仙台POSSE(NPO法人POSSE仙台支部)活動報告

仙台POSSEは、労働相談・生活相談をお受けしています。ボランティアも募集中です。お気軽にお問い合わせください。

エステ業界の改善を目指すユニオンの紹介

2014-08-30 17:20:20 | 記事

 先日、「たかの友梨ビューティクリニック」に関して、以下のようなニュースが流れました。

 

「たかの友梨:通報者に精神的圧迫 女性社員が保護申告」(毎日新聞 20140828)

http://mainichi.jp/select/news/20140829k0000m040095000c.html

  エステサロン大手「たかの友梨ビューティクリニック」を経営している「不二ビューティ」(本社・東京都渋谷区)が給料から違法な天引きをしているなどと労働基準監督署に内部通報したところ、長時間の詰問など精神的な圧迫を受けたとして、仙台市内の店に勤務していた宮城県の女性社員が28日、厚生労働省に公益通報者保護の申告をした。加入する「エステ・ユニオン」も宮城県労働委員会に不当労働行為の救済を申し立てた。

  申告書などによると、女性は5月に同社に労組の結成を通知、給与からの制服代の天引きや未払い残業代の支払いなどを求めて団交を重ねたが解決せず、労基署に違法な状況を申告した。仙台労基署は8月5日に違法な給与の減額分の支払いなどを命ずる是正勧告を行った。

  労組がこの経緯を公表しようとすると、店を訪れた高野友梨社長が全従業員を集めて食事会を開き、女性を名指しして「(労基法通りにやれば)潰れるよ、うち。潰してもいいの」などと述べたという。

  女性は職場に行けない状況が続いているといい「幹部に囲まれ名指しで非難され、恐怖以外のなにものでもなかった。公益通報者にこうした攻撃は許されない」と話している。

  同社は「詳細は承知していないが、当社としては不当労働行為とされるような行為はしていないと認識している」としている。

  公益通報者保護法は、事業者の法令違反を通報した人に対する解雇や降格などの不利益な取り扱いを禁止している。

【東海林智】

 

 この記事にある「エステ・ユニオン(ブラック企業対策ユニオンエステ支部」、はエステ業界で働く人が集まって、エステ業界の働き方の改善に取り組む労働組合です(詳しい紹介は「エステ・ユニオン」のHPを参照http://esthe-union.com/index.html)。

 ユニオンが求めていることは、「ずっと働き続けたい!と多くのスタッフが思える職場環境を作りたい!」ということであり、具体的には長時間労働の抑制や産休・育休の取得妨害の改善を求めています(http://esthe-union.sblo.jp/article/102923152.html)。

 これらは女性が働き続けていくうえでは重要な要素であり、またそれらの要求は一企業だけにとどまらず、業界全体に向けられていることも注目すべき点だと思います。

  エステ・ユニオンは相談を恒常的に受け付けていますが、今回は上記の記事のような行動に合わせ、エステ業界のための労働相談ホットラインhttp://esthe-union.sblo.jp/article/102877797.html)を実施しています。

 今回話題になっている「たかの友梨」からの相談だけでなく、業界全体から相談を受け付けているとのことです。

 次のホットラインは9月1日であり時間帯は20時~24時までです。

 エステ業界で働き方がおかしいと思う方は、是非お気軽に相談してもらえればと思います。

 

 私たちPOSSEも、今後連携して、業界全体の改善に取り組んでいきたいと思います。

 

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NPO法人POSSE仙台支部

法人代表:今野晴貴

所在地:宮城県仙台市青葉区本町1-14-20 キクタビル6階

TEL:022-302-3349

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【ブラック企業裁判原告による】 残業代0ゼロ制度に関する、首相への意見

2014-07-02 21:33:09 | 記事

このたび、仙台POSSEで支援を行ってきております、東北医療器械事件(ブラック企業に対する集団提訴)の原告の方が、自分たちのブラック企業での辛い経験を踏まえて、残業代ゼロ制度の見直しを求めたいということで、安倍首相へお手紙を出しました。

本人のご希望により、手紙の内容を仙台POSSEのブログにて、公開させていただきます。(このお手紙についての感想やご意見については、仙台POSSE宛にお願いします。)

