仙台POSSE(NPO法人POSSE仙台支部)活動報告

仙台POSSEは、労働相談・生活相談をお受けしています。ボランティアも募集中です。お気軽にお問い合わせください。

第二回大人食堂(5月4日)が開催されました。GW期間に仕事がなくなり生活苦に陥った人も。

2019-05-07 15:07:01 | 活動報告(その他)

 

 先日、二回目の大人食堂が開催されました。5月1日の大人食堂が田中龍作ジャーナルで取り上げられ、それがTwitterなどで拡散された影響もあって10名以上の参加があり、大盛況となりました。

 

 今回参加したのは、契約社員や派遣社員などの非正規雇用労働者、現在失業状態にある方たちでした。「ご飯が食べられるから」、「職場の愚痴とかも話せそうだから」とふらっと寄った方から、GW中に仕事がなくなり実際に食べることに困っている方まで、さまざまな背景を抱えている人たちが集まりました。

 

◼️参加者の声

 

 今回「大人食堂」参加してくれた方々の「声」を紹介したいと思います。

 

・女性(40代、非正規雇用労働者)
「全然知らないでたまたま参加したので、前の仕事のトラブルの愚痴を聞いてもらって気持ちがすっきりしました」「誰にいっていいかもわからない悩みがある人には良い入り口になると思いました」

 

・男性(40代、失業中)
「会場が入りやすい雰囲気で安心して参加させていただきました」

 

・女性(40代、非正規雇用労働者)
「暗い雰囲気は全くなく、なごやかな感じでいいのでは」「続けていくことを希望します」

 

・女性(20代、失業中)
「働くにあたって、困っていることを相談できる場がある(しかもごはんが食べられる)ことが身近にあることがわかってよかった。もし自分が困った立場になったら一緒に考えてくれる方がいるのは、とても心強いです」

 

・男性(30代、非正規雇用労働者)
「街中なので仕事帰りにきやすい」「野菜、一人だと食べないからいい」

 

・男性(50代、非正規雇用労働者)
「今後も参加したい」

 

◼️「食」をつうじて支援団体やユニオンとつながれる場

 

 今回やってみて気づかされたことは、職場や生活での悩みはあるが、「労働相談」などではハードルが高いと感じている人がいるということです。今回のような場だと、食堂に晩御飯を食べにいく「ついで」に、気軽に働き方や生活の悩みを相談することができるのです。

 

 職場ですぐに対処が必要なトラブルを抱えていなくても、程度の差はあれ、多くの人たちが働き方についての悩みを抱えています。しかし職場や生活の悩み相談することは簡単なことではありません。そのため多くの人たちが誰にも相談することができず、一人で抱え込んで孤立していることも珍しくないのです。

 

「大人食堂」は、そのような人たちが、支援団体や同じ悩みを抱える仲間とつながることができる場になっていくと感じています。

 

 この日の参加者のなかには、深刻な生活問題を抱えている人もいました。すぐに生活保護につながらないと食べていけない人もいましたし、多額の借金を抱えているという人もいました。

 

 生活に困っていたとしても、誰でも美味しくて栄養のあるご飯を食べられる場所、今後の働き方や生活の相談にのってくれる人たちと出会える場所が、「大人」たちにも必要であることを強く感じさせます。

 

◼️「大人食堂」を継続していくためのご支援をお願いします

 

 私たちNPO法人POSSEは、今回の「大人食堂」の取り組みを続けていく必要性を感じています。しかし、そのためには費用も掛かります。人手も必要です。活動を継続していくために、みなさまからご支援をいただければ大変励みになります。

 

 これからも頑張っていきますので、どうぞご支援のほど、よろしくお願いいたします。ボランティアも随時募集しています。関心のある方は、まずはお気軽にご連絡ください!

 


 寄付についてはこちら




仙台市仮設住宅入居者生活実態調査の結果概要を公開し、記者会見を行いました

2014-05-17 15:51:00 | 活動報告(その他)

 

 

 

 

516()NPO法人POSSEは、厚生労働省記者クラブおよび、宮城県県政記者クラブにて「東日本大震災後3年目における仙台市応急仮設住宅の入居者生活実態調査」の結果に関する記者会見を行いました。

 

本調査は、POSSEが仮設住宅での送迎支援活動を通じて築いてきた仮設入居者との関係を基礎に、昨年夏から、東北学院大学経済学部佐藤滋ゼミと共同し、仙台市内の仮設住宅に入居している40世帯に対して、現在の生活実態を把握するためのヒアリング調査を行ったものです。

