クマツヅラ科には流行りの園芸花、バーベナ、ランタナ、デュランタ、などがあり、家元にあたるクマツヅラとはどんな花なのか? 今の一般人には知らない人が多い。農村部に住む、あるいは今の場所がまだ農村であったころを知る、かなりの高齢者ならわかる。そんな感じがする。実際に、郊外の町にまだ残る田んぼ脇の草むらや、小川の堤防あたりで見かけることがある。しかし少しだけで小さくて目立たない。雑草として、踏まれて、刈られて、束の間の命。
分家にあたるヤナギハナガサは、あちこちに顔を出し、大きくてよく目立つ。最近は外来のアレチハナガサが道路脇などで増殖してきている。
子孫はバーベナの名前で園芸種が花盛り。世界中からやってきて養子になり、混血の園芸種を産んでいる。
撮影日: 2016/08/23
何事にも始めがあって、科学アカデミーによるラテン語の学名に和名を付けるにあたり、その時点での日本の植物環境から適する植物を探し、その名を充てるのは自然なこと。だが時の流れがあり、植物の生育環境が失われ、園芸が普及し無限に新種を作り出す時代になった昨今では、和名のありかたがこのまま永続するとは思えなくなってきている。
情報整理のための基礎情報として「科」や「属」を押さえておく必要はあるが、慣れてくるにつれ、それらは参考情報として意識の脇に移っていく。花の名は、多くはその名の付いた時代の流行であり、あるものは例えば歌舞伎の名跡のようなものなので、興味が湧けば自然に受け入れ、なければ知る必要もないものと割り切ったほうがいい。今は莫大な情報の中から、自分の生存に必要なことを確かに捕まえることこそ重要で、博識をふるまうことも、生きるために必要な人や、それが大好きな人にとっての必要ということになる。