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中国の失業者の増大ぶりは燎原の火の如く   すでに未曽有の混乱が労働市場で起きている

2020-05-12 09:42:50 | 宮崎正弘メルマガより。
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「宮崎正弘の国際情勢解題」 
令和2年(2020)5月12日(火曜日)
       通巻第6496号 
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 中国の失業者の増大ぶりは燎原の火の如く
  すでに未曽有の混乱が労働市場で起きている
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 前にも書いたが、ことし中国の大学新卒者は847万名!
七月卒業を控えるが、半分に職がなく、さらに内定取り消しが陸続としており、いや新職場に行ったら、倒産していた、工場は閉鎖されていた。金払えと労働者が座り込んでいたという光景があちこちに繰り広げられている。苦労して、親のすねをかじって、大学を出ても、そこにあるのは絶望だった。

 過去三十年ほど、農村からの出稼ぎが都会の工事現場を支え、ミシン工場など労働集約型製造業をささえ、労働力の需給は安定していた。労働者の争議、暴動は警官隊が出動して抑え込んできた。

 学園都市では学生の復帰を待っており、工場は労働者の帰還をまっている筈だった。
 工場閉鎖、企業倒産は米中貿易戦争の激化とともにみられたものの、コロナ災禍以後は、未曽有の危機的状況となって失業者が街にあふれ出したのだ。

 中国に於ける失業保険は戸籍にしたがって加入が認められる。たとえば上海戸籍で上海の企業に勤務していれば失業保険に加盟できるが、他省から出稼ぎに来る労働者は失業保険に加盟できない制度となっている。統計に従うと中小企業は凡そ1億5000万。雇用する労働者は1億7400万人。具体例で言えば中華料理レストランのオーナーと給仕、仲居さんなどの関係であり、このサービスセクターの失業もほとんどカウントされない。

 そのうえ失業保険の加盟資格は16歳から59歳まで、となっており、15歳以下の女工や60歳以上のひとたちも失業保険の対象外。こうしたトリックのもとで、過去三十年、中国の失業率は4%−5%台を安定的に推移してこられた。

 中国の公式統計による失業率は、二月に6・2%に跳ね上がり、三月に5・9%に戻したが、都会部では2600万人の失業が計上された。くわえて18・3%の労働者が賃下げ、もしくは賃金不払いに直面していた。

 1億2300万人が都会の職場に戻ったが、まだ5000万人が農村から都会へ出稼ぎに行けないという状態が旧正月明けから続いている。コロナによる都市封鎖、交通アクセスの消滅、列車もバスも動かなかった。いまさら都会へ出ても、職がないことは明らかであり、農村部に留まる労働者が膨れあがっている。

 製造業で、サプライチェーン関連に働く労働者は1億14000万人である。輸出激減により、この部門でも相当数の失業がでることは明らかである。
 レストランは家族経営が多いのでデータが不備だが、観光、ホテルなどサービスセクターでは雇用が望めない。職場復帰が出来ているのは製造業だけ、ただし賃下げに遭遇している。

 観光関係のホテルは20%の従業員をすでにレイオフした。年内に国内流行が回復しても40%の従業員は職場に戻れないだろう。とどのつまり、都会部だけで、およそ2000万人が完全失業となる。ここで日本企業をふくめて外国企業が中国から撤退すると、失業者の数はもっと、もっと肥大化して増えていくだろう(以上の数字はサウスチャイナモーニングポスト、2020年5月10日)。


  ▼アメリカの失業は大恐慌時代のレベルに悪化

 米国企業は不況となると、すぐにレイオフする。「君、私物を畳んでいますぐ出て行け」と冷酷に言い放たれる。
 非常事態宣言後、わずか七週間で米国の失業保険申請は3350万人(ブルームバーグ、5月7日)。まさに1930年代の大恐慌時代のレベルに悪化している。

 日本はどうか。温情主義とすぐに馘首できない経営土壌は、これまで「社内失業」として扱い、まずは派遣社員の契約解除だった。派遣社員は多くが路頭に迷い、この列にフリーターが加わる。いずれも失業保険に(積み立てるカネもなければ中小零細企業は失業保険そのものに)入っている会社は少ない)。
 二月現在の日本の失業率は2・4%である。米国と比べると低いが、いつまで、この数字を維持できるだろうか?
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