シンガポールから帰国して10日が経ちました。シンガポールの記憶を整理するために、いろいろと書いておきたいと思いながら、14日間の自宅待機の期間もすでに半分以上が終わってしまいました。
記憶が鮮明なうちに書いておきたいと思っているのは、シンガポールを夜の飛行機で出発するその日にも訪問したSingapore Coffeeというカフェのことです。
そのカフェは、シンガポールのラッフルズホテルの敷地内の一階にあり、ノースブリッジロード側からも、中庭(コートヤード)側からも入ることができました。
私たちが夫婦で最初にその店を訪れたのは、11月5日の昼下がりのことでした。ノースブリッジロードに面した入り口のドアを開けようとしていたら、お店の女性が内側から開けてくれました。
シンガポールでは昨年からあたりまえになった追跡アプリでチェックインをした後、席に案内され、メニューはテーブルについているQRコードから見られることを知らされます。この一、二年で、シンガポールではスマホなしでは生活ができないようになっていました。
コロナ以前はQRコードを使うこともほとんどありませんでした。また、シンガポールでは、2021年10月13日からワクチン接種完了者(二回接種)しか、飲食店での外食も商業施設の利用もできなくなったのですが、スマホの追跡アプリのワクチン表示が必須となっていました。
店内は、ラッフルズホテルの雰囲気を活かしたクラシックでエレガントな雰囲気。天井についている南国のうちわが連なったような扇風機は、ラッフルズホテルのロングバーにもあったのと同じものでした。
たまたま店内でかかっていたBGMがシャンソンだったこともあり、雰囲気はパリのカフェという感じでした。
ラッフルズホテルには、100年以上前、英国の作家のサマセット・モームが滞在していたことがあります。彼はバンコクのオリエンタル・ホテルにも滞在していたことがあり、どちらのホテルにもサマセット・モーム・スイートという部屋があります。
彼が書いた「月と六ペンス」は、ポール・ゴーギャンをモデルとして描かれたと言われていますが、絵を描くために安定した生活を捨て、パリに行き、そしてタヒチに行くのです。
サマセット・モームもパリで生まれ、作家活動以外に、秘密諜報部員としても活動していたらしく、「007」のジェームズ・ボンドのモデルとも言われているのですが、そんな歴史の蓄積がラッフルズ・ホテルを特別なものとしています。
かつて私は、ロンドンやパリに何度も出張で行っていたので、パリのカフェや、ロンドンのティールームも何度も訪れていたのですが、このお店は当時の記憶が蘇ってくるような場所でした。
そこに来ているお客さんも、余裕のある雰囲気の人々が多く、コロナ禍でも、ストレスを抱えているような重苦しい雰囲気が全くありませんでした。それはまるで砂漠の中で遭遇したオアシスのような、蜃気楼のような場所でした。
そのお店をさらに特別な場所にしたのが、その日私たちを接客してくれた女性店員でした。私たちは一瞬で彼女の対応に魅了され、妻はそれ以来、彼女のことを勝手に「エンジェル」と呼ぶようになります。
私は飲食店の店員に過度な期待をしているわけではありませんし、お客さんを神様として対応することを強要しているわけではありません。
しかし、彼女の気配りとホスピタリティーの素晴らしさは、決して接客業という職業上のものではなく、天性のものだと私たちは感じました。声のトーン、話し方、態度、お店の商品知識、すべてが魅力的でした。店員という役割を超えて、一人の人間としての魅力を感じたのでした。
同時に、このようなスタッフを採用できたこのお店を羨ましくも思いました。どうしてこんな優秀なスタッフが、こういうお店で働いているんだろう。経営者がそのような人材を集めることに長けているのだろうか。ここで働くことに魅力を感じるようなモチベーションがうまく引き出せる仕組みとかあるんだろうか。自分の会社も、こういう人材を採用できていたら、どんなに仕事が拡大できていただろうかなどということも感じたのでした。
