まわる世界はボーダーレス

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「レ・ミゼラブル」の歌詞に秘められた美しい韻の秘密

2013-03-03 00:19:51 | 映画
2013年のアカデミー賞で、アン・ハサウェイ
が助演女優賞を受賞。録音賞、メーク・ヘア
スタイリング賞も受賞しています。この映画、
私は実は映画館で3回観ているんですが、
同じ映画を二回以上映画館で見たのは、
これが生まれて初めてです。普段、こういう
映画は絶対に観ない義弟も、とうとう三回目
に行くと言っていました。こんなに何度も
観たくなる映画というのは、どういう
ことなんでしょう。

ミュージカル映画ということで、音楽と映画
のダブルの魅力を持っているのですが、
ストーリー展開もさることながら、一つ一つ
の曲をとってみても、ストーリー展開の中に
音楽と言葉と感情の三つの要素がみごとに
重厚なハーモニーを奏でている。

音楽と感情がこれほど一体化した表現形態
がかつてあったでしょうか。感情が
どんなに高まっても、歌詞と音程は
決して崩そうとしない。音楽と言葉と
感情の三つの要素がお互いにせめぎ合い
ながら、表現のレベルが高次元に高まっ
ている。そんな感じがします。

しかし、今回、私が着目しているのは、
歌詞の美しさ、それも意味的な美しさで
はなくて、音としての美しさです。

私はいちおう大学時代、英文学科で、
詩もちょっとかじっていたので、英語の
詩における韻というのは多少は知って
いました。しかし、詩における韻の
美しさというのを、「レ・ミゼラブル」の
曲を聴いて、初めて体感した気がします。

韻というのは、詩の一行の行末の音を、
同じ音で揃えていくというテクニック。
行末の音が一行目と三行目とで同じ音で
終わり、二行目と4行目が同じ音で終わる
というようなのが韻で、音の合わせ方は
いろんなパターンがあります。

「レ・ミゼラブル」の曲のかなりの歌詞で
韻が使われています。ちょっと具体的に
見てみましょう。"I dreamed a dream"と
いう有名な曲があります。こちらです。



一つの文章の最後の音が奇麗に整えられて
いるのがおわかりいただけるかと思います。

I dreamed a dream in time gone by
When hope was high and life worth living
I dreamed that love would never die
I dreamed that God would be forgiving

Then I was young and unafraid
And dreams were made and used and wasted
There was no ransom to be paid
No song unsung, no wine untasted

But the tigers come at night
With their voices soft as thunder
As they tear your hope apart
As they turn your dream to shame
He slept a summer by my side
He filled my days with endless wonder
He took my childhood in his stride
But he was gone when autumn came

And still I dream he'll come to me
That we will live the years together
But there are dreams that cannot be
And there are storms we cannot weather

I had a dream my life would be
So different from this hell I'm living
So different now from what it seemed
Now life has killed the dream I dreamed

9行めのnightとapartはちょっと苦しいが、
他の行は奇麗に韻を揃えています。
見事な様式美なのですが、そこに感情が
最大限に盛り込まれている。様式が
堅苦しさを感じさせず、自然に聞こえる
というのもすごいですが、韻というのが
こんなにも奇麗なものだと初めて知り
ました。実に素晴らしい!

これを作詞した人は、ハーバート・クレッツマー
という1925年南アフリカ生まれの人。
こちらに彼がこの詩を朗読している動画
が出ています。



あらためて聞くとすごく奇麗な詩ですね。

「レ・ミゼラブル」の中にはこういう
美しい詩がちりばめられています。

こちらもよろしくお願いいたします

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