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質的分析法のお話

( ゜д゜) 寒いっ!

皆さん,お体にはお気をつけ下さい。

さて,このブログに興味を持っている方ならお気づきでしょうが,雪本はデータ分析に大変興味を持っています。
自分の専門とする心理学研究におけるデータ分析には統計解析法(量的分析法)の他に質的分析法があります。

統計解析法については,学べば学ぶほど奥深さを感じますが,まあ最低限のギリギリラインの理解は超えているだろうと思います。そうすると,残りの,手をつけていない質的分析法について知らない自分に焦りを感じて,一年程度が過ぎました。

あれから関連する資料を読みました。もともと質的分析法は統計解析法ほど一枚岩ではないため,どれがどれやらさっぱりさんです。しかし,最近,とりあえずの理解の枠組みを設定することにしました。難しい,訳が分からない,と考えても先に進みませんので,「とりあえず」の枠組みを作ることにします。

その結果,以下の分析法が主要なものとして挙げることができるだろう,と判断しました。

○内容分析 ← 実証主義
○グラウンデッド・セオリー・アプローチ ← 象徴的相互作用論
○談話分析(会話分析含む) ← 現象学
○ナラティブ分析 ← 物語論

上にあるものほど実証主義的要素が強く,下にあるものほど構成主義的要素が強いといえます。また,分析法が誕生,というと言い過ぎかもしれませんので,心理学に取り入れられた順番で上から下となっています。

それぞれの分析法には思想的背景がありますが,内容分析は統計解析法と同じく実証主義です。というよりは質的データを統計解析法で分析しようとするものが内容分析の正体ということができます。

グラウンデッド・セオリー・アプローチ(GT法)は,(統計解析法と親和性の高い)実証主義と,質的研究法の基本的発想である「構成主義」を折衷したものです。伝統的な統計解析法を学習した人が,質的分析法を勉強する場合,このGT法が自分の分析観を変更せずに「それなりに」納得できるギリギリのラインだと思います。まあ,ガチガチの人はGT法でもきついでしょうが。

そして談話分析やナラティブ分析は伝統的分析観からすれば納得しづらいものです。この辺から分析に対する考え方の転換を図る必要があります。
雪本も,談話分析や物語分析を許容できる分析観を確立していません。せいぜい「そんな分析観もあるんだな(正直なじめないけど)」という段階で止まっています。

しかし,この辺の壁を突破して,統計解析法だけではなく,量的・質的を包括した研究法を学習するための効果的な教育プログラムを開発したいと思っています。
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地位分類の追加(ソシオメトリックテスト)

( ゜д゜) しつこい?

はてさて,「ソシオメトリックテスト for Excel」のバージョンアップをしました。
今度は何を追加したかというと,「Coie & Dodge(1988)の二次元分類システム」を使って,対象者の地位を「人気(選択数が多く,排斥数が少ない)」,「拒否(選択数は少なく,排斥数が多い)」,「両端(選択数も排斥数も多い)」,「無視(選択数も排斥数も少ない)」,「平均(選択数と排斥数はそこそこ)」の五つに分類するというものです。

※選択数とは選択される数,排斥数とは排斥される数という意味です

Θ・)ノ「だいたい こんなかんじ」
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そしてソシオができた

( ゜д゜) できたのでup! up!

もちろん,ソシオメトリック・テストのことです。
この週末ちまちまと作っていました。寂しい週末を迎えているな,なんて言わないで下さい(T_T)

えーと,今回は50人分までのデータ入力をします。
よくあるタイプの「選択・排斥」制限はかけていない,無制限バージョンとしています。無論,データ収集の時に,制限付きで行ってもらっても構いません。
各指標を「無制限」バージョンで作成しているということです。

Θ・)ノ「そしおにくわしくないと うえのかいわは なんのことやら?」

あと,ついでに,数量化理論Ⅳ類のVBAマクロをつけました。
ありがとうございます! 青木繁伸先生!