その日、私は、ローカルのミルクティーのテタレ(Teh Tarik)とバターミルクスコーンを、妻はコピシコソン(砂糖なしのミルク入りのローカルコーヒー)を注文しました。
ローカルのコピやテタレは、屋台街やフードコートでは100円くらいなのですが、ここでは何倍もします。中身はあまり変わらないのかもしれないのですが、容器や雰囲気で特別に美味しく感じられます。
フードコートや、ヤクンカヤトーストやトーストボックスとかのローカルのお店では、コピやテタレはわりと雑に作られます。溢れていてもあたりまえという感じです。
でもこのお店では、カウンターでまるでカクテルを作るかのようにエレガントに作られます。コピに入れる練乳もカクテルを作る時に使うメジャーカップで正確に測っていれていました。そこまでする必要はないかもしれないのですが、何かお店の心意気が感じられました。
ガラスのカップに入れられたテタレは、金色の金属皿に乗せられ、ベーシックなテタレが一気に貴族的な気品を身に纏った感じです。たとえて言えば、マイフェアレディで、卑しい素性のイライザが、外見だけではなく、心も身体も淑女になった感じです。味が通常のテタレとどれだけ違うのかは何とも言えませんが、とても美味しくいただきました。
また、バターミルクスコーンは、クロテッドクリームとストロベリージャムが添えられていて、こちらも素晴らしい味でした。
次にこのお店を訪問したのは、11月11日のことでした。この日もエンジェルが見事な対応をしてくれました。この日、私はお店のおすすめのコーヒーを注文しました。
普通のアメリカーノとかを注文しようと思っていたのですが、お店のブレンドコーヒーをサイフォンで淹れたものを勧められたので、せっかくなのでそれにしました。
フラスコのようなガラス容器にいれられてきて、それをショットグラスのようなガラスカップに注いで飲みます。酸味、濃さ、風味が秀逸で、ブラックでも飲みやすく、コーヒーってこんなに美味しかったのかと思うような味でした。
このコーヒーは複数のコーヒー豆のブレンドなのですが、オークでローストしたカカオとチョコレートの風味なのだそうです。
このコーヒーの名前が「優しい征服者」(Gentle Conqueror)というのも魅力的でした。その名前の通り優しいコーヒーの風味が、心まで虜にするということかと勝手に解釈しました。
私がこのコーヒーを味わっている間、店の片隅にある商品陳列コーナーで妻はエンジェルから商品の説明を受けていたようです。その説明がとても丁寧だったと妻は言っていました。
次にこのお店を訪れたのは、11月17日でした。エンジェルはいませんでした。別の男性の店員が対応してくれましたが、彼の対応も素晴らしかったです。
私は彼に「前、Gentle Conquerorを飲んだ」と伝えると、「前はサイフォンで淹れたのを飲んだのでしたら、今度はフィルターで淹れたのも飲んでみて、違いを確かめたらどうでしょうか?サイフォンよりもちょっと時間はかかりますが」という提案。彼のアドバイスに従って、私はコーヒーをフィルターで淹れてもらうことにしました。
正直あまり違いがわからなかったのですが、ちょっと味が濃いような気がしました。同じコーヒーをサイフォンとフィルターで飲み比べるという経験はなかなかないことでした。
この日、チョコレートロールケーキを注文したのですが、これも美味しかったです。店員の男性は、「本当のこと言うと、自分もこれが一番好き」と言っていました。この男性の対応も非常に好感が持てました。
次に訪問したのは11月23日でした。ランチタイムにはチキンライスや、ラクサなどのローカルフードがコピ、テタレ付きで提供されているというので、一度試してみようと思ったのです。私はシンガポールフライドヌードルを、妻はナシゴレンを注文しました。これもとても美味でした。この日はエンジェルも、前にいた店員もいませんでした。
ナシゴレンは、サテーや、プローンクラッカーもついていて見かけも豪華な上、美味でした。シンガポールフライドヌードルは、焼きビーフンのような感じですが、こちらも上品でとても美味しかったです。
海外で「シンガポールヌードル」というと黄色のカレー味のビーフンを何度か見かけたことがあるのですが、これはカレー味ではなく、中華風の味付けで、美味でした。