また、裁判の原告という立場を考慮して、本ブログでは原告の名前を匿名にさせていただいておりますが、安倍首相にお届けした実際のお手紙には、実名を記していることを付記しておきます。

以下、東北医療器械事件の原告による安倍首相へのお手紙の内容を転載します。 

 

内閣総理大臣 安倍 晋三様

拝啓 時下ますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

 さて、この度、突然のお手紙をお詫び申し上げます。私は今、東北医療器械という以前働いていた会社を元同僚で20代前半の男女6名で訴えております。前の会社は所謂ブラック企業と呼ばれる会社でした。求人の募集内容と違うことや、残業代未払いは当たり前、パワハラや長時間労働といった悪質な会社に対し、残業代未払い請求などを行っております。ブラック企業に訴えを起こした全国初めての集団訴訟として注目を集めております。

 毎年たくさんの新卒の子たちが入ってくるのに、1年も続かない子がほとんどです。それは、その子たちがやる気がないからではありません。長く続けることができないのです。夢や希望をもって入社してくる子たちを使いつぶしています。私はその子たちがかわいそうでなりません。元気だった子たちが、日が経つにつれ笑顔がなくなっていく様子はとても心が痛みました。また、世の中には同じ被害に遭われている方がいます。その方々に勇気を与えられたらと思っております。私たちの様に20代の若者でも訴えられることで励みになればと思いこの裁判活動を続けております。

 そんな「ブラック企業」が騒がれている中、先日ニュースで総理の「残業代ゼロ制度」を目にし、お伝えしたいことがあり、お手紙を差し上げました。総理は私たちも訴えている「残業代未払い」の会社が世の中にどれだけあるかご存じですか?「ブラック企業」と呼ばれる企業があることをご存じですか?「残業代未払い」=「ブラック企業」ではございませんが、「残業代未払い」も「ブラック企業」の特徴です。私たちは今、そのブラック企業と闘っています。私たちと同じように様々な方法で闘っている方がたくさんいます。

 総理のこの制度はこういったブラック企業を許すことだと思います。何故たくさん働いても給料がもらえないのでしょう。何のために働いているのでしょう。誰も好きで残業をしているわけではありません。残業代がもらえるから頑張って働いている人がほとんどです。そのような現状をご存じですか?「残業代未払い」で闘うことができなくなります。それがどのようなことか分かりますか?ブラック企業で若者が使いつぶされています。1日12時間以上の拘束、休憩が取れない時もあります。県外まで通い自宅につくのが真夜中になる時もあります。これだけ働いているのに残業代がもらえなかったら何のために働いているのでしょう。人としての喜びはどこでしょう。どこにあるのでしょう。休みなく働いている人がいます。休みを返上して働いている人がいます。いったい何のためでしょう。企業の社長がお金のことしか考えていないからです。働いている私たちのことをみじんも考えていないからです。世の中にはこういった国民が少なくありません。このような人たちから給料をうばえますか?このような人たちも税金をおさめています。その税金で生活しているのは一体誰なのでしょう。私たちはロボットでも働きアリでもなく人間なのです。ブラック企業がはびこるせいで亡くなる方や病気になる方、働くのが困難になる方がいます。それは何故でしょう。この事実をご存じですか?ブラック企業とこの残業代ゼロ制度は関係ないものではないと思います。この制度が通った時のことを考えるとおそろしくてしょうがありません。増税をする代わりに、残業代をなくす代わりに、給料をあげたり、雇用保険のもらえる期間を長くするなど代わりの政策はないのでしょうか。この制度で景気がよくなるとは思いません。これが国の認める残業代ゼロ制度です。企業の社長だけの責任ではなくなります。国の責任になります。

 冒頭でも申し上げましたが、私はこの裁判に勝ちたいです。全国初めての裁判として勝利を得たいです。私たちが勝利することで判例がうまれ、ブラック企業と闘う方の助けとなります。この裁判を知って励まされたと連絡をくださる方がいます。少しずつではありますが、この輪が広がってきているところです。この輪がもっと広がれば世の中の問題として捉えてもらえると思います。私は新卒の子たちに同じ思いをしてほしくないのと、同じ被害に遭われている方に勇気を与えたいという信念を持って活動しています。ここまでの道のりは決して楽なものではありませんでした。しかし、自分が何のために裁判を行っているか考えたときに、この2つの思いが大きかったです。ゆるがない信念を持ち、これからも裁判活動を行っていくと共に、この輪をここでとどまらせないよう尽くしていきます。

 これらのことを踏まえ、ご検討の程、よろしくお願い申し上げます。

 

敬具

平成26年6月27日 

東北医療器械事件 原告 ●● ●●

原告を支える会 代表 青木耕太郎


被災者のために安心して暮らせる住まいを!