そして,ラベル付き散布図のVBAマクロもつけておきました。
ありがとうございます! 山口和範先生!

青木先生と山口先生がご自分のホームページにて,VBAマクロを公開して下さっていなければ作れませんでした。この場を借りてお礼申し上げます。

それでは,皆様,お試しあれ!
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ソシオメトリック・テスト

( ゜д゜) ちょいっと作る気がup

雷が怖いよー(T_T)

雪本さんのサイト「独学をすスめ」では,ちまちまとExcelテンプレートファイルが置いています。

で,そこに「ソシオメトリック・テスト」もあるのですが,片手間に作ったやつをかなり長い間放置していました。これはいかんなぁ,と思ってはいたのです。
そんな中,最近,同僚の人たちと勉強会をすることになりまして,そこで「ソシオメトリック・テスト」とはどんなものなのか,を実際に体験してもらおうと思いました。

つまり,「ソシオメトリック・テスト」の大幅改訂版を現在作成中です。
田中熊次郎先生の「ソシオメトリーの理論と方法」も取り寄せましたので,これを参考にして頑張ることにします。

まあ,数値的な指標は算出するようにしますが,ソシオグラムを描くのは無理でしょうな。

改訂版ができましたら,これについてもダウンロードできるようにしたいと思います。
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質的分析法の理解法(仮)

( ゜д゜) 一月が終わりゃー

質的研究法を解説した教科書をちらほらほらちらと眺めてみましたが,とりあえず以下のように整理するのがよいのではないかという仮の考えに至りました。

○質的分析法(主としてデータ分析法)の基礎手法
 科学が何らかの概念を使って体系的に現象を記述・予測するものである以上,「概念」は重要な働きを持つことになります。そして研究とは非常に単純化すれば,概念を発見・生成し,複数の概念間の関係性を調べることです。
 そして,この概念を発見・生成するためには,データをある程度のまとまりで断片化して,カテゴリ化を行うという作業は必須となります。さて,このカテゴリについて二つの態度があります。

(1)あらかじめカテゴリを用意しておき,その既存カテゴリからデータを分析
(2)データの中からカテゴリを作成していき,作成カテゴリでデータを改めて分析

両極的な分析態度ですが,(1)に立脚する分析法が「(質的)内容分析」,(2)に立脚する分析法が「グラウンデッド・セオリー法(GT法)」となります。

質的分析法(研究法)にはその他にも幾つかの手法が提唱されていますが,それらとこの二つは別格扱いと考えていた方がよいでしょう。そのほかの分析法は,これのオプションと位置づけることができる……これが雪本流の理解です。

○その他の手法

・談話分析
 人は話(談話)をするときには何らかの意図を持っている……と仮定します。そして,その談話意図と,談話される内容は必ずしも一致しません。たとえば,「君の話はわからないな」という発言は,「それ以上お前はしゃべるな。黙っておけ!」という談話意図で発せられることがあります。
 談話分析では,このような談話内容よりも,談話意図を分析対象としようという目的意識・分析態度のオプションのことです。このため,そのような談話意図を分析できるようなデータ収集を行う必要がありますので,単に発話内容だけではなく,その文脈も合わせて記録することになります。また,分析する場合も,発話内容重視ではなく,発話意図をメインに,GT法や内容分析を駆使して分析を行うことになります。

・ナラティブ分析
 ナラティブは「物語/語り」と訳出されることが多いですが,分析対象となるのはその名の通り「物語/語り」のことです。

( ゜д゜) 唐突ですが,以下略っ!
    時間のある時に,追加しますっ!
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心理学専攻生と非専攻生の違い

( ゜д゜) 雑記ばかりではあれなので

ちょいっと,まじめっぽい話を投稿。

雪本さんは,心理学を専攻しており,教育にも関心を持っております。ここから,心理学教育とはどのようにあるべきか,という問題にも関心があることは容易に連想されるでしょう。

