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美瑛の「四季」

北海道フードマイスターの宿主が綴る「今日もない物ねだり」

道庁上川支所の保健所に行きました。

2012-03-31 02:33:49 | 「宿」のあれこれ
当館「四季」では今、お客様のご要望の多い自家製パン(と、自家製のジャム)の販売を認可いただくための準備を進めております。実は昨年も同じように準備をしようとしていたのですが、3・11の大災害の発生と共に、「ちょこ旅」に持てるエネルギーをシフトし、申請をしないで1年がたってしまっておりました。

そんなわけで、27日に続いて30日も保健所に行ってまいりました。27日に出向いた際に必要な書類や印鑑を聞いて来たので、それ等を取り揃えて再度うかがったのです。

で・・・、ま、あまり言いたくないのですが、僕は時々こういう致命的なミスをしちゃうんですよね・・・。必要書類の1つに、飲食店営業許可証と記憶し(手帳にも書き)それを提出したのですが、実際には衛生責任者講習受講修了証の間違いだったんです。はぁ、もう一度美瑛に戻って出直します・・・と仕方なく言うと、担当してくださった岡田主査(仮名です)が、ちょっと待ってくださいね、とおっしゃって、保健所内の許認可を管理している部署で再発行できると教えてくださいました。発行手数料が300円かかってしまうんですけど、と申し訳なさそうに説明下さる主査に、こちらが増々申し訳ない気分でいっぱいになってしまいました。
片道30kmちょっとの我が家に戻ってもう一度ここに来るのはなぁーと自らを叱責するしかない場面でしたが、間髪入れずに対処方法を教えてくださった保健所の対応に、頭が下がりました。

主査自ら再発行に手早く動いてくださって、何とか時間ぎりぎりで申請が完了。アポを指定いただいたのは4時半でしたので、瞬く間に5時を過ぎ、机の周囲を片付けたり床掃除をしたりする事務所内で構わず対応いただいた岡田主査は、市民目線を常に忘れない有難い対応でした・・・。4月初旬に当館の設備状況の査察をしていただき、その後に許可いただける運びになりました(やれやれ!)。手取り足取り教えてくださって、本当にありがとうございましたとお伝えして、我が家に戻ることにしました。

北海道産の小麦を使って当館で焼き上げたパン(ライ麦パンやクロワッサン)と、美瑛町&上富良野町産のフルーツ(ハスカップやイチゴ)で作ったジャムを、出来る範囲ですがお楽しみいただきたいと思っています。

家に戻って自分で焼いたパンをもう一度見てみました。どうだろう・・・、お客さんのお眼鏡にかなって購入いただけるシロモノになっているかなぁ?ここのところ何度もトライを重ねているクロワッサンも、もう一度再トライをして出来栄えに安定感を出して行かなくっちゃ!


春を待ちながら、リス君と目と目で。

2012-03-22 12:43:56 | 「宿」のあれこれ
いきなり弱音を吐いて申し訳ないんですが、本当に僕のモノゴトに対する「処理能力」というものが低下してきているんだなぁと痛感するここ数日です。毎年秋の風が吹いて、このブログを少しこまめに書くようになると、
-あれ、どうして7月とか8月とかって、月に2~3記事しかアップできなかったんだっけ?確かに少しは忙しかったに違いないけど、週に2つくらい何かテーマを見つけて書けたんじゃないのかな・・・。
と思う自分がいます。そんな折、たまたま今週は少しだけ多忙でした。ご近所にいたお友達のこばPがカナダから一時帰国し、そのお迎えやらミニ歓迎会やら、年のせいで(少ない方だと自負していますが)病院にも行き、加工品(えへへ、ジャムとかですよ)のセミナーを受け、建築屋さんと建屋のことで相談し(また僕ら自身で今度はコテージの壁塗りをしようと思ってます。時期はゴールデンウィーク明けにね。ほかにもいくつかやりたいことが・・・)、消防の定期査察があり、観光協会の意見交換会があり、夕食だけのお客様がちょっぴり(すると、当然そのための食材購入にも)・・・。

