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映画「幻影師アイゼンハイム」の謎解き

2008-06-03 20:25:11 | 映画
19世紀、世紀末の閉塞感と、
ハプスブルグ帝国の崩壊直前の憂鬱、
そこに幻影師が妖しい摩訶不思議な奇術で全編を煙に巻きます。

この映画を観に行こうと思ったのは、
沢木耕太郎さんの新聞の映画時評、
おおよそのトリックが予想されていたので、
もっぱらどこからマジックになるのか、を当てっこする、
そんな見方になります。
もしかしたら、何にも予備知識ないほうが、
映画の中で警部が、走り去る列車を追っかけながら、
ふと、すべてのトリックに気がつく、のと同時進行で、
醍醐味が味わえたかもしれません。
でも、ある程度内容がわからないと、映画館に足を運ぼうとはしないだろうし…、
難しいところです。
できたら、最後のどんでん返しをほのめかすような記事は押さえて、しかも行きたくなるような名文を工夫していただきたいなー。

さて、映画のなかでさまざまな奇術が披露されますが、
映画だからこそできちゃう、のかなー、と思いきや、
パンフを見てみると、驚きです。
すべて本物の古典的な奇術、なんです。これは感動ものです。
パンフには、一部閉じられたページがあり、
映画を見てから切り開くように、との指示があります、
これ、気に入りました!

オレンジの木、という奇術、
つまり、タネから芽吹くところから始まって、
幹になり枝が伸び、オレンジの実がなる、もちろん食べられる、
これ、古典的な奇術、
警部の手元に残されたその図面、驚くべき“オレンジ仕掛け”?!
本当は図面など残されてなくて、奇術だけが伝わっているようですが、
これは、アイゼンハイムの仕事場が木工職人のそれのように見えたのが、ヒントだったのですね。

警部役の俳優さん、絶妙の演技で楽しませてくれました。
さて、彼の目に写ることをトリックのタネにしている、それが面白い!
彼は目撃した、そして彼はある行動を起こす、これが物語を大きく動かし、
マジシャンの手のうちになっていく、
かれの見た幻影が、謎解きの重要なカギ、なのね。

しかしその先が問題、謎解きが丁寧でない、
観客はわかるのです、
でも、警部自身がどこをどう解きほぐしてトリックに気がつくのか、
ここが映画の中ではっきりしないのね、
見終わって、ちょっと腑に落ちない。
オレンジの木の図面を渡すけど、これ自身は彼にはヒントにならないのよねー?!
うーん、もしかして、わたし、トリックの中にまだいるのかなー!?

2008/5/31 日比谷シャンテシネ アメリカ・チェコ映画

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