心理学を学ぶという意味は二通りあると思います。一つは心理学専攻生として学ぶ,一つは非専攻生として学ぶです。
大雑把に心理学カリキュラムで学ぶ内容を,(1)認知心理学,発達心理学,性格心理学,学習心理学,社会心理学などの○○心理学すなわち「心理学の内容」と,(2)心理学研究法,心理統計法などの「心理学の方法」とに大別します。
専攻生も非専攻生も「心理学の内容」を学ぶ点では共通していますが,専攻生はそれに加えて「心理学の方法」を習得しなければなりません。そう,心理学専攻生とは,心理学の方法論を自覚的に習得しているかが大きなポイントとなります。

この「心理学の方法」の学習は座学で学べるものではありません(知識提供として座学が行われますが,それでは知ることは出来ても,習得は出来ません)。多くの心理学カリキュラムでは,「方法」系の授業は「○○演習」という実習形式で行われます。いわゆるグループによるゼミ学習です。

このゼミ学習で,しっかりと担当教員が個別対応で指導しなければなりません・

Θ・)ノ「つづく」
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質的分析法についての徒然

( ゜д゜) 九月っ!

大学生にとっては夏休みも後半戦,大学以前であれば二学期です。

さて。以前,質的分析法の話をしましのたで,そのちょっとした続きを。
最近は,質的分析法やら質的研究法などが流行ってきているので,この類の資料が多少は出回るようになっています。
それ自体は良いのですが,概念があまり整理されていないまま,流行となっている点は問題ではなかろうかと思います。

以前のお話のbobさんのコメントに

> さて、マーケティングの世界でも質的分析(定性調査、定性分析)をよく使います。
> 古典的なパーソナルインタビューやグループインタビューから、最近の流行では評価
> グリッド法やテキストマイニングなど。
> また、個人的にはロジックツリーやマインドマップといった方法も定性分析の方法と
> して使えるのではないかと考え、色々たくらんでいます。

いくつか固有名詞が挙がっています。これらをひとまとめで質的分析法とすると混乱を招いてしまうよ? というのが雪本さんの主張の一つです。
ひとまとめにするのが問題だとするとどうすればよいか,というと分類ですね。まずは大雑把に,「質的データの収集法」と「質的データの分析法」とに分ける必要があるでしょう。無論,質的データの場合には,収集法と分析法は厳密に分離できないという意見があり,雪本も【ある程度は】この意見に賛成しています。【ある程度は】。
でも,分析法あるいは研究法を整理するのならば,その方法論がどのようなものであるか,その性質をちゃんと把握しなければならないのではないでしょうか?

Θ・)ノ「うん」

となると,「パーソナルインタビュー」「グループインタビュー」はあくまでも「質的データ収集法」に分類され,分析法それ自体に言及しているものではないことがわかります。「評価グリッド法」は「質的データ分析法」をメインにおいて,その分析にかけられるように「質的データ収集法」にある程度言及をしています。この意味では「評価グリッド法」とは「メインは分析法,ただし,ある程度の収集法を示すもの」と述べることができるでしょう。
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標準化された分析法の必要性

( ゜д゜) まだまだ あついっ!

アクセス解析を見てみると,多重比較法のキーワードでここに訪れる人が多いみたいですが,今回は質的研究法についてです。

例えば,「○○の意識を調べるために主成分分析を行いました」などと宣言されると,統計解析法を学習している者からすると,首をかしげてしまう状況があるだろう。「その場合には,顕在的な合成変数を作成する主成分分析ではなく,潜在因子を調べる因子分析を使うべきではないか?」という思いからである。

このように,統計解析法(量的分析法)の場合,ある程度,手法がパッケージングされており,その手法の適用状況や得られる結果などが明確である。これは,方法論にこだわる心理学では,その手法が使われることが適切かどうかを判断してもらうために重要な情報となるだろう。