これで月曜日から水曜日まで走ると、ブログ1つ書けない。だいたい何かを書こうと思っても、まとまらないような感じです。こうして書いていてもまとまっていないんですが、「書く」というところまでたどりつかないような感じ。
こんな稼業ですと、消防と保健所の査察は入りますから、そのことも記しておこうかなと思ったり、再度トライしたブルーベリーのケーキが好評だったので(こばP歓迎会で)その自画自賛物語を書こうかなとか(いい加減笑いものになってるんですけどね、まったくもって幸せなヤツだと)、観光協会では先月行われた「カメラ女子」企画が大好評だったことを受けて今後どうするか、とか・・・。

あっちこっちに考えが飛び散っちゃうと、何も手付かずになっちゃうなぁーって再認識しています。もちろんその傾向は前からあったと思いますが、この頃その度合いに悲しいかな拍車がかかって来ているんですよね、きっと。
それでは・・・と、優先順位をつけてきっちり1つずつ消化して行くと良いはずですが、僕はあんまりちゃんと優先順位をつけるのが上手くないし、もしかしたら好きでもないのかも・・・?あれこれ思い浮かぶと、あっちに気を取られてこっちにも未練があって、浮気三昧です。

いくらなんでもこれじゃまずいか、とテラスを眺めたらふわふわっとした大きな尻尾がひょこひょこっと右に行くのが見えました。そっと窓越しに見てみると、リス君がゆっくり歩いています。そして車庫の屋根の角にちょこんとすわって、チラッと目が合いました。
「もうすぐ春が来るね!」
そうリス君が語りかけてきました。

この夏、こっちゃんに会えるかな・・・?

2012-03-15 04:56:39 | 「宿」のあれこれ
札幌で廃炉の講演を聞いて家に戻った後、久しぶりに石巻のこっちゃんに電話しました。
彼女は昨年石巻から夏の間当館のスタッフとして来てくれた、可愛い娘さんです。ちょっぴり元気のない声で「久しぶりですー」と語る彼女は、また今年の夏も美瑛に来たいと言ってくれました。
その返事にすごく嬉しい気持ちになりながら、ちょっぴり複雑な思いもないではありません。本当は石巻で暮らす彼女にとって、現地で彼女に合った職場に勤めることが望ましいんだと思います。そのあたりを恐る恐る遠回しに聞いてみると・・・
・まだ石巻界隈ではがれきが山積していて、職場がたくさんあるわけではない。
・がれきは春風が吹くとものすごい埃となって、外で息することさえ辛い。
・震災後しばらくしてから続いた悪臭はかなりなくなって来たと思う。
・仮設住宅は寒いよー。今年になって何度も風邪をひいてる(で、元気ない声)。
・避難所でともに暮らした仲間の方たちとの連絡は、今では途絶えがち。
そんなあれこれを聞きました。こっちゃんは、芯のしっかりした、がんばりやさん。3か月毎日一緒に働いてもらって、彼女のしっかり者ぶりに助けられたことは多かったなぁ。そんな彼女でも、石巻の暮らしには今のところはちゃんとした将来像が描けていないみたいで、ちょっぴり悲しくなりました。

彼女をまた、美瑛に引っ張り出すことがどうなのか、いいことと良くない事の両方があると思っています。でも、実際に彼女の声を聞いて意見交換してみて、ちょっぴり来てもらった方がいいように感じた僕です。カミさんともあれこれ話しながら「呼びたいね」ということに。

さらには、もし石巻の人たちが夏の間だけでも美瑛に来てもいいと思うのなら、夏の美瑛には働く場所がないではありません。けして厚遇とは行きませんが、美瑛の丘の景色と美味しい水と空気、そしてみずみずしい野菜に囲まれて、美瑛にいらっしゃる方を一緒におもてなししていただける職場でしたら、少しはある。
それをこっちゃんに言ったら「こっちの職安に相談したら、一発で埋まりますよ」と・・・。

僕自身、よく整理できていないことですが、震災後の傷跡を、どうやって治して行くのかを、日本全体で応分に考えて行く必要があると思います(Kazeさん風に言えば、復興をシェアするってことですよね)。がれきの受け入れや、ボランティア活動や、いろいろな形でそれを具体化できるはずです。でも、1個人になった場合に出来ることは実に限られてしまって・・・。例えば募金って言ったって、いつまでもし続けることはできませんし。
震災復興をして行く上で、それが生活上の負担になってしまう場合には長続きしないように感じますし、何より現地で困っている方たちも望まないのではないかな・・・とか考えれば気になることはたくさんあります。

