筑後川の日本人。

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宮崎正弘のメルマガよりの2,050脱炭素という、時代が本当に来るのか?

2021-01-01 19:38:03 | 初心者のブログ作成

正弘の国際情勢解題」  令和三年(2021)1月2日(土曜日) 通巻第6748号   〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
 「2050年 脱炭素」という時代が本当に来るのか    日本の政財界は、環境ビジネスに本腰を入れているが。。。。 ***************************************
 日本は2050年までに「脱二酸化炭素」を宣言した。「カーボン・ゼロ」が新しい日本の目標となったのだ。  歴史的巨視から見ると、第一次革命となった農業分野の改革改良と飛躍的生産から第二次が蒸気機関の発明による産業革命だった。第三はアルビン・トフラーの『第三の波』に予告されたごとく、IT、通信の大変革による通信革命だった。であるとすれば、カーボン・ゼロは「第四の革命」となる。大袈裟に考えなくとも、地球温暖化の異常現象が目の前にあって、人類はコロナの渦中にあっても、前を見続けることは重要である。
 日本が世界覇権を目指さない平和国家、福祉国家の建設を目指していることは戦後史を振り返れば明瞭だが、このためにパワーの配分が偏在的となって、主要産業は鉄鋼、造船、自動車から、なんと「介護」となった。国家予算107兆円の三割強が福祉医療介護である。防衛予算はGDPの1%以下、とてもまともな国家ではない。  日本には防衛産業が不在で、宇宙航空産業分野へも、米国の監視網があって、独自に乗り出せば、三菱重工の新型中距離旅客機の頓挫という事態に遭遇する。
つまり日本の産業競争力は偏在している。だから総合力が弱い。  自動車産業だけは依然として世界のトップにあるものの、次世代EV競争となると、日本の安泰は続かないことになる。たとえ、EVに現時点では多くの欠陥があるにせよ、世界の合意は「2050 脱炭素」である。
 昭和四十年代までに成し遂げた鉄鋼の復活も、造船も新興国に追い抜かれ、さらに脱炭素社会が実現すると仮定すれば、日本で自動車鋼板が生産できなくなる日がくる(環境保護を叫ぶ人たちは鉄鋼産業の廃業を視野に主張しているのだろうか?)。  
 ともかく敗戦後の日本は臥薪嘗胆を経済力の復活にもとめ、五輪、新幹線、高速道路の配備を達成した。工業の先端を走っている間に、金融改革で独自色を出せずに米欧ばかりか、中国の猛追を受けた。通貨戦争は完敗だった。  産業のコメといわれた半導体は、日米半導体協議によって、世界一の座から引きずり下ろされた。あの日本のGDP世界第二位という黄金の日々は幻想の闇に消えつつある。

 ▲町から書店も激減し学生が本をよまない時代
 スマホ時代がやって来た。  同時にスマホは若者の思考力、想像力を奪った。またスマホによって地上波テレビは衰退し、新聞は読まれなくなり、教養の源泉とされてきた活字世界は遠くに去り、辛うじて漫画本で書店経営がほそぼそと成り立つ。 学生街から書店も激減し学生が本をよまない時代がきた。
 次世代通信は5Gを超えて、次々世代の「6G」開発で、ようやく日米英の足並みが揃ったが、総合力では日米独走とはいかず、ファンドリーでは台湾に敗れ、量産では韓国が勢い、中国の半導体自製化プログラムも猛烈な勢いを見せてきた。  
 いまひとつ。EV(電気自動車)競争では、中国が飛び抜けて首位を走るが、米国は冷ややか、日本は「2050 脱炭素」を念頭に、やや中途半端な取り組みである。  ところがバイデン政権が出現してパリ協定復帰を公言している以上、アメリカはシェールガス開発が頓挫し、ふたたび原油とガスの輸入国に転落することになる。
 日本が独走していた筈の電池技術もいつしか比較優位というポジションになった。これらは中国が日米から機密情報を盗み、ノウハウを得るために優秀なエンジニアを大量にスカウトしたからだった。
 読売新聞(2021年1月1日)の一面トップは「中国千人計画に日本人が44人」という驚くべき記事である。戦後教育と偏向報道により日本人エンジニアが 中国に協力することが売国的という認識は完全に欠落している。この政治センスの無さ、国際情勢を判断できる情報力の欠如は、致命的とさえ言える。中国の軍民融合に協力することは売国奴である。しかし日本の文科省予算では十分な研究が出来ず、中国の厚遇ぶりと、学生を育てるという使命感が先に立つというのだから、日本への愛国心欠如への後ろめたさが皆無。日本の予算が少ないという不満は論理のすり替えである。
 ところが、EVの欠点が明らかとなった。 北日本から北陸を襲った大雪、豪雪により、高速道路が寸断された。数千台のトラックが動かず物量が中断するという新しい危機を目の前にみた。地球温暖化ではない。EVが各所で燃料切れを起こし、その限界が露呈したことである。 電池技術が未完成のレベルになり、充電スタンドが圧倒的に不足しているという現実は、おそらくガソリン車全廃となっても、ハイブリッド車の優位が続くだろう。

 ▲脱炭素なら原発再活用しか手立てはないのではないのか?
 だが脱炭素の流れは止まらない。  三井物産は「石炭火力の海外撤退」を前倒しする。海外五ヶ国で三井物産は火力発電事業を展開してきた。ほかに三菱商事、丸紅、伊藤忠、住友などが石炭火力の発電所プロジェクトを展開してきたが、石炭は時代遅れとばかりに、ます三井物産が撤退を表明した。  火力発電は石炭の他に重油を燃やす発電所もあり、日本の電気はこれらに支えられている。
 福島原発事故によって日本中の原発発電がとまった。  この十年、奇跡的に水力と火力に加え、風力、太陽光パネルに切り替えてなんとか、電力供給を維持してきた。しかし誰も電力会社に感謝しない。  EVは電気がないと使い物にならない。電力の安定供給は既存の水力、火力に風力、太陽光、地熱をくわえても不足するのは火を見るよりも明らかだろう。
 「脱炭素は原発を活用するしかない」と中西宏明経団連会長は明言している。「人類の智恵である原発をうまく活用しないとまずい」とし、サステイナブルキャピタリズムの機軸になるとしているが、まさに原発の再稼働がない限り、従来型の経済発展も無理である。こうした重大な基礎用件を、メディアはなぜか伝えない。
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