2013-03-25 10:03:46 | 記事

 先日、「みなし仮設」の打ち切りがニュースになった。震災からちょうど2年が経ち、被災者がこれから生活再建を目指していく矢先のことだった。「みなし仮設」打ち切りは、ようやく慣れてきた新たな生活・土地から転居することを被災者に強いることになり、被災者の生活再建に遅れが出てしまうことは否めないだろう。

【みなし仮設:打ち切り増…宮城・岩手465戸】

 民間賃貸住宅を借り上げて東日本大震災の被災者の仮設住宅にする「みなし仮設」について、貸主から契約を2年で打ち切る意向を示された物件が、宮城・岩手両県で少なくとも計465戸に上ることが両県などへの取材で分かった。被災地の物件不足に伴い、より好条件で貸し出せる見通しがあることや、物件自体の老朽化が大きな理由とみられる。今後も契約延長に同意しない貸主が増える見通しで、被災者の受け入れ先が不足する懸念もある。

<中略>

 契約期間は災害救助法で2年間と規定している。政府は昨年4月、入居者に1年間の延長を認めたが、今月から6月ごろにかけて最初の入居期限切れがピークを迎える。宮城・岩手両県の調査では、貸主が契約延長に同意しない意向の物件は宮城県441戸(今月5日現在)、岩手県24戸(2月8日現在)だった。

(毎日新聞 2013年3月10日)

 今回の「みなし仮設」打ち切りで、民間賃貸住宅と持ち家に依存する日本の住宅政策の脆さが顕著に表れたのではないだろうか。「みなし仮設」という扱いで家賃補助を行っているにもかかわらず、家主の都合で被災者が大挙して、住まいから追い出される格好になってしまった。復興公営住宅の建設には取りかかっているものの、入居予定はまだまだ先である。被災者に安心して暮らせる住居は未だにない。

 
 実はこれまでも日本では、貧困者やワーキングプアの住宅保障は未解決の問題だった。現在の被災者が強いられている「みなし仮設」:打ち切りは、リーマンショック後に、派遣労働者が解雇され、寮から追い出され、ホームレス化して社会問題となった「派遣村」と同じ問題である。

 「みなし仮設」打ち切りは、住宅供給を民間に丸投げしてしまうと、被災者や社会的な弱者の住宅需要を満たせなくなるということを再度露呈させた。この教訓を、平常時からの公営住宅の整備・拡充といった形で具体化し、住宅保障を進展させるという形で活かしていく必要があるだろう。



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孤立死を生む支援制度の不備

2013-03-05 10:08:11 | 記事
2013年2月1日 東京新聞

 避難者同士でも溝 49歳孤独死の背景

 東京電力福島第一原発事故で、東京都江東区の国家公務員宿舎「東雲(しののめ)住宅」に避難している住民の孤独死が三十一日、取材で確認された。福島県郡山市から自主避難した男性(49)で、死後一カ月がたっていた。住民の声を聞くと、同じ避難者でも年代や避難の事情で溝があり、孤立を深める現状が浮かび上がった。 (小林由比、森本智之)

 江東区社会福祉協議会によると、男性は放射線量の高さを理由に二〇一一年十一月、東雲に避難した。郡山市は国が立ち入りを制限する警戒区域ではないが、震災直後から新潟、山形県で避難生活を送った後、東京でのホテル暮らしを経て、入居したという。

 地元では市の外郭団体に勤務し「五年くらい前に自己都合で辞めた」(団体関係者)。障害者福祉施設などで事務作業に当たっていたという。

 社協は昨年九月から戸別訪問で男性宅を訪れ、三回目の十月十二日にはインターホン越しに話ができた。支援の飲料水が必要か尋ねたが「いらない」との返答だったという。昨年十二月初旬、郵便物を預かった管理人が男性と連絡を取ろうとしたが月末まで取れなかったため、郡山の両親に連絡。年明けの一月五日、両親や警察官が鍵を壊して中に入ると、男性はこたつに入りあおむけの状態だった。同じ階に住む六十代の女性は「全然知らなかった。まだ若いのに…」と絶句した。