 

本調査を通じて、現在も仮設住宅に居住する被災者の困窮深まる生活の実態が明らかとなりました。

 

1.世帯収入は回復せず

多くの世帯が震災によって世帯収入の減少を経験し、現在も震災前の収入水準を回復できていませんでした。

平均世帯収入の推移

震災前

249万円

震災直後(仮設入居時)

168万円

現在(調査時の収入)

179万円


2.仮設入居後の健康状態の悪化

調査では、震災前後から現在までの健康状態の変化について質問しました。

その結果、「悪化」22人、「やや悪化」5人である一方で「改善」、「やや改善」は0人と全体の67.5%の世帯で健康を悪化させた世帯員がいることが分かりました。

 震災後の健康状態の変化n=40

 

3.医療費減免措置終了後の医療サービス利用抑制

こうした経済的困窮のために、医療費減免措置の終了後、医療サービスの利用そのものを抑制したり、生活水準を下げたりするなどせざるをえなくなった被災者がおり、健康を悪化させてしまう例もありました。

医療費減免終了後の対応n=23

①通院の頻度を減らした

8世帯

②他にかかる費用を減らした

9世帯

③その他

6世帯

 

医療費の減免にどう対処したかについては、自由回答で具体的にどのように対応しているかを答えてもらっています。その中から、いくつかご紹介したいと思います。

①通院の頻度を減らした

・「病院にいく頻度を減らし、薬は1~2ヶ月分一気にもらうようにした。骨粗鬆症、脊椎の病気を持っている。様々な病気をもっているのに我慢し、圧迫骨折になり、通院を我慢した結果、骨粗鬆症になり、手術ができなくなり、痛み止めでごまかすしかなくなった。」

・「病院に行かなくなった。血圧の治療が必要だが全く通院していない。」

・「医療費を減らさざるを得ず、少し我慢し、歯医者を減らした。腰が悪く長くて15分しか歩けない」

 

②他にかかる費用を減らした

・「食費や公共料金を節約している。」

・「食料品、ガス、風呂を節約。風呂は週1回にすることもある。」

 

4.仮設を出た後も見通しの立たない住宅事情

また、仮設住宅を出た後の住居確保の見通しについても、経済的問題から、家賃の支払い等のあてがなく住居確保の見通しがない世帯が多数存在しました。また、見通しが立っていると回答した世帯にも、実際には復興公営住宅の抽選に外れた場合の見通しがないケースも見られました。

 

5.生活保護基準を下回る多くの世帯の存在

一方で、生活困窮者を支えるべき生活保護制度は利用されていないことが多く、被災者の中には利用に消極的な意識もみられるなど、制度的福祉が十分に生活を支える機能を果たしていないことも伺われました。

 仮設住宅入居者の生活実態が厳しい状況にあるにも関わらず、最低生活を保障するための生活保護制度の利用を抑制し、厳しさを「我慢」しながら生活している傾向が明らかとなりました。


生活困窮時に生活保護を利用するかn=40

利用する

17世帯(うち4世帯が最低生活費以下の収入にも関わらず、生活保護を利用していない)

利用しない

23世帯(うち5世帯が最低生活費以下の収入にも関わらず、生活保護を利用していない)

※項目①で記載した最低生活費以下の12世帯(生活保護利用中の3世帯を含む)と、表6の但し書きの最低生活費以下の世帯数の合算9世帯が異なるのは、表6の但し書きには生活保護利用中の世帯を含んでいないためです。

※記者会見時の配布資料では内訳が間違っていたため訂正しております。

 

「利用しない」と答えた世帯の自由記述欄の理由は以下のように分けられます。

・「親族に迷惑がかかるから」7世帯、

・「行政の世話になりたくないから」7世帯

・「手続きが負担だから」3世帯

・「生活保護を利用することは恥ずかしいから」2世帯

・「その他」8世帯

 

以下には、具体的な回答をご紹介します。

・「どんなに貧乏をしても他人の世話にはなりたくない。」

・「家族に迷惑かけたくない。」

・「世の中の雰囲気が一番の理由。また、家族を頼れと言われるから。しかし父とは包丁を突きつけ合うような関係。だから絶対に無理。本当にのたれ死ぬような状況なら行くかもしれないけど。」

