仙台POSSE(NPO法人POSSE仙台支部)活動報告

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「心のケア」のための生活支援を

2012-03-09 18:52:12 | 記事
 PTSDなど、被災による「心の問題」が注目を集め、「心のケア」が声高に叫ばれることが多い。しかしながら、そのような人たちの日々の「生活の困難さ」にはほとんど注目がいかない。
 津波の凄惨な光景をみたり、身内の人を亡くしてしまったり、失業してしまったり…、災害が与えた精神に与えた影響は計り知れない。被災の影響から生活状況が一変し、精神的なダメージを負ってしまった人たちが非常に多いことは、日々、被災者の方々と接するなかで痛感するところだ。精神的なケアが必要なことは明白である。
 しかし、「心のケア」と言われるときに見落とされがちなのは、日々の生活問題だ。精神的なダメージを背負ってしまったとしても、たとえば母子世帯であれば、子どもの世話と同時に、子どもの将来も考えなければならないし、家計を維持するために何らかのかたちで生活の糧を得なければならない。またそのなかで、諸制度や税金等の手続きも、すべて自分ひとりでおこなわなければならない。仮設に出た後の生活再建についても考えなければならない…。
 こうしてみると、生活していくためにのしかかってくる負担が軽いものではないことがわかるだろう。いくら「心のケア」をしたところで、生活上の負担が減ることがなければ、精神状態を回復させることが難しい。
 「震災のショックを癒したいとは思うけど、生活するためにしなければならないことが多すぎるし、これから先の見通しもほとんど立たない。」と話すのは、震災で身内を失った被災者だ。こうした人々の精神的状態を回復させるためには、まず、生活を支える支援をしていく必要があるのだろうと思う。
 厚生労働省研究班がまとめた調査によると、「睡眠障害と診断された人は、岩手県の山田町で44.1%、大槌町で40.0%と、全国平均(28.5%)よりも10%以上高くなっていて、震災後の引っ越しの回数や経済状況、また、失業したかどうかが、密接に関わっているとみられている。」ここからも、生活支援や生活再建に向けた支援の必要性がうかがわれる。
 避難所では被災者の困難が目に見え、多くの人がなんらかの形で支援しようという思いに駆られたであろうし、実際に支援をしてき人も多いだろう。一方で生活上のニーズは見えづらく、したがってまた、そこに対する支援も少ない。しかし、被災者が(そしてしばしば「被災者」ではない人も)抱えている困難は、日常生活のなかに溶け込み、見えづらくなっているだけで、必ずしも解決したことを意味しない。今なお、多くの人々が、日々の生活のなかに「しんどさ」や「あてのなさ」を抱えて生きている。
 「心の問題」が焦点になるときに見落とされがちな日々の生活だが、実際には、生活支援なくして「心の問題」を解決することはできない。日々の生活の中に潜り込んで見えづらくなっているニーズに手を伸ばし、それに寄り添いながら、相談を受け、ニーズに応じて諸制度や社会資源を利用するサポートをする、そんな生活支援が「心の問題」を乗り越えていくための一番の処方箋となるのではないだろうか。
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仙台POSSEでは、この度の東日本大震災における被災者支援・復興支援ボランティアを募集しています。ボランティアに参加したいという方は、下記までお問い合わせください。

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