生活保護問題対策全国会議blog

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えっ! 新政権はコンクリートだけでなく人も切り捨てるの? 母子加算復活の維持を求める緊急声明

2009-12-17 00:00:00 | 生活保護基準見直し問題
えっ! 新政権はコンクリートだけでなく人も切り捨てるの?
母子加算復活の維持を求める緊急声明

民主党政権は、本年12月1日、総選挙前の同党マニフェストに記載していた生活保護の母子加算制度の復活を実行しました。この復活にあたり、財務省は、高校就学費や学習支援費の廃止を強硬に要求しましたが、最終的には、鳩山首相の決断により、これらが存続した状態で母子加算が復活しました。私たちは、この母子加算の復活を歓迎するものです。

ところが、読売新聞12月11日朝刊の報道によれば、財務省の野田副大臣は、厚生労働省が事項要求として予算措置を求めていた生活保護母子加算制度を含む6項目について、財務省として新たな予算措置はしないことを明言し、母子加算復活を維持する場合には厚生労働省内で他の事業を削減する等して予算措置を講ずるよう厚生労働省に求めたとされています。また、子ども手当の創設との関係でも予算圧縮の圧力は強まっています。財務省は、結局のところ、前政権と同様、社会保障費の抑制を前提にして従前の主張を繰り返しているのです。

しかし、そもそも高校就学費は、受験料、入学準備金、授業料、教材費、通学定期代等の実費を支給するもので、子どもの学習・教育権の保障のために不可欠のものです。本年7月に創設された学習支援費も、小・中学生の子どもの学習・教育権の保障のために不可欠です。いずれも、ひとり親世帯に限らず、それぞれの支給対象となる子どもがいる生活保護世帯に支給され、母子加算とは支給趣旨、対象範囲、創設経過が異なり、母子加算と代替関係にはありません。これらが廃止されたら「貧困の世代間連鎖」が強まることになります。

民主党政権は、マニフェストに盛り込んだ他のどの政策よりも早い本年10月の時点で母子加算復活を実行に移し、本年12月1日付で母子加算を復活させました。これは、「コンクリートから人へ」の政策転換を掲げた民主党にとって、母子加算の復活が政府として最優先に取り組むべき政策課題であったからです。そして、母子加算の復活は、ひとり親世帯だけの問題ではなく、マニフェストの中心政策であった子ども手当の創設とともに、新政権の目指す国のあり方の象徴であり、国民にそのメッセージを伝える意味合いを持っていました。

このような母子加算復活の意義に照らせば、母子加算維持に向けた来年度からの予算措置は、厚生労働省内で予算措置を講じなければならないとされるべきものではありません。母子加算の復活を歪める切り崩しは、マニフェストにおいて最優先事項であったはずの母子加算復活を政権奪取後わずか半年程度で放棄することであり、「コンクリートから人へ」の政策転換の放棄を意味します。また、子ども手当の支給と引き替えに高校就学費や学習支援費が削減されるとすれば、子ども手当が全額支給される一般世帯と比較して不平等であるのみならず、生活保護基準を切り下げることになります。このような施策は政権交代を実現させた国民に対する裏切り行為です。

私たちは、改めて、政府に対し、その責任において母子加算の維持と新たに創設される子ども手当の生活保護世帯への全額支給のための予算措置をとり、高校就学費や学習支援費が存続した状態で、母子加算を4月以降も維持するとともに、子ども手当を生活保護世帯に対しても全額支給することを強く要求します。
以上

2009年12月17日

愛知派遣村実行委員会 代    表  藤 井 克 彦
一般社団法人自立生活サポートセンターこんぱす 代 表  國 師 洋 典
NPO法人自立生活サポートセンター・もやい  代 表 理 事  稲 葉   剛
関西非正規等労働組合・ユニオンぼちぼち 執行委員長   橋 口 昌 治
近畿生活保護支援法律家ネットワーク 代 表 辰 巳 裕 規
笹島診療所 所    長  佐 藤   光
しんぐるまざあず・ふぉーらむ     理    事  赤 石 千衣子
しんぐるまざあず・ふぉーらむ・関西 事 務 局 長  中 野 冬 美
しんぐずまざあず・ふぉーらむ・福岡 理事長  大 戸 晴 美
しんぐずまざあず・ふぉーらむ・福島  理事長  遠 野  馨
すぺーすアライズ/アライズ総合法律事務所 所    長  鈴 木 隆 文
生活保護支援九州ネットワーク 代 表  永 尾 廣 久
生活保護問題対策全国会議     代 表 幹 事  尾 藤 廣 喜
生存権裁判全国弁護団     弁 護 団 長  竹 下 義 樹
生存権裁判を支援する全国連絡会 会    長  小 川 政 亮
全国生活と健康を守る会連合会       会    長  松 岡 恒 雄
全国生活保護裁判連絡会      共 同 代 表  藤 原 精 吾
特定非営利活動法人移動支援フォーラム 代 表  長 谷 川  清
名古屋生活保障支援実行委員会 代    表  藤 井 克 彦
日本自立生活センター  ピアカウンセラー 矢 吹 文 敏
働く女性の全国センター  共 同 代 表  伊 藤 みどり
ホームレス法的支援者交流会     共 同 代 表  後 閑 一 博