・「娘がいたりするから頼れと言われるけど、実際頼れない。頼ると家族崩壊につながる。息子も頼れないし、娘からは「嫁に行ったから両親の面倒は見ない」と言われており

その後、娘から絶交宣言をされている。誰にも迷惑かけたくない。」

 

入居者の生活実態から見えてくる社会保障の脆弱さ

今回の調査では、住宅保障の脆弱さや医療サービスの利用の困難さ、そして、生活保護の利用抑制などをもたらした制度的福祉の脆弱さという、現在の日本社会が抱える普遍的な問題が浮かび上がりました。

 

こうした客観的状況にありながらも4割の世帯が現在の生活に満足していると回答しています。これは、苦しい状況にありながらも、生活の向上が望めないがゆえに我慢や諦めという形で現状への「満足」を表明したものが多く含まれています(震災直後の屋根のない状況よりましだ、高望みしても仕方がない、というような趣旨の回答が目立っています)。

 

しかし、こうした「満足」や「我慢」は持続可能性が怪しいものです。持続可能な地域社会を形成するためにも、「自助」や「絆」ではなく、普遍的な福祉による対応が求められているのではないでしょうか。

 

なお、仮設調査の内容に関連し、このたび仙台POSSEでは数年間での被災地での支援の経験から、被災地から見える日本の普遍的な課題をより深く論じた『断絶の都市センダイ―ブラック国家・日本の縮図』(今野晴貴編著、朝日新聞出版)。本調査の結果も踏まえて、現在の被災地で問題になっていることとは何か、今後の復興政策や福祉政策はどうあるべきかについて論じています。520日に刊行予定です。ぜひご一読いただければ幸いです。

(Amazonにて注文が可能です。http://amzn.to/1qKdTC9

 

※本調査結果に関しては、後日に詳細な報告書のインターネット上での公開を予定しております。

 

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NPO法人POSSE仙台支部

法人代表:今野晴貴

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塩竈市における不適切な生活保護行政に対し運用改善の申入書を提出しました。

2014-05-14 19:53:03 | 活動報告(その他)

 

 

513日(火)、私たち仙台POSSEは県内の生活困窮者支援に取り組む4団体(宮城県生活と健康を守る会連合会、東北生活保護利用支援ネットワーク、宮城県民主医療機関連合会、ライフワークサポート響)と共同で、塩竈市における不適切な生活保護行政の是正を求める運用改善の申入書を市に提出し、宮城県に対して市への是正指導を求める要望書を提出しました。また、同日この問題を宮城県庁の県政記者クラブにて報告しました。

 

県への要請では、宮城県社会福祉課の担当職員から「塩竈市はこれまでも指導する回数が他の自治体より多い。今回のご指摘を着眼点としてもって監査に入ろうと思います」という旨の回答を得ることができました。現在は、塩竈市からの回答を待っている状況です。

 

 記者会見で報告された塩竈市の不適切な事例から2つだけ引用しご紹介したいと思います。

 

塩竈市では、重度の障害があり24時間の介助が必要な子供のいる世帯に対し、そのような子供を預ける施設が地域にないにもかかわらず施設に預けるよう強要し就労を求めたり、母が精神疾患を抱えながら乳幼児の面倒を見ている母子世帯に対し、元夫に子供を引き渡して就労することを求めるなど、受給者の事情を無視した就労指導が行われていました。

また、住宅扶助に関して、生活保護法では、世帯員が26人の場合には基準額の1.3倍の住宅扶助を支給できるとされているにもかかわらず、塩釜市では世帯員が2人以上の世帯からの申請にも1.3倍の処理をしないという一律の対応をしていました。塩竈市は東日本大震災の影響で家賃が高騰しており、基準額以下の住宅がほとんどみつからない状態であることも全く考慮されていません。住宅扶助に関して世帯人数に応じた処理を行わない塩竈市の対応は、全国的に見ても非常に特異なケースと言えます。

記者会見では、過去にも支援団体が問題点を指摘したり、宮城県からの指導などがあっても塩竈市はなかなか非を認めようとしないということが指摘されました。

ここで挙げた二つの事例は、私たち5団体が把握している事例の中のごく一部に過ぎません。他の不適切な事例に関してはまた後日ブログ記事でご紹介いたします。

 

塩竈市における生活保護運用は、受給世帯の生活や健康を破壊し、生活保護に滞留せざるを得ない状況を作り出します。また生活を破壊したうえで生活保護から「離脱」させ、さらなる生活困窮を生み出してしまう可能性も高く、本当に意味での自立を妨げていると言えます。この論点に関しても後日のブログ記事でより詳しく触れる予定です。