最後に来たのは、12月2日の昼下がり。この日の夜の便で日本に帰国するというタイミングでした。最後にもう一度エンジェルに会えるかもしれないと期待してこのお店に来たのですが、残念ながらエンジェルはいませんでした。
別の男性店員がいて、私たちは今日の飛行機でシンガポールを去ることを伝えました。その店員はそんなに親しいわけではないのに、驚いた表情で残念がっていました。
「ところであの女性スタッフは来ていないのですか?」と聞くと、「ああ、Hennyのことですね。今日は休みなんですが、次に来るのは土曜日。今日の飛行機で旅立たれるのでしたら来られないですよね?でも、やがて空の上で会えるでしょう」との彼の返事です。
「え、空の上?」と、私は尋ねました。
「そう、実は、彼女はキャビンアテンダントなんです」
「シンガポール航空のキャビンアテンダント?」
「そう、コロナで飛行機が飛べなくなったので、ここで働いていたんです。コロナが終わって、再び旅行ができるようになったら、彼女は空に戻ることになっているんです。あなたたちのことは彼女に伝えておきます」
という彼の話を聞いて、シンガポールを去る最後の日にすべての謎が解けた気がしました。何というドラマチックなエンディングなんでしょう。
彼女の対応が普通ではなかったのもそういうことだったからなんですね。
再びエンジェルがこのお店で働いている姿を、私たちは二度と見ることはないでしょうが、帰国前の短い期間に、彼女にこのお店で出会えたことは奇跡でした。
たまたまコロナの期間に臨時にこのお店で働いていたエンジェル。帰国前にたまたま数回訪れた私たち。彼女に会ったのはたった二回だけなのですが、彼女にここで出会ったという事実は、私たちにとってかけがえのない思い出となりました。
まるで、かぐや姫が月に帰ってしまうように、空に帰ってしまうエンジェル。シンガポール航空の制服を身に纏い、空の上で嬉々として接客サービスをしている彼女の姿を思い浮かべながら、私たちは彼女のような人に出会えたことに感謝するのでした。
記憶が鮮明なうちに書いておきたいと思っているのは、シンガポールを夜の飛行機で出発するその日にも訪問したSingapore Coffeeというカフェのことです。
そのカフェは、シンガポールのラッフルズホテルの敷地内の一階にあり、ノースブリッジロード側からも、中庭(コートヤード)側からも入ることができました。
私たちが夫婦で最初にその店を訪れたのは、11月5日の昼下がりのことでした。ノースブリッジロードに面した入り口のドアを開けようとしていたら、お店の女性が内側から開けてくれました。
シンガポールでは昨年からあたりまえになった追跡アプリでチェックインをした後、席に案内され、メニューはテーブルについているQRコードから見られることを知らされます。この一、二年で、シンガポールではスマホなしでは生活ができないようになっていました。
コロナ以前はQRコードを使うこともほとんどありませんでした。また、シンガポールでは、2021年10月13日からワクチン接種完了者(二回接種)しか、飲食店での外食も商業施設の利用もできなくなったのですが、スマホの追跡アプリのワクチン表示が必須となっていました。
店内は、ラッフルズホテルの雰囲気を活かしたクラシックでエレガントな雰囲気。天井についている南国のうちわが連なったような扇風機は、ラッフルズホテルのロングバーにもあったのと同じものでした。
たまたま店内でかかっていたBGMがシャンソンだったこともあり、雰囲気はパリのカフェという感じでした。
ラッフルズホテルには、100年以上前、英国の作家のサマセット・モームが滞在していたことがあります。彼はバンコクのオリエンタル・ホテルにも滞在していたことがあり、どちらのホテルにもサマセット・モーム・スイートという部屋があります。
彼が書いた「月と六ペンス」は、ポール・ゴーギャンをモデルとして描かれたと言われていますが、絵を描くために安定した生活を捨て、パリに行き、そしてタヒチに行くのです。
