1978年のハリウッド映画を見ました。この映画にはあれこれ想い出があってぜひ1度全編(183分の長編!)見たいと思っていた映画です。そもそも見たこともないのにどうして思い出深いのかと言うと、いくつか理由があります。
当時僕は大学に入学したばかりでした。そしてどちらかと言うと奥手だった僕は、ちょっと遅い多感な青春時代を生きていたように思います(青春時代って、これも死語っぽいですね?)。高校に入学していわゆる世の中とか世間みたいなものに触れる中で、視野は友人から学校へ、地域から日本全体へ、さらには世界にも興味が増えたような時期だったのかもしれません。そして、当時僕に刺激的だった出来事のひとつは、ベトナム戦争でした。
僕の高校時代に終焉を迎えていたベトナム戦争は、ある面アメリカの果て無い消耗戦であったため、真実や価値について直視した評論は出て来にくい状況だったように思います。1975年にサイゴンが陥落して撤退したアメリカが、ベトナム戦争のいろいろな真実を表に出すようになったのは、数年後のことだったのではないでしょうか。
そんな時代背景の中で「ディア・ハンター」はロードショーとなり、いろいろなメディア(当時は新聞や、映画誌が中心でしたね)で大々的に取り上げられました。ロバート・デ・ニーロやメリル・ストリープの名前には、当時は興味がありませんでした(と言うか、知らなかったですね)が、ロシアン・ルーレットという自殺的なゲームに取りつかれてしまう戦場の生き残りの物語は、予告編やあらすじで深く印象に残ったものです。
大学に入学したばかりでしたからいろいろやりたいことも多く、晩秋に上映なったこの映画を見に行く機会は、ついにありませんでした。けれども年が明けて迎えた成人式に、僕は出席できませんでした。世界には徴兵で戦場の最前線に送られている若者が大勢いると言うのに、艶やかな晴れ着や、似つかわしくもない羽織り姿で式に参列している日本の新成人の姿を想像すると、何だか馬鹿馬鹿しく思えのです。
それはもちろん見てもいない「ディア・ハンター」の影響からでした。
ディア・ハンターは、この年のアカデミー賞を総なめにしました。主演のロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープはノミネートされたものの選ばれませんでしたが、作品賞、監督賞、音響賞や助演男優賞など、ほとんどの賞に輝きました。
あらためてこの映画を見ることが出来て、とても良かったです。戦争(と言うよりは戦場)の不条理や、必要悪がぎっしり詰まっていて、わかっているつもりのあれこれが、そんな生易しいものじゃないんだと切々と迫って来ます。休日に仲間内で鹿狩りに出かけるピッツバーグ郊外の山々(アレゲニー山脈)の美しい映像が、戦場の悲惨さと強いコントラストを表していて、胸に詰まります。戦場が地獄絵であるがゆえに、故郷の大自然があまりにも美しく、それは今僕がいる美瑛を呼び覚まさせるようでもあります。
日本が経済成長にひた走っていたあのころ、政治判断に翻弄されたアメリカ合衆国の若き兵士たちは、全く別の人生を生きていたんだ、と思い出しました。それが良いのかどうかはとても複雑で、単純には決められないことではあります。けれどもこういう状態に突入してしまったら、何が待っているのか、どんな悲しい出来事が個人、個人の人生に襲いかかって来るのかをあらためて考えさせられる映画でした。
もし叶うことなら、多くの日本人に、そして中国の人にも見て欲しい映画だと思いました。
それから言うまでもありませんが、若き日のデ・ニーロとストリープはそれぞれに素晴らしいです!35年の歳月を経ても、それぞれに第一線で活躍しているなんて、すごいね。
当時僕は大学に入学したばかりでした。そしてどちらかと言うと奥手だった僕は、ちょっと遅い多感な青春時代を生きていたように思います(青春時代って、これも死語っぽいですね?)。高校に入学していわゆる世の中とか世間みたいなものに触れる中で、視野は友人から学校へ、地域から日本全体へ、さらには世界にも興味が増えたような時期だったのかもしれません。そして、当時僕に刺激的だった出来事のひとつは、ベトナム戦争でした。
僕の高校時代に終焉を迎えていたベトナム戦争は、ある面アメリカの果て無い消耗戦であったため、真実や価値について直視した評論は出て来にくい状況だったように思います。1975年にサイゴンが陥落して撤退したアメリカが、ベトナム戦争のいろいろな真実を表に出すようになったのは、数年後のことだったのではないでしょうか。
そんな時代背景の中で「ディア・ハンター」はロードショーとなり、いろいろなメディア(当時は新聞や、映画誌が中心でしたね)で大々的に取り上げられました。ロバート・デ・ニーロやメリル・ストリープの名前には、当時は興味がありませんでした(と言うか、知らなかったですね)が、ロシアン・ルーレットという自殺的なゲームに取りつかれてしまう戦場の生き残りの物語は、予告編やあらすじで深く印象に残ったものです。
大学に入学したばかりでしたからいろいろやりたいことも多く、晩秋に上映なったこの映画を見に行く機会は、ついにありませんでした。けれども年が明けて迎えた成人式に、僕は出席できませんでした。世界には徴兵で戦場の最前線に送られている若者が大勢いると言うのに、艶やかな晴れ着や、似つかわしくもない羽織り姿で式に参列している日本の新成人の姿を想像すると、何だか馬鹿馬鹿しく思えのです。
それはもちろん見てもいない「ディア・ハンター」の影響からでした。
ディア・ハンターは、この年のアカデミー賞を総なめにしました。主演のロバート・デ・ニーロとメリル・ストリープはノミネートされたものの選ばれませんでしたが、作品賞、監督賞、音響賞や助演男優賞など、ほとんどの賞に輝きました。
あらためてこの映画を見ることが出来て、とても良かったです。戦争(と言うよりは戦場)の不条理や、必要悪がぎっしり詰まっていて、わかっているつもりのあれこれが、そんな生易しいものじゃないんだと切々と迫って来ます。休日に仲間内で鹿狩りに出かけるピッツバーグ郊外の山々(アレゲニー山脈)の美しい映像が、戦場の悲惨さと強いコントラストを表していて、胸に詰まります。戦場が地獄絵であるがゆえに、故郷の大自然があまりにも美しく、それは今僕がいる美瑛を呼び覚まさせるようでもあります。
日本が経済成長にひた走っていたあのころ、政治判断に翻弄されたアメリカ合衆国の若き兵士たちは、全く別の人生を生きていたんだ、と思い出しました。それが良いのかどうかはとても複雑で、単純には決められないことではあります。けれどもこういう状態に突入してしまったら、何が待っているのか、どんな悲しい出来事が個人、個人の人生に襲いかかって来るのかをあらためて考えさせられる映画でした。
もし叶うことなら、多くの日本人に、そして中国の人にも見て欲しい映画だと思いました。
それから言うまでもありませんが、若き日のデ・ニーロとストリープはそれぞれに素晴らしいです!35年の歳月を経ても、それぞれに第一線で活躍しているなんて、すごいね。