バスに乗り二人掛けの席に座った。
次のバス停でインド系の年配男性が乗り
私の隣に座った。
何度か私をチラチラ見た。
ウィッグがずれてる?
それとも何か匂うのか。
ガンの人は特有の匂いがあると
嘘か真か何かで聞いたことがあるけど
それなのかな。
急に不安になる。
病院前のバス停で降りて血液検査の場所までたどり着くまでの階段が、これまた果てしなく長く感じる。
後ろの人にどんどん追い抜かされる。
シンガポールの人は、ゆっくり歩くので助かるぅ〜とか言ってたのはどこの誰だ。
この数ヶ月でものすごく血をとられてる気がする。
家に帰る前にお買い物をした。
しばらくできなくなると思ったら
お菓子売り場とかをブラブラしてしまった。
夕飯は餃子。キャベツを細かく刻んだり
餃子を包む時に無心になりたいのかもしれない。
だんなさんと包んだ。

焼くのもすごく上手になってる。
褒めて伸ばす。

元気な日もあと一日か。
点滴のことを考えると気が滅入る。
その後待ってる日々も。
夕方、日本の友人から贈り物が届いた。
kちゃんからはバンダナ、可愛い刺し子キット、そして彼女が見つけた四葉のクローバーで作った栞。

上海でたまたま乗り合わせたシャトルバスの隣の席で出会ったkちゃん。
ハンドクリームを貸してくれたんだ。
出会えてよかった。
いつもありがとう。
Oさんからは
昆布とワカメ、築地本願寺をお参りした際買い求めてくれた可愛いものたち。
そしてOさんの妹さんからのハンドクリームも同封されていた。感謝感謝。

私はガンかもしれないとわかった時から
いろんな人にそのことを話してきた。
ガンになった人の中には
亡くなられた古賀さんのように
誰にも言わずに一人で抱えて闘病している人もいると聞く。
私はそうできなかった。
いろんな人に話すことによって
応援してもらいたかったんだ。
励ましの搾取だね。
知らせることでその方の心に
ちょっぴり影を落としてしまった人もいるんじゃないか。
私の自己満足だとしたら
無責任な行動だったのかもしれない。
でも話さないとだめになりそうだったから。
今、自分がなんとか立っていられるのも
たくさんの友人の支えがあってこそだ。
ごめんなさい。でも、
ありがとう。
暗くなってから
散歩に行こうと誘われた。
二人でブラブラ歩いた。
ランニングしてる人が多く、すれ違うたびぶつからないようにと、どきどきする。
足の裏が痺れていて靴下を3枚ぐらい履いているような感覚だ。
10分も歩かないうちに頭から汗がふきだしてきた。頭痛もしてきて、散歩は中断して帰宅。情けない。
確実に落ちている体力におののく。
だんなさんの心配そうな顔を見るのが辛かった。
弱いな自分。
こうやって、ぐずぐず言いながら
弱音吐きながら
結局、最後までいくんだろうと思う。
だんなさんも
もうそういう私に向き合う覚悟はとっくにできてるのだと思う。
覚悟ができてないのは自分だけかも。
覚悟なんでできないよ。
明日は治療前最後の日。
穏やかな気持ちでいたい。
Oさんにいただいたピクルスの瓶。
可愛い動物がいた。

食べるのもったいないな。