サマセット・モームもパリで生まれ、作家活動以外に、秘密諜報部員としても活動していたらしく、「007」のジェームズ・ボンドのモデルとも言われているのですが、そんな歴史の蓄積がラッフルズ・ホテルを特別なものとしています。
かつて私は、ロンドンやパリに何度も出張で行っていたので、パリのカフェや、ロンドンのティールームも何度も訪れていたのですが、このお店は当時の記憶が蘇ってくるような場所でした。
そこに来ているお客さんも、余裕のある雰囲気の人々が多く、コロナ禍でも、ストレスを抱えているような重苦しい雰囲気が全くありませんでした。それはまるで砂漠の中で遭遇したオアシスのような、蜃気楼のような場所でした。
そのお店をさらに特別な場所にしたのが、その日私たちを接客してくれた女性店員でした。私たちは一瞬で彼女の対応に魅了され、妻はそれ以来、彼女のことを勝手に「エンジェル」と呼ぶようになります。
私は飲食店の店員に過度な期待をしているわけではありませんし、お客さんを神様として対応することを強要しているわけではありません。
しかし、彼女の気配りとホスピタリティーの素晴らしさは、決して接客業という職業上のものではなく、天性のものだと私たちは感じました。声のトーン、話し方、態度、お店の商品知識、すべてが魅力的でした。店員という役割を超えて、一人の人間としての魅力を感じたのでした。
同時に、このようなスタッフを採用できたこのお店を羨ましくも思いました。どうしてこんな優秀なスタッフが、こういうお店で働いているんだろう。経営者がそのような人材を集めることに長けているのだろうか。ここで働くことに魅力を感じるようなモチベーションがうまく引き出せる仕組みとかあるんだろうか。自分の会社も、こういう人材を採用できていたら、どんなに仕事が拡大できていただろうかなどということも感じたのでした。
その日、私は、ローカルのミルクティーのテタレ(Teh Tarik)とバターミルクスコーンを、妻はコピシコソン(砂糖なしのミルク入りのローカルコーヒー)を注文しました。
ローカルのコピやテタレは、屋台街やフードコートでは100円くらいなのですが、ここでは何倍もします。中身はあまり変わらないのかもしれないのですが、容器や雰囲気で特別に美味しく感じられます。
フードコートや、ヤクンカヤトーストやトーストボックスとかのローカルのお店では、コピやテタレはわりと雑に作られます。溢れていてもあたりまえという感じです。
でもこのお店では、カウンターでまるでカクテルを作るかのようにエレガントに作られます。コピに入れる練乳もカクテルを作る時に使うメジャーカップで正確に測っていれていました。そこまでする必要はないかもしれないのですが、何かお店の心意気が感じられました。
ガラスのカップに入れられたテタレは、金色の金属皿に乗せられ、ベーシックなテタレが一気に貴族的な気品を身に纏った感じです。たとえて言えば、マイフェアレディで、卑しい素性のイライザが、外見だけではなく、心も身体も淑女になった感じです。味が通常のテタレとどれだけ違うのかは何とも言えませんが、とても美味しくいただきました。
また、バターミルクスコーンは、クロテッドクリームとストロベリージャムが添えられていて、こちらも素晴らしい味でした。
次にこのお店を訪問したのは、11月11日のことでした。この日もエンジェルが見事な対応をしてくれました。この日、私はお店のおすすめのコーヒーを注文しました。
普通のアメリカーノとかを注文しようと思っていたのですが、お店のブレンドコーヒーをサイフォンで淹れたものを勧められたので、せっかくなのでそれにしました。
フラスコのようなガラス容器にいれられてきて、それをショットグラスのようなガラスカップに注いで飲みます。酸味、濃さ、風味が秀逸で、ブラックでも飲みやすく、コーヒーってこんなに美味しかったのかと思うような味でした。
このコーヒーは複数のコーヒー豆のブレンドなのですが、オークでローストしたカカオとチョコレートの風味なのだそうです。
このコーヒーの名前が「優しい征服者」(Gentle Conqueror)というのも魅力的でした。その名前の通り優しいコーヒーの風味が、心まで虜にするということかと勝手に解釈しました。
