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福山市営住宅で孤独死2人

2012-06-03 13:31:52 | 記事
福山市営住宅で孤独死2人

 福山市の市営住宅で2011年、70歳代女性と80歳代男性の計2人が孤独死したことが分かった。一人暮らしの高齢者は増加傾向にあることから市は、生活や健康状態の把握に向けて自治会との連携強化を検討中。ただ住民の負担増につながる可能性があり、専門家は人材育成や財政支援など、行政の積極的な対策を求めている。

 市によると、女性は昨年8月、「新聞がたまっている」という知人の連絡で、室内で亡くなっているのが見つかった。死後約1週間がたっていた。男性は11月に室内で死亡。民生委員が異常に気づき、死後約1日で発見された。

 福山市の市営住宅には3月末現在、74団地計2632戸に5981人が暮らす。65歳以上の高齢者は1491人で約25%。そのうち一人暮らしは約35%の517人に上る。

 市は、21戸以上が入る40団地の入居者57人に管理人を委嘱している。ただ住宅の修繕箇所の確認や、ごみ出しなどのルール徹底が主な業務。声掛けなどの見守り活動は含まれていない。管理人の自主活動や民生委員に頼っているのが現状だ。

 これについて福山平成大の藤井悟教授(地域福祉論)は「担い手育成や支援を必要とする人の把握などの課題は多く、住民だけでは負担が重い」と指摘。人材育成や財政支援に責任を持つなど、市の積極的な対策の必要性を説いている。


福島民報 2012年5月6日


 孤独死というと、阪神・淡路大震災や東日本大震災などの大規模災害での仮設住宅における社会問題と認知されている方も多いと思います。たしかに被災地では仮設住宅の劣悪な住環境や今後の生活の見通しがつかない不安から来るストレスで体調を崩される方が多いうえ、地域とのつながりが少ないために孤独死が発生しやすい環境にあるといえます。しかし、この事例を見れば分かるように被災地に特有の問題ではありません。孤独死は古くは明治時代から記録がありますが、1980年代以降に全国で急速に報道数が増えています。孤独死の定義が曖昧なため絶対数の把握は困難なものの、その増加は間違いないといえます。

 では、なぜ孤独死が増加してきたのでしょうか? さまざまな要因が背景にあると思われます。その中でも特に次の3点が大きいと考えられます。
1. 家族や地域とのつながりの変化 
2. 社会福祉の不十分さ
3. 貧困の拡大

 「家族・地域社会とのつながりの変化」という点においては、大家族世帯が減少し、高齢者のみの世帯や単身世帯が増えたことと、同時に地域のコミュニティーが崩壊したことが孤独・孤立を作りだしたと考えられます。例えば、高齢者単身世帯は過去25年間で11%から23%と約2倍強に増えています。これは高度経済成長期におこった地方から都市への人口移動や、1980年代以降の労働の流動化の広がりで若者が地元を離れざるを得なくなったことが主な原因となっています。

 そして孤独や孤立が増える中で並行して「貧困の拡大」が進んできました。現在の日本では「社会福祉が不十分」なため、社会制度が生活を支える機能を十分に果たせていません。その結果、私たちは必要に応じてお金で社会サービスなどを買わざるを得なくなっています。言い換えるとお金が無ければ十分な医療や介護などの社会サービスを受けることができないということです。

 「貧困の拡大」は病気になった場合などにお金が無いために医療を受けられず、治るはずの病気で命を落とすといったように、本来であればちょっとしたことでも、それが「死」に直結してしまう人を増やしてしまっています。このような背景のために孤独死は増加を続けているのです。

 この記事では特に2点目の要因「社会福祉の不十分さ」が問題とされています。記事に記載されているように、福山市は住宅の修繕箇所の確認やゴミ出しのルール徹底を住民の負担で行っていますが、孤独死の発生を受けて見守り活動を求めるなど、市の福祉の不十分さを問題とせず、住民の負担をさらに増やす方向に動いています。

 いま東北の被災地では多くのNPOやボランティア団体や行政が仮設住宅の自治会や住民と協力しながら見守りを行い、その努力でようやく孤独死の発生を抑えている状況です。また見守り活動には福祉系の専門知識を持つ担い手が必要な場合も少なくありません。とても住民の負担増だけで対応できる問題ではありません。記事の中の藤井教授のご指摘のように、この孤独死を社会福祉の問題として捉え、まずは行政に責任と対応を求めていくことが孤独死の防止につながるのではないでしょうか。しかし行政による見守りの充実だけではまた不十分で、同時に孤独死増加の背景に切り込んでいく対策が求められるのではないでしょうか。

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仙台POSSEでは、この度の東日本大震災における被災者支援・復興支援ボランティアを募集しています。ボランティアに参加したいという方は、下記までお問い合わせください。

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所在地:宮城県仙台市青葉区一番町4-1-3 仙台市市民活動サポートセンター気付
TEL:022-266-7630
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