台北二日目

朝７時頃目覚める。仕事でなければ目覚めはよい。同行者Ｓ氏はすでに朝から台北駅までの往復５キロをランニングして来たらしい。自分と対極な生活習慣を持っているので刺激である。ホテルで朝食を取っているとユニフォームを着た長身の外国人が大勢いる。どうやら女子バレーボールの国際大会が近くで行われていて、その大半がこのホテルに滞在しているらしい。ホテルの外には国旗が並べられていた。午前中は国立故宮博物院に行く。世界四大博物館の一つで、歴代の中国皇帝のコレクションを収蔵している。しかしなぜそれが台湾にあるのか？「故宮」とは宮殿を意味する。清が倒された後、歴代王朝の正統な後継者である中華民国がこれらの財宝を北京で保管し公開したのが始まりだが、1937年以降日本との戦争が勃発してからこれらの財宝が分散し、戦後、国共内戦で敗北した国民党政府が台湾に逃げ込み、分散した財宝類も台湾に運ばれたということらしい。この博物院は広いのでかなり足早に見て回った。中国美術は書と彫刻が特に優れているが、翡翠などの石（玉）を削り出す彫刻が秀逸らしい。豚の角煮や白菜を模した玉彫刻は、完成形を見れば何の変哲もない彫刻だが、元々玉に交じった色を上手く削りだして作り上げた最高傑作らしい。僕は個人的に書が好きなので、王羲之の本を土産に買う。その後近くの忠烈祠（ちゅうれつし）という辛亥革命以降の戦線で命を落とした英雄を祀る祠に向かう。ここは1時間おきの衛兵交代の儀式が見所となっている。交代で行進をする衛兵は皆目が据わっていて、門前で向かい合って立つ二名の衛兵の間を通ると熱気を感じる（続く）。