Bread of Life

ディボーションタイムを助ける聖書講解

逆説の神学No4「弱さは弱点なのか」

2019-11-25 12:40:06 | Weblog
強くまた雄々しくあれはクリスチャンの愛好聖句ですが、この世の通念も弱いより強い方が勝るとします。
 ところがふしぎな事に聖書に弱いことがとても大切と教えている箇所が多くみられます。
 イスラエルの父となったアブラハムの孫、ヤコブは知恵にたけた世渡り上手で成功者でした。
 ところが彼が天使と格闘しついに腰骨を外され激痛に襲われ漸く立ち上がりますが、腰のゆがみは回復せず以後足を引きずりながら生きなくてはなりませんでした。
 この哀れな姿のヤコブに「貴方の名前をヤコブからイスラエル、神の王子と変えなさい」との命が下ったのです。
弱さの故に人生が変革するパラドックスを描いています。
 使徒パウロは自分の弱さを取り除いていただくよう何度も主にいのりますが主は「私の恵みは貴方に十分である。わたしの力は弱いところに現れる」と約束され以後彼は同じ求めをすることから解放されるのです。
 3年前からでしょうか。
毎朝たったの5分の礼拝がどれほど一日を素晴らしくするかに眼がひらかれ励行するようになりました。
 ところが、勝利が増えてくるとどうしても心が高ぶり横着になるのが人の通性です。
 ある日「今日は仕事をしてから夕食時に礼拝しましょう」と勝手に決め仕事にとりかかったのです。
すると、なすことすること何もかも歯車が食い違いとんでもない躓きを経験し自分に失望させられました。
このとき自分の弱さを忘れていた罪を正そうとされている主の愛に気づき、悔い改め、第一のことを第一にと本心に立ち返る事が出来ました。
明くる日、心は平安をとりもどし一日の諸要素も見事にかみ合って感謝と喜びを数えることが出来ました。
私達は弱さを承知した勝利者でなくてはならないのです。
神はその原則を心得ておられ、私達が、悲しみにあうこと、痛みを覚えることを許されているのでしょう。
 主は愛と哀れみにみちておられ決して絶えられない苦しみに遭うことがないよう、またそれが喜びに繋がるようさじ加減を調整してくださっているのです(1コリ10:13)。
 私達も使徒パウロの様に告白しようではありませんか。

 ●「むしろ私は自分の弱さを誇ろう、なぜなら私が弱いとき私は強いからである」2コリ12:10

(12月は黙想月としてメッセージを味わい直していただければ幸いです)

逆説の神学No3「少ないことは非力なのか」

2019-11-18 12:56:25 | Weblog
行列ができる講義という番組だったでしょうか、クラスを幾つかのグループに分け学生達が自主的にテーマを選び情報を集め自分たちで解決方法を見つけ出して発表させている様子が写し出されていました。
回を重ねる毎にメンバーの顔つきが生き生きとかえられていくのがとても印象的でした。
教授は自分の著書をまるでつけたしの様に講義の終わり際に「参考になると思うので紹介しておきます」と自分からの情報を最小限に抑えているのが従来の教育原理とは真逆の姿勢に思えました。
自主性と小グループをキーワードに2013年の大阪開拓集会からは少人数だからこそ可能なスタイルにチャレンジすることにしました。
まず礼拝を講壇からの一方的な説教スタイルではなく参加型に変革しました。
説教中も参加者に問いかけ自分でも考えてもらい同時にその回答から展開するのも有りです。
参加者に期待するのは説教者が既に準備した答えを出してくれることではなく自分なりの答えを生み出そうと取り組んでくれることです。
人は自分で格闘し生み出した結論は親密感を覚え適用するのが容易になります。
創造を喜ぶように神が人を造られたからです。
対話式メッセージを始めると不思議なことに説教者が準備した答えに勝るとも劣らない回答が返ってくる事もあって礼拝を終えたあとに言いつくせない充実感を覚えます。
聖霊が出入りされているのが実感でき気がつくと内的変革の素晴らしい実が生まれているのです。
なんとすばらしいことでしょうか。
少人数だと参加者全員が自分の体験談を分かち合う時間が取れ励まし合う幸せも加わるのですが少ない人数だからこそ可能なのです。
聖書には少しを持って戦うのも多くをもって戦うのも神にとっては同じであるとあります。
自分の手にあるものが何か少ないと感じるとき、少ないからこそ可能な神の栄光もあることを思い巡らしハレルヤと自分を勇気づけ、そこにしか見いだせない神の恵みと祝福を味わうチャンスとしませんか。