母子加算の完全復活と老齢加算の復活などの生活底上げを求める共同声明

2009-12-01 00:00:00 | 生活保護基準見直し問題
母子加算の完全復活と老齢加算の復活などの
生活底上げを求める共同声明

母子加算の今年度復活を歓迎する
本日、生活保護を受けているひとり親家庭に対して母子加算が支給されました。全国各地で母子加算を実際に受け取った方々から母子加算復活に対する安堵と喜びの声があがっています。私たちは、新政権が「コンクリートから人へ」の政策転換に向けて第一歩を踏み出したことを歓迎します。

母子加算の本格的復活を!~高校就学費・学習支援費の廃止は許されない
しかし、ひとり親世帯の生活を底支えする児童扶養手当の拡充も実現しておらず、母子加算復活さえ、来年3月までの分しか決まっておらず、4月以降については予断を許しません。朝日新聞大阪本社版11月25日朝刊によると、ひとり親世帯に限らず支給されている高校就学費や学習支援費を廃止する財務省案が再び浮上する可能性があるとされています。高校就学費は受験料、入学準備金、授業料、教材費、通学定期代等の実費を支給するもので、子どもの学習・教育権の保障のために不可欠のものです。これらが廃止されたら「貧困の世代間連鎖」がより強まることになります。一人で子育てをすることに伴う特別需要に対応し一般生活費に充てられる母子加算と、高校教育のための実費に充てられる高校就学費は趣旨目的が異なり、どちらか一方があればいいというものではありません。
そもそも、今年度の母子加算復活については、10月21日夜、鳩山首相が「(復活という以上)半額であるはずはなく、全額復活をさせなければいけない。そのように指導していきたい」と述べ、財務省に対して満額復活を指示したことにより、厚労省案に沿って両省が合意したという経緯がある以上、来年度以降についても同様の扱いがなされなければ真の意味での復活とは言えず、鳩山首相の指導力に疑問符がつくことは必至です。
母子加算復活のバーターで、高校就学費や学習支援費を廃止するという選択は子ども手当の創設を予定し、子育て支援を掲げている新政権の立場に矛盾するものであり、断じて許されません。

老齢加算の復活を!
新政権には、貧困を削減して市民生活を底上げしていく全面的な政策の転換が期待されています。ところが、新政権は、母子加算と同じ理屈で廃止された老齢加算については、長妻厚労相が11月17日の参議院厚生労働委員会で「高齢者の生活実態を把握し、長期的なナショナルミニマムの水準と平仄を検討する」と述べているものの、直ちに復活させようとしていません。
先般、新政権のもとで貧困率が測定され公表されました。全体の貧困率は15.7%、ひとり親世帯の貧困率にいたっては54.3%に達しています。また、今回は測定されていませんが、高齢者単身世帯の貧困率は、研究者の推計では43.0%に及びます。
長妻大臣は野党時代、「ミスター年金」と呼ばれ、高齢者の生活保障の問題に熱心に取り組む高齢者の権利の擁護者でした。政権政党の責任ある立場に就いた今こそ、母子加算を復活させた立場からして老齢加算を復活させないことは、高齢者をないがしろにするものであり、高齢者の貧困の解消の第一歩として老齢加算復活も決断することを強く求めます。

母子加算の復活を転換点として市民生活の底上げを
 高齢者とひとり親世帯については、それぞれの高い貧困率や老齢加算と母子加算が廃止された根拠から、すでに貧困が広がっていることが明らかとなっています。老齢加算の廃止によって、高齢者は日々生命をすり減らしています。ひとり親世帯の子どもたちは、将来の希望を奪われています。私たちは、今回の母子加算の復活を受け、さらなる一歩として、老齢加算の早期復活を求めるとともに、児童扶養手当の拡充と来年度以降の母子加算の継続を強く求めます。老齢加算を復活させないままでの「長期的なナショナルミニマムの水準と平仄を検討する」ことは、いわば最低基準を切り下げた状態を基礎とすることにつながるおそれがあります。
母子加算の復活を政策の転換点とする市民生活の底上げを強く求めます。
以上

2009年12月1日

NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ 理   事   赤 石 千衣子
近畿生活保護支援法律家ネットワーク 共 同 代 表  辰 巳 裕 規
しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄 代   表  秋 吉 晴 子
生活保護支援九州ネットワーク      代    表  永 尾 廣 久
生活保護支援ネットワーク静岡 代    表  布 川 日佐史
生活保護問題対策全国会議     代 表 幹 事  尾 藤 廣 喜
生存権裁判全国弁護団     弁 護 団 長  竹 下 義 樹
全国生活と健康を守る会連合会      会    長  松 岡 恒 雄
全国クレジット・サラ金問題対策協議会 代 表 幹 事  木 村 達 也
全国生活保護裁判連絡会      共 同 代 表  藤 原 精 吾
反貧困ネットワーク 代    表  宇都宮 健 児 
反貧困ネットワークふくしま       呼びかけ人代表  丹 波 史 紀
ホームレス法的支援者交流会    共 同 代 表  後 閑 一 博