day by day

癒さぬ傷口が 栄光への入口

「魍魎の匣」

2008-01-25 | エイガ。
「姑穫鳥の夏」にひきつづきシリーズ第2弾です。
前作の実相寺昭雄監督の他界に伴うものなのか最初からそういう予定だったのかは知りませんが、今作は原田眞人監督がメガホンをとってます。
で、キャストはほぼ前作から踏襲、関口巽役だけが何故変わったのかと思ったらどうも永瀬正敏の病欠によるもののようです(wiki調べ)。




原作は言わずもがな京極夏彦なわけなのですが、前作以上に(ボリューム的な意味も含め)映像化はどうなのかと思ってた作品でした。
なので、見る前に原作を読み直すというのは封印しました。
暫く読んでなかったので、細部はけっこう忘れていたので


───正解でした(笑)。


魍魎の匣 公式サイト


今回はネタバレしないように書いておきます。

原作を頭から全くとっぱらい、登場人物も、名前が同じだけで原作を読んで作り上げた自分の中のイメージとは全く別人だと思いこんでから見る。
原作を好きな人ほどそういう見方をした方がよさそうな作品でした。
そうやって見ればけっこう映像的にも面白いし美しいです。

ロケは上海とその郊外で行われたらしいのですが、もう「これを戦後の東京に見えるようにやろう」というような考えはさらさらなく、いっそ潔いまでにそのままの風景で撮ってます。
ここまで思い切ってやられると、これはどこか知らない異空間、この世界ではこれが東京…と納得せざるを得ないような感じです。
同じようなことが役者さんたちにも言えるというか、生き生き演じられてるのを見ていたら「まあ、この映画・この監督の解釈ではこういう人物像なんだからしょーがないやな」と思えてきます。
原作者もそれで納得してるようですし。
たとえ京極堂が血圧高そうでも、
エノさんが全然マトモな人で探偵活動も真面目にやってたとしても、
木場修が卑屈そうでも、
関口が妙に貫禄あって堂々としてても、
敦っちゃんが頭悪そうでも、
青木君が男前でも、
鳥ちゃんがおっさんでも、
久保峻公がクドカンでもです。<くどい


ただ、そうは言ってもどこか原作を知らないと理解しづらい部分もあるような気がして。
展開が忙しすぎて何を描きたいのかがとっちらかってしまったように感じました。

あそこまで思い切ってイメージ破壊してくれるわりに、そうやって何を主題に描きたいのかがよくわかりません。
そのくせ「これは大事なんじゃないのか?」と思うモノをカットしてみたり何の説明もなく挿入してみたり。なんかどっちつかずじゃないかな?


原作では第一エピソードで出てくる少女達の物語が、ごく簡単に触れた程度にしか出てこなかったのですが(………おかしいな?)
その場面(凧はともかく)がこの作中で一番私のイメージに近かったのでもう少し見せて欲しかった、惜しいなと思います。



しかし久保峻公は私個人的には、稲垣吾郎か及川光博にやって欲しかったんですが、宮藤官九郎がびっくりするくらい嵌ってたので自分のイメージの貧困さをちょっと反省しました。
3人(京極堂・関口・榎木津)が一斉に喋る場面とか私は大好きかも。
別エピソードが途中で不意打ちに交わったりするのも好きな手法です。
という感じで面白くはあったものの、やっぱ
「せわしないな~~~」
というのが一番大きな感想だったかな。


もうそろそろ公開も終わるかと思いますが、原作ファンでまだ見てない人は「原作を忘れていく」覚悟でご覧になることを強くお勧めします。
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