●ヨナタンはその武器を執る若者に言った、「多くの人をもって救うのも、少ない人をもって救うのも、主にとっては、なんの妨げもないからである」サム上14:6


逆説の神学No2「暗く考えるのは悪いことか」

2019-11-11 13:45:25 | Weblog
クリスチャンは物事を暗く考えないようにしましょうと勧められてきたと思います。
「暗く考えることはよくない」という前提があるからです。
ところが聖書はむしろ徹底的に人生を暗く考えることを勧めている節があります。
たとえば人間の死についても「どうぞ天国で安らかにお休みください」と安易な楽観主義ではなく「人が死ぬことと神のまえでさばかれることは定められている」と教え黙示録では最後の審判で永遠の御国と永遠の裁きのどちらかに定められると警告しています。
その事実に向き合い生きている間に永遠に備えるよう強く勧めているのです。
漫画作家の里中満智子さんは小学生のころから物事を暗く、くらく考えてしまう子供だったそうです。
学校帰りに友達と別れるとき「さようなら」というと本当に永久に会えないかもしれないと恐ろしくなるので「また、あしたね」と声がけしないではおれなかったそうです。
彼女は一晩で人が亡くなってしまうことがありうると知っていたのです。
明くる日おともだちと顔を合わせたとき「お友達も自分も元気で生きている」と思うと、とても幸せな気分になったのです。
彼女は「私は暗く考えるのもそんなに悪くない、むしろ徹底的に暗く考え抜くならそこから光に向かうことが出来るのではないか」と思えるようになったと語ります。
 もし死後、闇と光とどちらかにいくのなら、光の国に行けるよう、偽りや報復心などの心の暗闇を留めないように今日を終わろうと心がけてきたと語られていました。
将来の不安と向き合うのはある意味でとても恐ろしいことでが、それを回避し続けるなら本当の希望は育たないでしょう。
貴方が暗くなりがちなら、むしろそれも神の恵みであると受け止め、心を暗くする不安に勇気をもってつきあいそれ以上は暗くなりようがないという地点に到着したなら案外現実はそれほど暗くないことが多いので、一息入れて揺るぎない光にむかう階段をゆっくり登り始めることができるのです。
その足どりを主イエスは貴方の手をとって助けてくださるからです。

●あなたがたは、この世ではなやみがある。しかし、勇気を出しなさい。わたしはすでに世に勝っている。(ヨハ16:33)

しばし苦痛を覚えても自分の弱さ不安に徹底的につき合い主の名を呼んで一つずつ暗闇を取り除いていただくなら揺るぎない希望を生きる事が出来るのではないでしょうか。

逆説の神学No1「不便はマイナスか」

2019-11-05 12:21:41 | Weblog
便利は最善であるという考えは現代人の確信する通念となっていますが一度疑ってみるのも価値があると思います。
私達は彦根から京都に戻ってきたとき車生活は便利と言うより不便である事に気づきました。
殆どの飲食店、商店は駐車場を併設しておらず車では買い物もお茶タイムもままならないのです。
また自転車交通が盛んで特に高齢者の自転車と一寸触れただけでも大変な事故になりかねないのです。
 もし車が必要な時はレンタカーとタクシーでまにあわせればいいと清水の舞台から飛び降りる決意で自家用車を売却して車離れを断行いたしました。
 以後、市バストと地下鉄の不便を甘んじて受け入れたのですが京都は80数本のバス交通網が整備されていて、高齢者フリーパスを利用すれば経費を気にせずに京都市内どこでも出かけることが出来ることが分かりました。
 バス停までの歩行、地下鉄での階段の上り下りは体力保持の公的ジムと思うようになり車のない不便さをなんと幸せな事かと心の底から喜べるようになりました。
 車でただ通り過ぎてきた町並みに気に入ったレストランや便利な器物を販売している商店を発見する喜びが加わり生活のクオリティーが増しました。
 京都大学の川上浩司教授がウエブ上に立ち上げられた「不便益研究所」には不便は有益というコンセプトが楽しく語られています。
 たとえば「バリアフリー」を無くした「バリアアリー」の高齢者ホームもその一例です。
バリアーを置くことでその危険を避けようとするのでぼけ防止に成り同時に筋肉の退化を防げるという考え方です。
 私達の人生の旅路も同じように予期しない迷い道に踏み込んで時間と労力と精神を浪費したと悔やむことがあります。
でもむしろ積極的に新しい何かを発見できるチャンスと受け止めてみたらいかがでしょうか。
ヤコブは神の王子と名前が変わるまでに、ずいぶん遠回りをしましたが神様の御計画は着々と進められていきました。
私達の為に死んで甦られた方が導いておられるのを信じるなら、不便をも喜び、むしろその不便さのひだに隠されている神の贈り物を拾い集めようと積極的に向き合うなら、神はきっとその心根をよみして下さるのではないでしょうか。

●神は、神を愛する者たち、すなわち、ご計画に従って召された者たちと共に働いて、万事を益となるようにして下さることを、わたしたちは知っている。ロマ 8:28