被災地の方に短期ながら美瑛で働くために来ていただくこと・・・、ベストではないかもしれませんが、何もしないよりいいはずなんだと考える僕です。幸いそれならいいね、と賛同してくれる美瑛の仲間も少なからずいます。できる範囲で条件を整えて、そんなに遠くない時期に被災地の方に、その思いを届けてみたいと計画中です。判断は、被災地の方にしていただきたいです。
少なくとも僕たち美瑛で観光に携わる立場からしましたら、夏に助けてくれる人を毎年腐心しながら探しています。夏の間だけってところが、ネックになるんですよね。たまたま当館には素晴らしいスタッフが来てくれて大助かりでした。そのひとりのこっちゃんにも、また助けてほしいなぁ・・・。
オーナーが頼りないと、しっかりしたスタッフがいつしか集まるのかもしれないなぁ・・・そんな都合のいいことも考えてしまいます???

追記:
この記事の向日葵の写真は、昨夏こっちゃんが当館すぐ近くの畑で撮った写真です。


今さらながら、感謝の気持ちが溢れています。

2012-03-08 01:13:35 | 「宿」のあれこれ
ふー、どうもマルチタスクで動けない僕です。やっと昨日、確定申告の集計を終えて提出を済ませてきました。5日間ほど、たっぷり時間とられちゃった・・・。

結果は、順風満帆には程遠いと言わざるを得ませんが、それでも今日もこうして暮らして行ける自分がいます。ここのところほとんどのメディアで時間が割かれている3・11の影響はあったわけですから、人としてこの1年をどう考えたらいいのかは、難しいことですよね。
あの日、東北の地を中心に日本中が大変な痛手を負いました。あの日からもうすぐ1年・・・。ここに来て特集を組むテレビ番組に、ちょっとやり過ぎ?と感じないでもありませんが、少なからず風化して行くあの日を、決して忘れてはならないと心に刻む僕です。

そう・・・、確定申告の書類が出来上がったのは昨日の午前4時でした。そして、美瑛に来て5度目になる確定申告の書類を前に、走馬灯のように過ぎ去った時の流れをいつしか思い出していました。自分の思いをその我儘な気持ちに正直に過ごした時間でもあり、初めて1人っきり(カミさんと2人っきり)になって必死にもがいた時間でもあり、そして何より僕自身がどんなに無力であるのかと、知らず知らずのうちにどれほどいろいろな人に支えられているのかを思い知る時間でもありました。
そんなことに気づかないまま、僕はここ美瑛に来てしばらくした頃、50歳を迎えていました。溺れそうになる毎日の中で焦る自分がいました。あまりに真剣になるもののそれはよくあるように空回りをしてしまう・・・、そんなことを重ねてばかりいたような気がします。

そんな毎日を繰り返す真っただ中のその日、僕は食材をたくさん農家さんから買い込んで家に戻るクルマのラヂオから流れる曲に出会いました。「拝啓、この手紙、読んでいるあなたは、どこで何をしているのだろう? 15の僕には誰にも話せない悩みの種があるのです・・・」
1フレーズを聞き終わる頃に、日ごろ押しとどめていた何かが気持ちの奥から溢れ、自分でもわけのわからない昂ぶった感情を持て余していました。・・・15の僕には、という歌詞を勝手に50の僕にはに置き換えて、5年後・10年後の自分に聞いてみたくなったのです。

そしてまた数年がたった今、あの時のどうしようもない気持ちが何だったのかを懐かしく、もしかしたら愛おしく思い出している自分がいることに気が付きます。あんなに無我夢中に生きていると思い込んでいたのに、それを支えてくれる人がどんなにたくさんいたことでしょう・・・?飛び出してきた僕に、エールを送り続けてくれた会社のトップ、上司、同僚、部下の人たち、ライバル(?)のはずの宿仲間の方たちに助けていただいたこと、オーナーである僕以上に必死にがんばってくれたスタッフの娘たち、さりげない思いやりでいつも僕のことを応援してくれていたご近所の皆さん、とびっきりの笑顔で疲れのたまった気持ちに花を咲かせてくださったお客様・・・。