すなわち,ある手法の名前から,ある程度明確な「適用可能範囲,得られる結果表示」が連想されることは大事なのである。これに対して,質的分析法では,そのような段階に至っていない。
確かに,質的分析法においても,グランデッド・セオリー法,質的内容分析法,KJ法,会話分析,談話分析,物語分析などの,ある程度固定的な分析名が開発・紹介されている。しかし,これらの分析法から,固定的な,明瞭な連想が可能かというと,必ずしもそうではないだろう。

これに対して,質的分析法は,量的分析法と比べて柔軟性が必要とされるから,あまり固定化すべきではないと反論する人もいるだろう。私はこれに対して,以下のように反論する。
質的分析法が柔軟であるべきだということは間違いない。しかし,心理学研究法では,得られたデータを「分析者が主観的に,好き勝手に分析したのではない」ということを宣言するために,多くの者が了解している「比較的標準化された分析法」が必要となる。標準化されているからこそ,「○○データを△△を調べるため,××ではなく,より適切だと思われる■■の分析手法を使った」という議論ができる。
この議論は,統計解析を使う量的研究であれ,統計解析を使わない質的研究であれ,必須であると私は考える。

ゆえに,質的分析法においても,ある程度標準化された分析法が必要になる。少なくとも,△△を調べるために,××ではなく,■■を使うべきだという議論ができるように。それぞれの分析手法が持つ,適用範囲や目的などの「使い分け」ができる必要があるだろう。

( ゜д゜) このブログの読者であれば,雪本が種々の統計解析を「使い分ける」ための
    「枠組み」にくどいぐらいこだわっていることはご承知だろう。
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仮説重視の思考法

( ゜д゜) 研究法の枠組みとは何だろう?

どこまで続くか分かりませんが,先日,「独学をすスめ 心理学研究法入門編」の第一弾を発表しました。なぜこんな事をするかというと,自分の思考整理をしたいからです。

私はまがりなりにも心理学者であるわけで,学者である以上は研究をするわけです。
ただし,他の学者さんと異なり,学生に,上手く教育(学問文化継承)ができるように,実際の教授学習場面でスムーズにいかなかったところを研究する,すなわち「教育ありきの研究」を行っています。

これを如実に表しているのが,多重比較法の研究です。自分だけではなく,他の人に上手く伝えられるように,多重比較法の整理法を研究しました(まだ,少しばかり自分なりの疑問点があります)。

現在,新しい関心テーマができました。心理学研究法入門の授業を担当させていただいていますが,心理学研究を考える場合の思考の手順の枠組み,心理学論文を読む場合の読みの枠組み,非常に大きな枠組みですが,これらをなるべく統一化して,かつ,初学者にも使えるような枠組みが何かを調べようと思います。

その枠組みの第一候補として「仮説的研究の発想」を考えています。
よく,心理学では仮説が重要になると言います。この仮説重視の思考法に徹底的にこだわってみて,それでかなりの効力があるかどうかを確認してみたいです。

特に,心理学があまり得意ではない学生が,この枠組みである程度の実力ができるようになる……そんな夢のような現象が起きるように頑張りたいと思います。
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カテゴリ分析とシークエンス分析

( ゜д゜) カテゴリ分析とシークエンス分析

とある教科書を参考にすると,質的分析法を大雑把に分類するとカテゴリ分析とシークエンス分析とに分類できるとのこと。この大雑把さは,量的分析法(統計分析法)を「差異の統計法」と「類似の統計法」とに分類する程度のレベルです。

さてさて,有名な質的分析法としてグラウンデッド・セオリー法やらKJ法などがありますが,これはカテゴリ分析に分類されるものです。データを完全に断片化して,本来の流れとは全く無関連に,有用なカテゴリとして再構成するタイプの分析法です。どのようにカテゴリ化するか,どのような特徴を持つカテゴリを形成するかと言う観点でいろいろとバージョンが異なっている……そう考えることができると思います。

これに対して,シークエンス分析とは,データの流れを意識したまま分析を行うというもの……らしいです。残念ながら,こちらの分析法については不勉強なので,自分なりの意見がありません。
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質的分析法の勉強中

( ゜д゜) 結構新鮮っ!

