サードウェイ(第三の道) ~白井信雄のサスティナブル・スタイル

地域の足もとから、持続可能な自立共生社会を目指して

環境基本計画を象徴する用語:転換、イノベーション、統合、同時解決

2020年03月23日 | 持続可能性

これまでの環境基本計画における用語の出現頻度を調べてみした。

 

1994年に最初の環境基本計画が策定され、以後、第二次(2000年)、第三次(2006年)、第四次(2012年)、第五次(2018年)と計画が策定されてきた。

 

この5つの計画におけるキーとなる用語の出現頻度から次のことがいえる。

 

・「大量生産、大量消費、大量廃棄」が問題だという記述は、第一次で9か所、第二次で12か所であるが、第三次以降は5→3→1と記述箇所数が減少している。

 

・「転換」という用語の記載箇所数は、計画順に3→42→23→12→26である。第二次計画の傾向を象徴している。

 

・「イノベーション」という用語の記載箇所数は、計画順に0→0→3→45→28である。第四次計画の傾向を象徴している。

 

・「統合」という用語の記載箇所数は、計画順に4→20→29→20→52である。環境と経済、社会の統合的発展という考え方を、第五次計画で強く打ち出したことがわかる。

 

・「同時解決」という用語は第5次計画で7か所、使われているが、第4次計画以前は同用語が使われていなかった。環境と経済・社会の問題の同時解決というように使われている。

 

これらのことは、環境問題解決のために社会経済構造の転換が必要だという認識は2000年代以降に薄れたこと、2000年代以降はエコロジー的近代化という路線が強く打ち出されていることを象徴している。

 

ただし、脱炭素社会への取組を本格化させるため、また気候変動を含めた災害に対する脆弱性の露呈に対応するため、「転換」を再び、強く打ちだしていく段階を迎える可能性がある。


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