月読命

すももが好きなアニメで貴腐人的な妄想話&日々の出来事等

かぜひきさん ①

2008年12月30日 22時48分02秒 | チビ15 SS
▼月◎日 晴れ

「くしゅ…くしゅん………うきたけしゃんときょ、いっちくりゅ…ケホンッ…
 クシュン」
「テッサイ」
「承知。…黒崎殿、失礼致します」
私はテッサイに声を掛けると、出掛けようとしていた一護さんを抱き上げ、私の
方へ連れて来る。

「……風邪のようですね、熱があります。 一護さん、四番隊に行きましょう。
 だから浮竹さんのところに行くのは諦めて下さい」
「うきたけしゃん、やくちょくちた」
テッサイから下ろして貰おうと一護さんは、足をバタバタさせる。
「一護さん、浮竹さんは治らない肺の病気を患ってられます。風邪を引いた
 一護さんが行って、浮竹さんに風邪が移ったりしたら命に関わってきます。
 私の言っている意味、分かりますか?」
「うきたけしゃん、いちごいちゃら、ちんじゃうの?」
「今の状態の一護さんが行けば、そうなる可能性はあります。だから一護さん、
 卯ノ花さんのところに行って早く風邪を治しましょう」
「……ぅん」
テッサイから一護さんを受け取り、後の事をテッサイに任せ、私は四番隊隊
舎へ向かった。



「咽の奥が赤くなってますね。熱も出始めているようです。勇音、注射の
 用意を。 一護さん、チクリと痛みますが、明日には楽になるので我慢し
 て下さい」
「……ィャ……」
注射器を見た一護さんは口をヘの字にし、眉間に皺を寄せ、ギュッと私の
袴を握り締め瞳を閉じ、頭をプルプルと振る。
「一護さん、早く風邪を治さないと浮竹さんのところに行けませよ?注射を
 して、じっと養生していたら2・3日で治るはずです」
「………ちゅる」
「流石、一護さん。早く治して浮竹さんとの約束守りましょうね」
一護さんを抱き上げ、背中をトントンとしている間に卯ノ花さんに注射して
貰った。
勇音さんに一護さんを任せ、一護さんに飲ませる薬の説明と今後の状況に
ついて卯ノ花さんから説明される。
「今夜にでも熱が上がると思われますので、汗をかいたままにすれば治る
 ものも治りませんので、着物を着替えさせて下さい。あと水分補給も忘れ
 ずに。薬は液状飲み薬を三日分ご用意致しますので、毎回食後に飲んで
 貰って下さい」

薬を渡され、部屋を後にし一護さんを自宅へと連れ帰り、蒲団に寝かせる。
「一護さんの風邪が治るまでここに居ますよ」
「ほんちょ?」
「嘘ついたら、針千本飲みましょうか?」
一護さんは首をプルプルと振り、<ケホンッ、ケホンッ>と咳込む。
「さぁ、体を休めて眠って下さい。目が覚めたらご飯にしましょう」
寝付くまで一護さんの髪を撫でてあげた。



「一護さん…一護さん」
「んんっ~」
「起きれますか?……まだそんなに熱は上がってませんね」
額をコツンと突き合わせ、一護さんの熱を確認する。
「テッサイが夕食にお粥を作ってくれましたよ。それにだし巻きも。
 …食欲が無くても、少しだけでも食べて下さいな」
起き上がった一護さんの肩に私の羽織りをかけ、お粥をすくったレンゲ
にフーフーと息を吹き掛け冷ますと一護さんの口元に運んだ。
「どうですか?まだ食べられそうですか?」
「ちゃべりゅ」
「食欲はあるみたいですし、大丈夫そうですね」
一護さんはお粥とだし巻きを半分以上食べ、四番隊から貰った飲み薬を
飲むと再び蒲団へ寝かしつけた。
一護さんが眠っている間に、たまっていた資料を纏める為自室で仕事を
する事にした。

「……け……ゅけ…きしゅけ」
「一護さん!? どうかしましたか?具合、悪くなったんっスか!?」
「ちあう……クシュン!」
「一護さん、早く部屋に入って下さい。…どうしたんですか?あんな
 所にいたら風邪が悪化して、浮竹さんのところに行くのが遅くなって
 しまいますよ」
襖を開け、廊下に立っている一護さんを私の部屋に招き入れた。
何故部屋に来たのかを尋ねても一護さんは口をギュッと閉じ、俯むいて
しまう。

「私の部屋は寒いですから、一護さんの部屋に戻って蒲団の中に入り
 ましょう」
一護さんを抱き上げ部屋に連れて行き、少し熱が出始めたのか、汗を
かいた着物を素早く着替えさせると蒲団に寝かせた。
瞳を閉じた一護さんを見ていたが、資料整理の続きをする為、部屋に
戻ろうと立ち上がると…
「ぎじゅけ?…ケホッン、ケホッン」
「苦しいっスか?」
首を振るが、熱で一護さんの瞳が潤んできていた。
「水分補給しておきましょう、一護さん」
枕元に用意されていた水を一護さんに飲ませた。
「さぁ、眠って下さい」
蒲団の横に座り直し、一護さんの髪を撫でる。

そぉっと立ち上がろうとしたら、袖が何かに引っ張られる。
「…ぎじゅけ?ケホンッ……ぢょこいぐの?」
「何処も行きませんよ、一護さん。さぁ眠って下さい」
掠れた声で尋ねる一護さんに微笑み、私の袖を握っている小さな手を
ポンポンと叩くと一護さんは頷き瞳を閉じた。

体が弱っているせいか、いつもは見せない弱気な姿を私に見せる。
「早く良くなって、元気にしているアナタを私に見せて下さいな」
寝息をたてて眠る一護さんの手の中に私の指がギュッと握られていた。


この私が看病をする日が来ようとは、思いもよらなかったっスね。



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もぉ少し、続きます。(^_^ゞ



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