
関連:低すぎる相続税
しかし、いつの時代も不平等の根源は贈与・相続だ。貴族も大地主も財閥も、相続がなければ成立しない。格差を問題にするなら、派遣労働を禁止したりするより、まずは相続について考えるべきである。
戦後の日本では経済的格差が少なかったが、これは敗戦によって資産がいったんリセットされたからだ。戦前の貯金や国債は千倍を超えるインフレによって紙くず同然になり、株は暴落し、農地解放で地主は土地を失った。いわば皆がゼロから出発したから、しばらく相続格差があまり生じなかったのである。
ところが平和な時代が続いた結果、今では全国の相続額は毎年80兆円にも達するようになった。しかし相続税は極めて低く、6千万円位まで無税である。普通の人が働いて貯めるには一生かかる金額だ。さらに多くの特例もあるから、都市部では数億円くらい無税で相続できることもある。それだけあれば一生働かないで食べていけるだろう。
この状況が続けば国民間の格差が拡大・固定化されていくのは目に見えている。今まで深刻な格差が生じなかったのは、資産格差がまだ十分に蓄積していなかったからだ。このままいくと日本も徐々に、欧米や戦前日本のような真の格差社会になっていくだろう。
関連:低すぎる相続税