突然・・・カナダに来ています。オンタリオ州郊外のアルモンテという小さな町(人口約4000人)の、B&Bに泊まっている。アルモンテ(地図上はアルモント)は、オタワからおよそ40km南西にあります。

どうして突然こんな地球の裏側まで来てしまったかを最初に説明しなくてはならないが、けして、余暇を楽しむための旅行とか、観光とかそういう類のものではない(でも、ちょっとはそうありたいね)。
ご近所にお住いの(もちろん美瑛のご近所ね)こばP先生が、ご主人と共に長年慣れ親しんだ美瑛を後にして、ここアルモンテに引っ越されたのだ。ならば旅のお供にご一緒しましょう・・・、ま、近いけれどももう少し深遠なる事情がある。
こばP先生ご夫妻は、動物愛護にとても真剣で犬2匹と猫25匹を飼っていらっしゃる。この愛犬&愛猫をいかにしてアルモンテへ連れて行くか、そこに私たちの存在価値が見出されたというわけです。そう、9月間もないころに、こばP先生から届いたE_Mailのタイトルは、奇しくも「運び屋さん大募集」だったのです!
10月28日、カナダに向かうこばP一派(こばP&けろく君(カミさん)&僕の3人と猫9匹)は、朝7時半に旭川空港へ向けて出発したのです。動物を運ぶのにもいろいろな制約があって、1度に運べる最大の数や、1人あたり最大何匹までとかの都合上、今回が第3陣(最終)の組となって、その任務を全うすることになりました。
多くの動物を海外へ運ぶのには、本当にたくさんの制約がある。どう逆立ちしたって持ち込めない動物もいる(今回カナダへは、エゾリスとカラスは持ち込めないことが判明。こばP先生夫妻は傷ついた小動物をたくさん保護されるので、いつしか大所帯になってしまっている)。また、持って行ける場合でも、受入国の条件(予防接種などをきちんと打つ必要あり)、移送会社の条件(航空会社やバス会社の許容範囲)、金銭的条件および移送環境等について事前にしっかり確認する必要がある。
今回こばP先生は悩みに悩んだ末、手荷物として人が持っていく手段を選択した。たくさんの猫がいると、どれも健康で元気というわけにはいかない。手荷物といっても預けて荷物室に移される場合が多いが、フライト中以外は手元で動物の様子を確認できる。それぞれを専用のキャリーケースに入れて旭川空港まで運び、ANAでは1人3匹までをすべてカーゴ室へ、羽田から成田へはすべてバス内に持ち込みで移動し、成田からトロントまでは6匹カーゴで3匹(1人1匹)機内持ち込みでフライトした。
このトロントへのフライト中に、今回の旅の最大のトラブルが発生してしまう・・・!何とフライト後およそ8時間くらい過ぎたあたりで、機内に持ち込んだ猫の1匹が籠から脱走してしまったのだ!それは一瞬の出来事だった。カミさんの足元にあった籠から猫が顔を出しているのに気付いたカミさんが「あっ!」と息を詰まらせて猫を抑えようとしたが、猫は間一髪で飛び出した。それに気づいた僕が猫を掴んだものの、素早くすり抜けると、機内の通路に走り去ってしまったのだ!!!後に残ったのは猫の毛少々と、ふたりの掌の傷だけというありさまに、ふたりは息が止まりそうに緊張した。
何事かと爆睡中だった猫のオーナーこばPが目を覚ましたのは言うまでもない。あわてて探しに行こうとする彼女を止めて「すぐにアテンダントに相談しよう」と告げた。ほどなく駆けつけてくれたアテンダント数名と共に猫探しが始まった。さりげなく窘められたものの、これは明らかに飼い主のミステイクだ。もちろん猫には罪がないし、探す羽目になったアテンダントにも、さらには結局知らずに済んだものの猫アレルギーの乗客にも申し開きできる理由は見当たらない。
5~6人で懐中電灯片手に這いつくばって探したけれども無駄だった。アテンダントが1時間ほどの後に朝食らしきものを配るので、その時には少しライトを点けられるから、もう一度しっかり探そうと提案された。受け入れるしかないなぁと思いつつ、最悪はトロント到着時点まで見つからないケースだ。乗客と共に空港へ降り立つ可能性だけは絶っておきたかった。
幸いにもその提案直後に「いる」との情報が他のアテンダントから入ってきた。どうやら機内前方のビジネスクラスのあたりで目撃したらしい。こばP先生を先頭に抜き足差し足で忍び寄った。いた!!!しかし猫も極度に神経質になっているのだろう、追手と知るとすぐに走り去った。さらに前方の、たぶんもっとも高額な部類になる客席に猫は逃げ込み、そこでやっとお縄になった・・・。

こうして猫の捕り物帳は無事に締めくくられたわけだけれども、僕ら3人が被った疲れは半端なものではなかったらしい。席に戻るとほどなく深い眠りに落ち、朝食を挟んでまた眠り、トロント空港まで目覚めることはなかった。13時間に及ぶフライト中、9時間くらいも寝ていただろうか。さらにはその後トロントからマイクロバスで移動中も、夕食をとったサービスエリアでの時間を除けば、また4時間くらいも寝ていた。でもって、宿に到着したのが現地時間の11時P.M。入浴した後眠れぬ夜を心配したのもつかの間、朝までしっかり眠ってしまった。どれほど猫の脱走事件が恐るべき出来事だったのかは、この眠っても眠っても眠り足りない僕らの体が、身に染みてわかっていたようだ。
猫の脱走は一区切りにして、今回の旅のメモを書き記しておこうと思う。まず、成田空港で動物の検疫を受けなければならない。猫の特徴と共に、獣医の記した予防接種などの履歴を提出して、簡単な健康診断を受けなければならない。9匹すべてに許可をもらって書類を発行してもらった。思いのほか丁寧に検査するんだなぁと感心したものの、9匹の検疫をスムーズに済ませてくれた。
次にトロント行のフライトのために搭乗手続きに臨むも、かれこれ30分以上も時間がかかった。エアカナダの窓口は、何かにつけて要領を得ないことが多くて、本当にいらいらしっぱなしだった。最後に機内への搭乗中も、期待がボーイング777というやや大型でもあるため、後方の席の乗客から案内されたのだが、これまた策のないアバウトな呼び出しで、結局全員が機内になだれ込んだ。前方の席で人がつかえて少しも前に進まない。もう少し手際よくやって欲しいと痛感しつつ、都会で(人混みの中で)起きる不都合を思い出して、美瑛生活の反面的な快適さを再認識したような気になった。