 

今後は今回記者会見を行った5団体で共同し、申入書の内容や塩竈市における数々の不適切な生活保護運用の実態、そしてその問題点などを明かにし、引き続き是正を求めていく予定です。塩釜市の運用を変えていくには、多くの方の抗議の声が必要です。今後も本ブログなどで事例を紹介し、進捗状況を報告してまいりますので、よろしくお願いいたします。

 

 以下にこの件に関して報道された新聞記事を引用します。

 

・毎日新聞(宮城版)23面 20140514

■塩釜市に5団体 生活保護運用の改善を申入れ

塩釜市の生活保護運用に問題があるとして、生活困窮者を支援する「県生活と健康を守る会連合会」「東北生活保護利用支援ネットワーク」など県内5団体は13日、市に根本的な改善を申入れ、県に市に対する指導を要請した。

申入書では、個別の事例を挙げて対応の問題点を指摘した。母子世帯の母親に、重度の障害がある児童を施設に預けて働くよう求めたり、乳児を別れた元夫に預けるよう指導するなど「受給者のおかれた事情を無視した就労指導をした」と批判。2人以上の世帯の住宅扶助について、制度的に増額が認められ、仙台市など全国のほとんどの自治体が1人世帯の1.3倍以上に設定しているのに対し、塩釜市は同額の月35000円しか支給していないと指摘した。

5団体に寄せられた相談で、他自治体が認めているのに塩釜市では認められない事例が目立ったため、連名で申し入れたという。615日までに改善策を回答するよう求めている。同日記者会見した同ネットワークの太田伸二弁護士は「塩釜市では悪質なケースが多く、対応に心がない」と話した。これに対し郷古正夫・同市社会福祉事務所長は「生活保護法と関連通知に基づき対応していると認識している」とコメントした。

 

・朝日新聞(宮城版)25面 20140514

■生活保護「運用改善を」

塩釜市の生活保護の運用に問題があるとして、「宮城県生活と健康を守る会連合会」など5団体が13日、市に改善を要望した。

5団体によると、母子家庭の母親に、離婚した夫に子を引き渡して働くように求めるといった不合理な就労指導や、書類で扶養能力がないと判明している親族を訪問して扶養を求める、といった過度な調査や要請がみられるという。他の自治体は認めている、世帯の人数に応じた住宅扶助の上乗せも認めていないという。


 

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法人代表:今野晴貴

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多賀城市職員研修の受入を行いました

2013-04-15 16:44:51 | 活動報告(その他)

3月12日、多賀城市職員研修の一環でNPO法人POSSE仙台支部で現場体験の受入を行いました。多賀城市市民活動サポートセンターが企画し、「市民恊働に必要な協働相手の理解の基礎となる市民活動の本質を体験を通して学ぶことで、地域の課題解決に向けた仕事への取り組み姿勢を再確認すること」を目的に行われたものです。

 多賀城市に勤務する職員3名にお越し頂き、POSSEの活動紹介、被災者支援の取り組みの概要、被災者就労支援を通じて見えてきた仙台市の労働市場の状況や働き方の問題などについて報告とディスカッションを行いました。

 参加された方の感想の一部を紹介したいと思います。

「専門性を持って支援をしないと相手の人生をめちゃくちゃにしてしまう」「就職できるなら何でもよいという就労支援員もいるが、働くということはその人の生活にとって重要な選択のはずなのに、簡単に言いがち。勧めた側は自分だったら本当にその仕事に就きたいか?」との話は大変印象的であった。

学生のころからしっかりと労働法について学ぶ機会を作ることが非常に大切で、社会や学校の役目でもあると感じた。

NPO の活動は地域ニーズに対して独自の発想で、前例や採算にとらわれずに行われるものであることを実感した研修だった。私たち行政職員が本来この地域ニーズをキャッチすべくアンテナを立てておくべきですが、そのひとつの目の付けどころとしてNPO の活動があるのではないかと思う。なぜその活動がされているのか、されるようになったのかを考えることで行政の果たすべき役割が見えてくるような気がする。そのような視点を持ちつつ、これからの業務に取り組んでいきたいと思う。

ニーズを形にする人のつながりは、NPO だからできる利点もある。行政職員は自分の業務をさまざまな角度からみることにもつながり、ヒントを得られることも多いので、このような研修は多くの職員が受けられるとよいと感じた。