 東雲では、避難者同士の孤立を防ぐための交流サロンが週二回開かれている。しかし、単身で大熊町から避難する男性(47)は「高齢の人が多い茶飲みに、僕らみたいな世代は参加しにくい」と話す。男性は現在、仕事をしており、都内に親戚や友人もいるが、「そういう人がいないと孤独だろう」と推し量る。

 自主避難者と警戒区域からの避難者との間にある「溝」を指摘する声もある。浪江町から子連れで避難する女性(35)は「浪江とかから強制避難させられた人と、郡山みたいに自主避難の人では賠償金にも差が出てしまい、やっかみなどもあると聞く」。別の避難者も「自宅に帰ろうと思えば帰れる人たちは自分たちとは違うという複雑な思いもある」と打ち明ける。

 避難者でつくる東雲の会会長で浪江町から避難する藤田泰夫さん(60)は「見回り活動などをしているが、すべての人を把握はできない。一人で部屋にこもることが多いと、どうしても精神的につらくなり、病気がちになる」と懸念する。社協などでは、避難世帯の半分以上となる単身の約三百世帯に対し、訪問の回数などを増やしていきたいという。

(http://www.tokyo-np.co.jp/article/feature/nucerror/list/CK2013020102100005.html)


 支援制度が整っていないなか、福島原発事故の自主避難者は、生活の見通しが立たないまま見知らぬ土地へ行かざるを得ない状況にあった。この男性もまた、新潟、山形での避難生活を経て、東京で生活することになる。住み慣れた土地から慣れない土地へ移動するだけでも精神的な負担が大きいが、4、50代の男性が単身で来た場合、孤立しやすいという面もある。

 実際に仙台POSSEでの被災地支援の現場を見ていても、単身の男性は交流サロンなどの集まりに参加できない方が多い。というのも、交流サロンなどに参加しているのは高齢の女性が多く、もともと地域で交流のあった人がいない限り中高年の男性一人ではイベントや交流サロンには参加しづらい状況にあるからだ。加えて、就労圧力が高まっているいま、働いていないということに負い目を感じ、人の目を気にして外に出られず、社会に出る機会が奪われたりしていることも少なくない。
 
 このような状態を踏まえて、個別支援として訪問の頻度を上げることや、相談がいつでもできるような信頼関係の構築、支援の質の向上も必要になってくるだろう。そのためには巡回する人数を増やさなければならないが、被災者や地域住民だけでなく、社協や、行政が主体となって行うような支援体制の拡充が必要だ。

 いずれにしても、原発を推進し、慣れない土地に行かざるを得ない状況を作ってきた企業や国の責任が問われていないことや、避難者への生活保障が十分でないことへのしわ寄せは、全て当事者に向かっている。



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1月18日(金)の河北新報で、就学支援についてのセミナーが紹介されました。

2013-01-22 01:19:22 | 記事
 被災児童支援 在り方考える
  東京のNPO セミナー開催

 「被災地の子どもたち 貧困の現状と求められる支援」をテーマにしたセミナーが12日、東京都内であった。雇用不安定問題を考える若者でつくる東京のNPO法人POSSE(ポッセ)の主催。ポッセが取り組んでいる東日本大震災で被災した子どもたちへの学習支援活動を踏まえ、支援の在り方を考えた。

 仙台市を拠点に被災児童・生徒の勉強をみているポッセの鈴木由真さん=一橋大3年=が、子どもたちの現状を報告。「個々の家庭事情に被災の打撃も加わり、貧困と背中合わせで日々を送っているケースがある」などと問題提起した。

 東大大学院教育学研究科の本田由紀教授は、被災地で表面化する子どもの貧困の背景を、社会構造的な視点などから解説した。鈴木さんと本田さんの対談では、困難に直面した子を社会に送り出す道筋のつけ方などについて意見を述べ合った。

 参加した約40人は、被災地が抱える苦悩の一端に触れ、どう支えていくべきか思いを巡らせていた。
2013年1月18日(金)河北新報



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