雪本さん,これまで,バカの一つ覚えみたいに「統計,統計」と叫んでおります。
ただ,人間というのは進歩しないといけない……らしいです。
というわけで,「統計」の勉強はそのまま進めていくのですが("I love statistic!"),統計を「量的分析法」と再定義して,これと対比されることが多い,最近注目を浴びている質的分析法の習得を目指すべく,独学に努めています。

んで,質的分析法について,【それなりに】分析法がパターン化されているものが多種あります(個人的にはそれほどパターン化されていない気もしますが)。

一番の注目株は「グラウンデッド・セオリー法」です。収集したデータに密着した仮説の構築を目指すという分析法です。仮説というものを重視する心理学においては,それなりに相性が良いため,心理学の学術論文にもちらほらとこの分析例が紹介されています。この他にも「会話分析」などなど非常にたくさんの手法があります。

量的分析と質的分析とでは,妥当性や信頼性についての評価基準が全く異なりますので,統計解析法(量的分析)の妥当性・信頼性の評価基準に慣れきっている私にとっては,かなりの刺激となります。

最終的には,量的分析と質的分析の両方を含めて,多種の分析法の関連性を探ってみたいというのが,私の野望の一つです。
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質的研究に対するイメージ

( ゜д゜) おはようございませ

最近の自分の研究スタイルが,実証研究ではなく,思索・理論考察に大きくシフトしている点に不安を感じながらも,「それはそれで良し!」と自分を納得し(騙し?)ている人間が雪本さんです(いつも通り,文章が変).

はてさて.

質的研究についての記述(教科書やネット上の資料)を読んでみたりして,質的研究を含めて研究法とはなんぞや? と自問自答しています.まだまだ不十分な理解なわけですが,量的研究の基盤となる思想と,質的研究の基盤となる思想が根本で異なるのだなぁ,と徐々に気づいていたりしています.

<段階1>
正直に言えば,質的研究をかなり狭い意味で考えていました.すなわち,原因結果の枠組みで研究を行うものの,結果に対応するデータが「質的データ(ことばデータ)」であるもの……これが質的研究であると考えていたわけですな.つまり,数量データの代わりに言葉データを集めたものが質的研究だと考えていたわけです.

<段階2>
しかし,比較的早い初期段階から,このタイプの質的研究はかなり狭い範囲の定義であることに気づきました.量的研究及び実験法などの原因結果の枠組みで研究している人にとって,仮説が非常に重要な役割であることが周知の通りです.
この仮説を生成させる段階で重要となるのが質的研究であり,仮説を検証する段階で重要となるのが量的研究である……まあ,仮説という概念を軸にして,生成を目的とするのが質的研究である,と考えるようになったわけです.

<段階3>
上記のような段階で学習を進めていて,これは心理学領域の人間にとっては比較的納得しやすい「質的研究の定義」だと思いますが,実は次の段階があったわけです.それは何かというと,「原因結果の枠組み」の保留という立場です.
原因結果の枠組みというのは,研究対象となる世界は客観的なものである,という大前提が必要となります.このため主観性は極力排除すべきだとされるわけです.あるいは,「これまでの研究でも,個々人の思考過程を研究対象として,その思考過程における原因結果の枠組みを調べているぞ!」という反論があるかもしれません.確かにそうかもしれません.しかし,その思考過程とは,人間共通のプロセスを追求するものであり,真の意味で個々人の思考過程を問題にしているわけではありませんよね?
かつての量的研究ベースの心理学研究では,「個々人のデータに立脚しすぎると,それは主観的になってしまう」と批判されていますが,質的研究では「主観的で何が悪い! むしろ主観は非常に大事なのだっ!」と開き直るわけです.
まとめると,質的研究とは個々人の主観を調べる研究法と言えるのではないでしょうか?

