ずっと前に見たテレビのサスペンスで「あのユリの花は、カサブランカではなく、テッポウユリでした」というセリフがあったのを覚えています。そしてそれが真犯人を追いつめることになったような気がします。
このユリが何というユリなのか、見た目ですぐにわかる人は、よほどのマニアか専門家の先生です。
これは娯楽を主目的としたサスペンスで、緻密な展開を求めるものではないので許される話で、普通の人なら「あーそうか」で済むのですが、花をよく知る人なら「え?」となりそうです。本格的な推理小説派の人は「だからだめなんだ」となるかも知れません。
カサブランカとテッポウユリの対比はいかがなものかと思えます。カサブランカをはじめとするハイブリッド系やスカシユリ系の園芸種は普通の人にはなじみが少なく、テッポウユリは野でも鉢植えでも花瓶にさしても日本人の多くにわかりやすい花です。
カサブランカと言葉にする人は、ユリをとてもよく知っている人か、わからないけれど普段見る機会が少ないおしゃれなユリだと思うかです。もちろんテッポウユリも園芸種として多彩ですが、それを見てカサブランカとは言いそうにない。
とはいえ、娯楽を求める一般人には難しい知らないは楽しくない。何となくではあっても覚えのある名前であれば拒否感がない。そのあたりを計算した上でのことなら、それはそれで大した巧みな技なのかも知れません。
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