紫苑の部屋      

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ボルベール(帰郷)

2007-07-05 21:37:30 | 映画
スペイン映画、2006年
ペドロ・アルモドバル監督の女性讃歌3部作の最後ということらしい。
ペネロペ・クルスが主人公、映画の中で化粧をばっちし決めると、情熱的なスペインの女性になる。
volver.gyao
その母親役のカルメン・マウラという女優さんは、この監督の作品の常連らしい。
2006年カンヌ映画祭で、この映画6人全員が女優賞を受賞している。

スペイン中央部のカスティニャ地方(王国だった)の州ラマンチャが舞台です。
あのドキホーテの故郷ですね。監督の故郷でもあるのです。
映画は、今は風力発電の鉄塔が立ち並ぶ風景を、繰り返しみせています。
監督の故郷でありながら、誰もの心の風景でもあるような、そんな大地です。
ボルベールというのは、古い馴染みのあるタンゴの名曲のようです。
主人公の女優さん、歌姫でもあります、魅力的な歌です。
↓公式サイトで聴けます。
volverHP


冒頭で土地の女たちが一生懸命お墓を磨いています。
ゴシゴシときれいきれいして、お花もいっぱい、
みんな楽しそうなのです。壮観な眺めです。
マドリッドに住む姉妹も全員総出です。
この地方の風習なのですが、
大地に帰っていく死生観とでもいうのでしょうか、
これが同時にこの映画の伏線でもあるのね。

直視できないような生々しい現実があるのですが、
それはなんだか、小さいことよ、なんとかなるものよと、おおらかな気持ちになってしまう。
浮気な男たちだけでなく(映画に出てくる男優たちはみなただ筋書き上必要なだけの存在です)、
殺人も放火も、近親相姦も、
母なる大地と大いなる母ごころが、
すべて包み込むような、そんな気持ちになって、見終わるのです。
15、6役の女の子(20ぐらいなのね、小柄だからもっと若く見える)も含めて
5人の女たち(受賞は伯母さんも入ったのですね)のそれぞれの存在感ある演技に、
全員に最優秀賞をあげたくなった審査員の気持ちわかります。
 (07/7/4 六本木TOHOシネマズ)




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2 コメント

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アルモドバル万歳 (Sa)
2007-07-26 22:51:29
sionさん、こんにちは

このボルベール、実に逞しくあったかい映画でしたね。
そうそう、あの冒頭のお墓磨き~生前にお墓を作っておいて、手入れしておくのが、ここの風習なのよ、なんてところから始まるんですよね。

は~~。とためいきついて映画館を後にしました。
あの娘役の女優さん(ライムンダ=ペネロペの娘役ね)は、最近、よく見かけます。これから着実に存在感のある女優になっていくような気がしますね。

「神経衰弱ぎりぎりの女たち」を見たいなあと思っています。
返信する
Unknown (sion)
2007-07-28 19:06:34
「神経衰弱ぎりぎりの女たち」ですか、
女シリーズ、いいですね。
アルモドバル監督の他にも見たかったので、探します。
TUTAYAには置いてないでしょうねー。
WOWOWとか、BS注意してましょう。

娘役の女優さん、あの年齢であの存在感、確かに…。
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