仙台POSSEでは地元の自治体の方々とも連携して、地域のなかで求められる支援をしていきたいと考えています。今回の研修を通じて、自治体の方々と交流する機会は大変貴重なものでした。今後ともこのような機会を通じて自治体の方々との連携を深めていければと思います。

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仙台POSSEでは、この度の東日本大震災における被災者支援・復興支援ボランティアを募集しています。ボランティアに参加したいという方は、下記までお問い合わせください。

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厚生労働大臣より被災者支援活動の取り組みに対して感謝状が贈呈されました

2013-03-14 11:37:34 | 活動報告(その他)
厚生労働省は、平成23年3月に発生した東日本大震災における被災者の支援活動等を行った団体等に対して、厚生労働大臣より感謝状を贈呈することになりました。その団体の中の一つにNPO法人POSSEが選ばれましたので、ご報告をさせていただきます。

【東日本大震災における被災者の支援活動等に対する厚生労働大臣感謝状の贈呈について】

POSSEが被災者支援活動に乗り出したのは、東日本大震災が発生してから1ヶ月半が経過した4月下旬のことでした。震災直後の混乱もひとしきり収まったなかで、被災地では何が求められているのか、まずそのことを把握することが私たちの最初の取り組みでした。現地を駆け回っていた記者や支援者、民生委員の方々などにお話を伺いながら現地のニーズを探っていきました。

そのなかで聞こえてきたのは、「仮設住宅への入居が決まったはいいけど、自力で避難所から出られない人たちがいる」という声でした。当時は多くのボランティアや支援団体が被災地に入っていましたが、それでも至る所で人手不足が叫ばれている状態でした。そこで、私たちは労働相談活動を通じて連携してきた全日本建設運輸連帯労働組合の方々と共に、現地の学生ボランティアを募り、避難所から仮設住宅への引っ越しを支援する取り組みを始めました。引っ越しにかかわってくださったボランティアはのべ100名を超えます。引っ越しを支援した世帯は119世帯(2011年9月)となっています。(引っ越し支援を通じて見えてきた被災者の状況等は、渡辺寛人「仙台市における被災者支援の現場から」『POSSE Vol.12』にまとめられています。)

また、同時に仮設住宅への物資の搬入など、人手が足りていないところへボランティアを送り、さまざまな面から仮設住宅への入居をサポートしていくこととなりました。

被災者の生活が避難所から仮設住宅に移行していく中で、徐々に支援も減り、被災者の「自立」が求められるような雰囲気も漂いはじめました。しかし多くの被災者と接しながら、現状の生活について話を伺ってきたPOSSEにとって、被災者へ「自立」を求めることに対して違和感がありました。むしろ、仮設住宅に入居したあと、自立した生活を送っていくためにこそ支援が必要だということが、POSSEの見解でした。

そこで、POSSEは引っ越しを支援した世帯を中心に、仮設住宅に入居されている方々へニーズ調査を行いました。毎日、仮設住宅を戸別に訪問し、何が必要とされているのかを聞いて回りました。「ボランティアに何ができるのか」「迷惑だ」など、厳しい言葉を投げかけられたこともありました。

そのような中で見えてきたのは、仮設住宅での移動支援のニーズと、悲惨な子どもたちの状況でした。2011年8月頃からは、そのニーズを汲み取り、日常的な生活をサポートするということをコンセプトに、仮設住宅での送迎支援、被災した子どもたちへの就学支援をスタートさせました。(それぞれ、渡辺寛人「非日常から日常へ 被災地での実践的取り組み」『POSSE Vol.13』、渡辺寛人「被災した子どもたちへの支援」『POSSE Vol.15』、伊達千尋「送迎事業を通して見えた被災者の紐帯の変化」『POSSE Vol.16』に詳細がまとめられています。)

平成24年度からは、被災者の生活再建を支援するために、仙台市復興事業局生活再建支援室と協働で、被災者就労支援にも着手してきました。(詳細は、渡辺寛人「被災地仙台における就労支援実践」『POSSE Vol.17』)

被災から2年が経過した今も、被災者の状況は決して改善しているわけではありません。被災の影響は、個々人の生活の奥深くに入り込んでしまい、目に見えなくなってしまっています。だからこそ、被災者が抱えている困難を丁寧に汲み取っていくために、継続的な支援やかかわりが必要なのです。

POSSEでは、平成25年度もこれまでの経験を活かしながら、被災者支援活動を継続していきます。今後ともご支援、ご協力のほどよろしくお願い申し上げます。