仙台POSSE(NPO法人POSSE仙台支部)活動報告

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仙台POSSEボランティアスタッフから―就学支援の現場報告―

2012-09-19 20:03:38 | 活動報告(就学支援)


 私は仙台POSSEのボランティアスタッフとして就学支援に参加しており、継続して支援を行っています。

 私の担当する世帯は、民間賃貸住宅を自治体が借り上げて仮設住宅とするいわゆる「みなし仮設」で生活されています。「みなし仮設」の特徴として、その実態が周りから見えにくいことがよく挙げられます。なぜなら、民間賃貸住宅は、傍から見ると「被災者」なのか「被災者」でないのかわかりづらいからです。そのため、本当に支援を必要としている場合でも、誰からも気づかれず、支援ニーズが埋没してしまうことも少なくありません。また、プレハブ仮設の方では被災者のためのイベントが行われていることが多く、住民が集まって話をしたり、一緒に趣味を楽しんだりする機会も多少確保されていることが多いのですが、「みなし仮設」の方はそうはいきません。支援団体の手が差し伸べられることは圧倒的に少なく、被災による経済的・精神的ショックを抱え、話し合える相手を持たないまま、周囲の人々から孤立してしまうことが多いのです。

 私が支援している世帯の方も、例に漏れません。同じ賃貸住宅に住む方と震災をきっかけに知り合ったそうですが、知り合ってから日も浅く、仕事などで忙しい日々を送る中でほとんど言葉を交わすこともなくなったといいます。

 また、得られる情報にも限りがあります。昨年には市からの定期刊行物が届かなくなったこともありました。こうして地域から少しずつ分断されてしまうところをみると、就学支援という形で外部からコンタクトをとることの意義を再確認できます。

 仮設での勉強は六畳二間の部屋のうちの一部屋を借り、真ん中にテーブルを置いていつも行なっています。エアコンはなく、近くに勉強できる施設もないため、扇風機を回して暑さと闘いながらの勉強です。それでも担当する子どもは中学3年生ということで、受験勉強と授業の復習とを並行して勉強しています。

 ある日の支援では、苦手科目である数学と英語を中心に受験勉強を行いました。基本的にはどちらも参考書を用いて、まず問題を解いてもらってその解説をするという形で教えています。数学は四則混合の計算と正負の数について勉強しました。内容はそれほど難しいものではないですが、ケアレスミスがいくつか見受けられました。時間制限などのプレッシャーから確認し忘れてしまうようです。英語は What’s ~ ? や He is ~ . の文について勉強しました。英語も以前から苦手と言っていましたが、問題を解かせるとほぼ全問正解できました。自分でもどこが弱点なのかわかってきたようで、疑問点は自ら質問してくれます。支援開始当初は自ら話すことはほとんどなかったので、いい関係が築けている証拠ではないかと嬉しく思います。
 
 休憩時間には、学校での出来事や趣味、悩みなどを聞くようにしています。夏休み中は学習塾の夏期講習に参加しているということを聞きました。学校とは違ってとても静かで落ち着いている空気であったことが印象的だったようです。ただ、震災の影響もあって経済的に余裕がなく、継続して学習塾に通うことは困難であるようです。
ほかにもオリンピックや好きな漫画の話などをしました。なんだか昨年よりも笑顔で話してくれることが増えたように思えます。
 
 しかし、私たちはこの笑顔の裏側で大変な苦労を強いられているということを忘れてはなりません。今後も目の前の生徒さんだけでなく、世帯全体のサポートも視野に入れた支援を継続していきたいです。

(ボランティアスタッフ Sさん)

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仙台POSSEでは、この度の東日本大震災における被災者支援・復興支援ボランティアを募集しています。ボランティアに参加したいという方は、下記までお問い合わせください。

NPO法人POSSE仙台支部
法人代表:今野晴貴
所在地:宮城県仙台市青葉区本町1-14-20 キクタビル6階
TEL:022-266-7630
Email:sendai@npoposse.jp
HP:http://www.npoposse.jp/
BLOG:http://blog.goo.ne.jp/sendai-posse
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