みう と 青

みうと青の共同ブログ。
知ってる人には言えないけど、知らない誰かの通り過ぎる場所で呟きたい独り言があるのです。

RAW 〜少女の目覚め〜

2018年02月16日 18時13分32秒 | みう・映画とか本とか音楽とか
こんばんにゃ。
噂のRAW、見てきました。

ベジタリアンのジュスティーヌちゃんはとっても優秀。
「神童」なんて言われながら、両親や姉と同じ大学の獣医学部に入学して、寮生活をはじめますが・・・

以下ネタバレます。
絶対ネタバレします。
ネタバレなしには語れないと思います。

あんな古くさい新歓をフランスでは、まだ普通にやっているの?それともあの大学が特殊なの?
という素朴な疑問から、あれよあれよという間に兎の腎臓イニシエーション。
お姉ちゃんは助けてくれないし、蕁麻疹出ちゃうし、やたらお腹空くし、てか「肉、ウマー!」が止まらない。
ハンバーグ(食べてない)、串焼き、生のササミときて、Vワックスからの急展開!


あそこはゾワゾワしました。
モグモグ前は「やめとけ〜!踏みとどまれ〜!」って念じつつ、見てられない(>_<)って感じだったのですが、
いざモグモグし始めたら、半笑いで目が爛々としている自分がいました。
直前までの恐怖が、一線を超えたらテンションが裏返ってしまい、グロいけど目を逸らせなくなりました。
ヤバイですかね?

その後も、お姉ちゃんの当たり屋ハンティングシーンから最後のパパの種明かしまで、キチンとピースが嵌っていって、2度目も答え合わせ的に楽しめる映画かなと思いました。

最後のパパの種明かしは、賛否両論ありそうです。
個人的には好みではなく、
「どーだ!ビックリしただろ!」
と見せつけるようなオチに、少し残念さも感じました。
(そんなに恐れてたなら、あんな学校に入れちゃダメでしょ!ってツッコミも頭から離れないし)

でも、菜食主義として育てるなど、それありきのピースや、だからこそ生きてくる辻褄合わせもあると思うので、蛇足とは言えないかなと。
あの種明かしを見て、パパの愛に痺れた!って人もいると思いますし。

そもそもパパが引いちゃってたら娘たちは生まれてないわけで、この物語も存在しないし、言い換えれば、両親が愛を貫いたせいで一連の悲劇があったわけで、そう思うと業の深い家族だなと。
てか、赤ちゃん時に娘2人とも、よく食べられずに済んだなぁ。


映画を見ながら思い出していたのは、昔なにかで読んだ質問
「もしも自分が食べるなら?」

自分は、
好きな豚より、嫌いな豚。
名前をつけた豚より、つけてない豚。
知ってる人より、知らない人。
嫌いな人より、好きな人。
です。

これは多分、ほとんどの人がお揃いの答えになるんじゃないかなと思っています。
んで、そこには「食べること」「殺すこと」「愛すること」が、本能的なレベルで絡み合ってると思うわけですが(で、それってもうほぼほぼ「生きること」になるんだと思いますが)、この映画もテーマはそこなんじゃないかなと。
カニバリズムはモチーフに過ぎないというか・・・。

なんか、もう映画から離れてるかもですが、人間が持ってる圧倒的な孤独の一因に「食物連鎖からの爪弾き」ってのがあると思ってるんですよね。
どこにもかえれない淋しさみたいな何かがあるなと。

だからってこの映画に対して、愛だの恋だの淋しさだのが真の動機なのであります。Q.E.D.
などとは思ってませんが。


ただ、「食べちゃいたいくらい可愛い」とか「ひとつになりたい」とか口走った事がある人なら、
この映画をどれほどおぞましいと思っていても、その人の中にも1%くらいは、あの姉妹と同じ血が流れているかも?
と、思わないこともないんだにゃあ。

デトロイト

2018年02月09日 23時33分22秒 | みう・映画とか本とか音楽とか
こんばんにゃ。

「デトロイト」見てきました。
全体的に、予想通りの仕上がりでした。

ネタバレに
なってる
かもしれません。

自分は偉い!的な勘違いバカの恐ろしさを描くのが相変わらず上手でした。

役者さんも本当にクソ野郎で、出てきた瞬間、やらかす前から「よくこんなタチ悪そうな人を見つけてきたな」と思わされる存在感で、序盤から中盤までひたすらクソ野郎なのですが、終盤に裁判所で歌手のリードくんと目があった時のニヤリとした笑いには、改めて背筋が凍りました。
本当にクソ野郎でした(褒めてます)

暴力描写も相変わらず的確で、監督の人間性を疑いたくなります。
見てるだけで消耗します。
アクションに昇華されてない分、カタルシスがなくて、とにかく堪えます。

また、暴力による物理的な痛みだけでなく、やられた人の心や、暴力の近くにいただけの人の心がズタボロにされていく様も、こちらの心を抉ります。

暴力的なシーンがクローズアップされがちな作品、監督だと思われますが、それとは別で、アーティストとしての黒人が興味深かったです。

音楽も消費されてなんぼだとは思われますが、消費者の種類によってはアーティストの誇りまで消費されていきそうな感覚は、やるせないものがありました。
被害妄想的な部分もあるとは思いますが、公民権法が施行されてなお、搾取する側される側的な当時の構図が透けて見えるようでした。

長々と書いてしまいましたが、
もう全ッ然面白くないです。
見てて楽しいことなんて、ほぼ無いです。
(リードくんの歌声くらいです)
でも、たくさんの人に見て、考えて欲しくなる映画でした。

この監督に似合うテーマは、現代にもたくさんあると思います。
でも、あえて1967年の事件を、今、取り上げたって事の意味を考えねば。
ってか、もうみんな分かってるんだから、ちゃんとせねば!
そんな風に思いました。