まわる世界はボーダーレス

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シンガポール政府がアップした動画コンテンツが感動的

2020-06-16 10:56:52 | シンガポール

6月13日土曜日に、シンガポール政府のgov.sgのユーチューブとインスタグラムにいくつかの動画が一気にアップされていました。様々な状況下で、新型コロナウィルスがどのように生活に影響しているかをリアルに描き、政府の対応をアピールするコンテンツです。

2分前後の映像ですが、新型コロナウィルスで変わってしまった生活が、物悲しいトーンで描かれます。仕事の機会が失われ、生活が困窮します。しかし、どの登場人物も、やがて、与えらた環境の中で、自分の役割を見出していきます。環境に適応して、元気に生活するよう変化していきます。その変化を後押しするのが、政府のスキームなのです。

シンガポール国民を守るために、政府が打ち出したいくつかの支援策の宣伝のコンテンツなのですが、宣伝だとわかっていても、それぞれのストーリーで描かれる人物の生き方に感情移入し、ほろりとしてしまいます。こういう話はおそらくあちこちに現実として存在しているのだと思いますが、こういう形で人々の気持ちに寄り添っていくコミュニケーションは見習っていく価値はあると思います。

それではご紹介していきましょう。

From Chance to Compassion

小さな食堂を経営するアナンドさん夫婦。お客さんはほとんど来ません。アナンドさんは、「もう店をやめようかと思う」と奥さんに語っています。そこに一人の女性が、「デリバリーをしたらどう?」とアドバイス。やり方がわからないという夫婦に、女性は手ほどきをします。料理の写真を撮り終わると、デリバリーが始まります。すぐに、店はデリバリーの注文で忙しくなります。「私たちはサポートを受けられてラッキーだった」と語るアナンドさん。「政府は5億ドル以上の予算をビジネスのデジタル化に割り振りました。それに加えて、家賃補助と、サラリー補助があり、仕事の継続を支援しています。今は、アナンドさんは、高齢者施設や、出稼ぎ労働者の施設にボランティアで食事を届けています」というメッセージがテロップで。そして最後に流れるリー・シェンロン首相のスピーチの一節。「回復への道のりは長く厳しいでしょう。でもこれはシンガポールにとって馴染みのないことではありません。目の前の試練に立ち向かい、我々が先人達と同じ資質を持っていることを証明する番です」



From Grace to Grit

リーリンはシンガポール航空のキャビン・クルー。出勤するも、飛行機がキャンセルになり、搭乗することもなくなってしまいます。母親は、「この機会にゆっくり休んだら」と言いますが、リーリンは、やがて、病院でのサポートをする仕事に出かけることになります。「リーリンのように、例えば病院でケア・アンバサダーとして新たな役割につくことを支援します。また政府のジョブ・サポート・スキームで、ローカル従業員の月の給与の75%までを支払い、仕事の継続をサポートしています」というテロップ。そして、首相のスピーチが中国語で流れます。



From Recovery to Resilience

タクシー運転手のファヅリーさんは、乗客がほとんどいなくなり、家計も苦しくなってしまいました。そのため、彼はフード・デリバリーを始めることにします。ある朝、まだ真っ暗な3時半にシェルターに朝食を届けるため出発します。家族思いの彼のスマホの待ち受け画面は家族の写真。「政府は、タクシー運転手や、個人ハイヤー運転手に対し、配達サポートプログラムと、自営業のシンガポール人には家計を助けるための3000ドルの支援を行うことにしましたと」いうメッセージ。そして最後に流れるリー・シェンロン首相のスピーチの一節。マレー語です。マレー語で一生懸命語る首相の思いが伝わってきます。



From Support to Success

リサは学校を卒業するのに、就職先が決まらずに困っています。卒業式も中止になるとの知らせを受け、落ち込んでいます。どうしようもなくなっているところに、父親は卒業祝いを届けます。元気を取り戻したリサ。オンライン面接に対応する明るいリサの姿。そこにテロップが入ります。「リサのような就職希望者に政府は特別パッケージを作り、10万件近くの仕事と、トレーニングの機会を提供します」そして、首相のスピーチの一節が流れます。




From Challenges to Opportunities

こちらは総集編です。上記の4つの作品のオムニバスです。リー・シェンロン首相の演説が、英語、中国語、マレー語で流れます。



最後にもう一つ、こちらの動画もほぼ同じ日にアップされていましたのでご紹介します。ここで流れている曲は、シンガポールの国歌です。しんみりと、スローに、これまでの長い静寂の期間を回顧するような雰囲気です。そして映像は、飛行機や、建物や、室内などに、プロジェクションで投影された写真が映し出されます。新型コロナでストップした時間です。そして、「時は変われど、我々の国民のスピリットは不変」というメッセージ。最後に、首相の言葉が文字で、「怖がらないでください。心を失わないでください。シンガポールの前進の歩みは決して揺るぎません」



この困難な時代をみんなで力を合わせて乗り越えてきたという連帯感と、それをリードしてきた政府に対する信頼感が感じられます。新型コロナが早く収束するといいですね。
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