1997年の7月1日に香港が中国に返還されて以来、
公式には香港は中国の一部となっています。
パスポートも、通貨も、言語も、法律も別ですが、
飛行機のチケットをオンラインで予約しようとする
と、香港は中国の一都市となっていたりします。
しかし、現実は、大陸からの観光客の増大に伴い、
香港の反中国本土感情が高まり、摩擦が高まって
いるようです。
先日、香港から成田に帰る時、空港のラウンジに
置いてあったThe Daily NNA香港華南版の1月30日
号の一面はこんな見出しでした。『香港と本土、
摩擦激化の様相』。
出だしの文章を引用すると、こんな感じです。
「春節(旧正月)前後に一部で高まりをみせた
香港人の反中国本土感情が、さらにエスカレート
する気配が出てきた。先週末には本土からの買い物
客で人気の通りで、ごく小規模ながら本土客批判の
街頭運動が展開された」
そういえば、中国では天安門事件に関しては、
ウェブで検索するのも御法度なのですが、香港では
毎年、6月4日、ビクトリア公園で開催される追悼
集会には十数万の香港市民が集まっています。
香港は、報道の自由、言論の自由が束縛されること
を極度に恐れています。情報を統制しようとする
中国には抵抗を感じています。経済的には中国の
おかげで潤っている香港なのですが、心情的には
中国のことをかなり嫌悪している感じです。
The Daily NNAの記事は、「高登唱蝗團」という
グループが本土からの観光客を非難する替え歌を
街角で歌っているということを報じていました。
YouTubeで探してみたらこんな動画がありました。
ネットで集まった若者たちが、中国人のマナーが
悪いこととかを歌に乗せて訴えています。
「蝗」とはイナゴのことで、本土からの訪問客を
軽蔑していう言葉なのだそうです。
この動きと前後して、今年の一月、D&G事件と
いうのがありました。D&Gのガードマンが、
店を外から撮影しようとした記者に対して、
「本土からのお客さんだったら撮影するのも
構わないが、香港人はダメ」と発言したのだそう
です。それが、香港人の感情を刺激し、D&Gの
店頭で一斉に写真を撮ろうというデモにまで
発展したのだとか。こちらの映像がその時の
ものです。
すごい規模の盛り上がりです。
さらにもう一つ、地下鉄内で飲食をした中国人
に対しての、電車内での論争の映像です。
香港の電車内では飲食は禁止なのですが、これを
厳しく注意する側と、反論する側の論争が、
香港と中国の国際問題に発展します。
この動画が、ネットで話題となり、さらに香港
での反中国人感情を刺激することになっている
のだそうです。マスコミも中国のことを「強国」
とか言って、ちょっと反感が込められています。
このような問題は、今後もますます増加して
いくのでしょう。日本では、中国本土のご機嫌
を損ねると大変なので、こういうことはあえて
大きくは報道されないのですが、今後、香港と
中国の関係がどのようになっていくのかちょっ
と心配ではあります。
国際ジャーナリスト組織「国境なき記者団」が
毎年発表している「世界報道自由ランキング」
で、香港は昨年の34位から54位へとランクを
落としたというニュースもありました。ちなみに
日本は今年は22位だったそうですが、香港は
権力に負けず、マスコミの元気を死守してほしい
と思います。
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