私がこのコーヒーを味わっている間、店の片隅にある商品陳列コーナーで妻はエンジェルから商品の説明を受けていたようです。その説明がとても丁寧だったと妻は言っていました。
次にこのお店を訪れたのは、11月17日でした。エンジェルはいませんでした。別の男性の店員が対応してくれましたが、彼の対応も素晴らしかったです。
私は彼に「前、Gentle Conquerorを飲んだ」と伝えると、「前はサイフォンで淹れたのを飲んだのでしたら、今度はフィルターで淹れたのも飲んでみて、違いを確かめたらどうでしょうか?サイフォンよりもちょっと時間はかかりますが」という提案。彼のアドバイスに従って、私はコーヒーをフィルターで淹れてもらうことにしました。
正直あまり違いがわからなかったのですが、ちょっと味が濃いような気がしました。同じコーヒーをサイフォンとフィルターで飲み比べるという経験はなかなかないことでした。
この日、チョコレートロールケーキを注文したのですが、これも美味しかったです。店員の男性は、「本当のこと言うと、自分もこれが一番好き」と言っていました。この男性の対応も非常に好感が持てました。
次に訪問したのは11月23日でした。ランチタイムにはチキンライスや、ラクサなどのローカルフードがコピ、テタレ付きで提供されているというので、一度試してみようと思ったのです。私はシンガポールフライドヌードルを、妻はナシゴレンを注文しました。これもとても美味でした。この日はエンジェルも、前にいた店員もいませんでした。
ナシゴレンは、サテーや、プローンクラッカーもついていて見かけも豪華な上、美味でした。シンガポールフライドヌードルは、焼きビーフンのような感じですが、こちらも上品でとても美味しかったです。
海外で「シンガポールヌードル」というと黄色のカレー味のビーフンを何度か見かけたことがあるのですが、これはカレー味ではなく、中華風の味付けで、美味でした。
最後に来たのは、12月2日の昼下がり。この日の夜の便で日本に帰国するというタイミングでした。最後にもう一度エンジェルに会えるかもしれないと期待してこのお店に来たのですが、残念ながらエンジェルはいませんでした。
別の男性店員がいて、私たちは今日の飛行機でシンガポールを去ることを伝えました。その店員はそんなに親しいわけではないのに、驚いた表情で残念がっていました。
「ところであの女性スタッフは来ていないのですか?」と聞くと、「ああ、Hennyのことですね。今日は休みなんですが、次に来るのは土曜日。今日の飛行機で旅立たれるのでしたら来られないですよね?でも、やがて空の上で会えるでしょう」との彼の返事です。
「え、空の上?」と、私は尋ねました。
「そう、実は、彼女はキャビンアテンダントなんです」
「シンガポール航空のキャビンアテンダント?」
「そう、コロナで飛行機が飛べなくなったので、ここで働いていたんです。コロナが終わって、再び旅行ができるようになったら、彼女は空に戻ることになっているんです。あなたたちのことは彼女に伝えておきます」
という彼の話を聞いて、シンガポールを去る最後の日にすべての謎が解けた気がしました。何というドラマチックなエンディングなんでしょう。
彼女の対応が普通ではなかったのもそういうことだったからなんですね。
再びエンジェルがこのお店で働いている姿を、私たちは二度と見ることはないでしょうが、帰国前の短い期間に、彼女にこのお店で出会えたことは奇跡でした。
たまたまコロナの期間に臨時にこのお店で働いていたエンジェル。帰国前にたまたま数回訪れた私たち。彼女に会ったのはたった二回だけなのですが、彼女にここで出会ったという事実は、私たちにとってかけがえのない思い出となりました。
まるで、かぐや姫が月に帰ってしまうように、空に帰ってしまうエンジェル。シンガポール航空の制服を身に纏い、空の上で嬉々として接客サービスをしている彼女の姿を思い浮かべながら、私たちは彼女のような人に出会えたことに感謝するのでした。
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