ここでこうして生きていけることに改めて感謝をしながら、あの数年前に出会った曲をもう一度聞いてみました。アンジェラ・アキの歌う「手紙、拝啓15の君へ」。ありがとう。

http://www.youtube.com/watch?v=pFJ8EFzywjw

お招きに、どきどき・・・。

2012-02-29 01:41:00 | 「宿」のあれこれ
嬉しいお招きに、そわそわしています。4月のはじめに、当館の助人のエース、ネコムスメがめでたく挙式します。その式に、僕ら二人もご招待されたのです。今日はそのお祝いをお届けに、隣町の上富良野まで行ってきました。

上富良野も、もちろん美瑛と同じように今はまだ銀世界です。でも、彼女が式に臨む頃には、きっと大地が顔を出し始めていることでしょう。振り返ってみると、すべてがスムーズに進展したかのようなネコムスメの人生の大きな節目。でも、彼女が旦那様となる人に出会い、そしてお付き合いして相手を知り、お互いをとりまくもろもろの状況をひとつずつ大切にしながら重ねた毎日は、迷いと決断の連続でした。
こればっかりは、応援していいものやらブレーキを踏んだ方がいいやら、迂闊なことはできません。そして、ついに彼女が僕たちにも彼を紹介したいので、お連れするという日がやって来たのは昨年11月でした。
僕は、父でも兄でも、そしてもちろん親族でもないのに、普段から彼のことをいっぱい話すネコムスメの情報に翻弄されて、あれこれと想像ばかりが膨らんだものでした。

初めてお会いしたネコムスメのパートナーは、彼女と同じように無垢でストレートで飾らない、ちょっぴりシャイでクレバーな男性。少なからず世の中のあれこれを見てきた(?)僕たちからしたら、「なんと、いい男じゃないか!」と・・・。
彼の押しも押されもせぬ立派な肩書を並べるまでもないのですが、今になってどうしてもわからないのが、どうしてネコムスメが彼をパートナーに選んだのかと言うこと。なかなかの美人だから、男性を見る目も少しは磨かれた人生だったんじゃないかと勝手に決めていましたが、まったくそうでもなくって。おいおい、お伽の世界にいつまでいるつもりなんだ、いい加減に現実ってものを見なくちゃなー!なーんて少しは心配していたのに、おー、何と素晴らしい彼を射止めて来たんだ、と思わず頭を撫でたくなったくらいでした。

いい男って何・・・?それは人それぞれでしょう。たとえば、正直で、率先して困った人を助けて、相手の立場になって物事を考えることが出来て(=思いやりがあって)、ちょっぴり自分に厳しくて。そんなところって外せない部分かもしれない。つい優先順位的に、経済力があって、お洒落のセンスがあって、背が高くて、見目麗しくて、ということが先に来ちゃうこともあると思うんだけど、もちろんそういう部分もけっこうイイセン行ってて、ちゃんと外せない部分を見事にクリアしている。

いつもいつも居心地のいい彼女のご自宅でたっぷり2時間歓談させていただいて、家路に。そう言えば、僕らは今年銀婚式を迎えるんだ・・・。僕らの結婚当時のことをそれそれに思い出してみたら、いろんなことを正確に一致させることが出来なかったけれども、紛れもなく当時自分たちもそれなりに必死だったことを思い出して笑えました。そして、ネコムスメが当時の自分たちより少し大人びて見えちゃった。いつもは「大丈夫か?しっかりしろよー!」なーんてエール送ってばかりいる気分なのに、自分の方がよっぽど怪しかったんだね。

実に久しぶりにネクタイなるものをしました。今日はトレッキングシューズをやめて普通の革靴を履き、新しい愛車で家に向かうと、美瑛の丘が傾いた午後の光に照らされて真っ白に輝いていました。その丘の晴れ晴れとした雄大な景色のように、愛車を走らせる僕らふたりの気分も晴れ晴れ・・・。いつもネコムスメは、気持ちの良さを運んでくる素敵な娘さんです。うん、良い感じ。彼女の向かう先に、穏やかで豊かな時の流れが待っていてくれるようです。

家に戻ってから、トランブルーの成瀬氏に刺激されて、さっそくパンの試作です。そのお話しは、また明日・・・。