上記は,量的研究ベースに慣れた心理学者を対象に質的研究法を教育した場合の,学習者が形成される「質的研究法のイメージ発達」の単なる仮説ですが,それほど間違ってはいないと思います.
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質的研究の要約・記述:<カテゴリ化>

( ゜д゜) ぉお,初のトラックバック! 雪本さんはびっくりしましたよ?

統計解析法を勉強してくることの面白い点の一つに,他領域の人と話ができる,と言うことが挙げられます.
私は心理学を専門にしているわけですが,マーケティングをされているbobさんはこのように言われています.

> 量的な手法を学べば学ぶほど質的な手法の重要性がわかってきた気がします

ぅなぁあ! まさにこれですよっ! 僕が「質的研究」を勉強しようと思ったその動機とは.

数量データを扱う量的研究に対して,言語やカテゴリなどの非数量的データを扱う質的研究と表現できるでしょう.分析手続きが定型化されているため「量的研究」が科学的とされてきましたが,科学研究でも要所要所ではしっかりと質的研究が重要な成果を上げています.

とはいえ,これまで質的研究が行われてこなかったわけでなく,また,量的研究と質的研究の両方が大事であることがずっと前から指摘されてきたわけで,両者を組み合わせた総合研究も行われ来たこともあるそうです(数は少ないですが).
多分数的に多いのが,「質的研究による予備調査→量的研究による本調査」だと思いますが,逆に「量的研究→質的研究」でも別に問題はなかったりするわけですな.

ところで質的研究というのは,要するに言語データをどのように精錬していくかという問題が比重を占めます.科学というのは,記述をする段階があるわけで,当然ながら質的研究においても「記述・要約」を行います.量的研究であれば,統計学の力を借りて,すなわち「平均値」などの表現道具を使うことが定式化されていますが,質的研究では必ずしも定式化されていませんが,やはり,要約記述する点では共通します.すなわち「カテゴリ化」であり,雑多な項目を,比較的高次の概念に集約していくわけです.

質的研究として提出されている数多くの手法は,この「カテゴリ化」の手順・発想をどのようにするかで異なっているのでしょう.
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質的研究法

( ゜д゜) 「久しぶり」な書き込みはデフォルトですよ?

自分の中の心理学知識をこつこつと体系化しているわけですが(まあ,心理学に限定しているわけじゃないですが),統計法とある意味セットな研究法について,そろそろまじめに整理してみたいなあと思っている雪本さんがここにいます.

僕が発行している(いた?)メルマガのタイトルは「統計的研究法」とありますが,このタイトルには研究法には,統計法を使った研究法以外にもあるんだよ,というイメージを入れていました.
さて,大雑把な区分をすれば,心理学領域においては,量的な研究法と.質的な研究法とに区分することができるでしょう.
当然,統計的研究法とは,量的な研究法に属しています.

僕は「評価・測定」などに関心を持っていますが,評価・測定とは「記述」と大きく関係があり,そして「記述」とは研究の第一歩のステップとされています.すなわち研究法自体にも関心があったのですが,これまでは量的研究法の統計分析の学習に精一杯だったのですが,これからは質的研究法も少し勉強していきます.

そして,量的研究法と質的研究法も,共通する枠組みで整理を行ってみたいと思います.量的/質的研究とでは,全く別物の扱いをこれまでされてきました.しかし,本来は共に科学的研究という点で共通しているのですから,別扱いはおかしいでしょう.

では,具体的に何が共通しており,何が異なっているのか……その辺を意識しながら勉強していきたいと思います.

(´-`).。oO(単なる意思表示だなぁ)
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