母子加算の完全復活と老齢加算の復活などの
生活底上げを求める共同声明
母子加算の今年度復活を歓迎する
本日、生活保護を受けているひとり親家庭に対して母子加算が支給されました。全国各地で母子加算を実際に受け取った方々から母子加算復活に対する安堵と喜びの声があがっています。私たちは、新政権が「コンクリートから人へ」の政策転換に向けて第一歩を踏み出したことを歓迎します。
母子加算の本格的復活を!~高校就学費・学習支援費の廃止は許されない
しかし、ひとり親世帯の生活を底支えする児童扶養手当の拡充も実現しておらず、母子加算復活さえ、来年3月までの分しか決まっておらず、4月以降については予断を許しません。朝日新聞大阪本社版11月25日朝刊によると、ひとり親世帯に限らず支給されている高校就学費や学習支援費を廃止する財務省案が再び浮上する可能性があるとされています。高校就学費は受験料、入学準備金、授業料、教材費、通学定期代等の実費を支給するもので、子どもの学習・教育権の保障のために不可欠のものです。これらが廃止されたら「貧困の世代間連鎖」がより強まることになります。一人で子育てをすることに伴う特別需要に対応し一般生活費に充てられる母子加算と、高校教育のための実費に充てられる高校就学費は趣旨目的が異なり、どちらか一方があればいいというものではありません。
そもそも、今年度の母子加算復活については、10月21日夜、鳩山首相が「(復活という以上)半額であるはずはなく、全額復活をさせなければいけない。そのように指導していきたい」と述べ、財務省に対して満額復活を指示したことにより、厚労省案に沿って両省が合意したという経緯がある以上、来年度以降についても同様の扱いがなされなければ真の意味での復活とは言えず、鳩山首相の指導力に疑問符がつくことは必至です。
母子加算復活のバーターで、高校就学費や学習支援費を廃止するという選択は子ども手当の創設を予定し、子育て支援を掲げている新政権の立場に矛盾するものであり、断じて許されません。
老齢加算の復活を!
新政権には、貧困を削減して市民生活を底上げしていく全面的な政策の転換が期待されています。ところが、新政権は、母子加算と同じ理屈で廃止された老齢加算については、長妻厚労相が11月17日の参議院厚生労働委員会で「高齢者の生活実態を把握し、長期的なナショナルミニマムの水準と平仄を検討する」と述べているものの、直ちに復活させようとしていません。
先般、新政権のもとで貧困率が測定され公表されました。全体の貧困率は15.7%、ひとり親世帯の貧困率にいたっては54.3%に達しています。また、今回は測定されていませんが、高齢者単身世帯の貧困率は、研究者の推計では43.0%に及びます。
長妻大臣は野党時代、「ミスター年金」と呼ばれ、高齢者の生活保障の問題に熱心に取り組む高齢者の権利の擁護者でした。政権政党の責任ある立場に就いた今こそ、母子加算を復活させた立場からして老齢加算を復活させないことは、高齢者をないがしろにするものであり、高齢者の貧困の解消の第一歩として老齢加算復活も決断することを強く求めます。
母子加算の復活を転換点として市民生活の底上げを
高齢者とひとり親世帯については、それぞれの高い貧困率や老齢加算と母子加算が廃止された根拠から、すでに貧困が広がっていることが明らかとなっています。老齢加算の廃止によって、高齢者は日々生命をすり減らしています。ひとり親世帯の子どもたちは、将来の希望を奪われています。私たちは、今回の母子加算の復活を受け、さらなる一歩として、老齢加算の早期復活を求めるとともに、児童扶養手当の拡充と来年度以降の母子加算の継続を強く求めます。老齢加算を復活させないままでの「長期的なナショナルミニマムの水準と平仄を検討する」ことは、いわば最低基準を切り下げた状態を基礎とすることにつながるおそれがあります。
母子加算の復活を政策の転換点とする市民生活の底上げを強く求めます。
以上
2009年12月1日
NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ 理 事 赤 石 千衣子
近畿生活保護支援法律家ネットワーク 共 同 代 表 辰 巳 裕 規
しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄 代 表 秋 吉 晴 子
生活保護支援九州ネットワーク 代 表 永 尾 廣 久
生活保護支援ネットワーク静岡 代 表 布 川 日佐史
生活保護問題対策全国会議 代 表 幹 事 尾 藤 廣 喜
生存権裁判全国弁護団 弁 護 団 長 竹 下 義 樹
全国生活と健康を守る会連合会 会 長 松 岡 恒 雄
全国クレジット・サラ金問題対策協議会 代 表 幹 事 木 村 達 也
全国生活保護裁判連絡会 共 同 代 表 藤 原 精 吾
反貧困ネットワーク 代 表 宇都宮 健 児
反貧困ネットワークふくしま 呼びかけ人代表 丹 波 史 紀
ホームレス法的支援者交流会 共 同 代 表 後 閑 一 博
生活底上げを求める共同声明
母子加算の今年度復活を歓迎する
本日、生活保護を受けているひとり親家庭に対して母子加算が支給されました。全国各地で母子加算を実際に受け取った方々から母子加算復活に対する安堵と喜びの声があがっています。私たちは、新政権が「コンクリートから人へ」の政策転換に向けて第一歩を踏み出したことを歓迎します。
母子加算の本格的復活を!~高校就学費・学習支援費の廃止は許されない
しかし、ひとり親世帯の生活を底支えする児童扶養手当の拡充も実現しておらず、母子加算復活さえ、来年3月までの分しか決まっておらず、4月以降については予断を許しません。朝日新聞大阪本社版11月25日朝刊によると、ひとり親世帯に限らず支給されている高校就学費や学習支援費を廃止する財務省案が再び浮上する可能性があるとされています。高校就学費は受験料、入学準備金、授業料、教材費、通学定期代等の実費を支給するもので、子どもの学習・教育権の保障のために不可欠のものです。これらが廃止されたら「貧困の世代間連鎖」がより強まることになります。一人で子育てをすることに伴う特別需要に対応し一般生活費に充てられる母子加算と、高校教育のための実費に充てられる高校就学費は趣旨目的が異なり、どちらか一方があればいいというものではありません。
そもそも、今年度の母子加算復活については、10月21日夜、鳩山首相が「(復活という以上)半額であるはずはなく、全額復活をさせなければいけない。そのように指導していきたい」と述べ、財務省に対して満額復活を指示したことにより、厚労省案に沿って両省が合意したという経緯がある以上、来年度以降についても同様の扱いがなされなければ真の意味での復活とは言えず、鳩山首相の指導力に疑問符がつくことは必至です。
母子加算復活のバーターで、高校就学費や学習支援費を廃止するという選択は子ども手当の創設を予定し、子育て支援を掲げている新政権の立場に矛盾するものであり、断じて許されません。
老齢加算の復活を!
新政権には、貧困を削減して市民生活を底上げしていく全面的な政策の転換が期待されています。ところが、新政権は、母子加算と同じ理屈で廃止された老齢加算については、長妻厚労相が11月17日の参議院厚生労働委員会で「高齢者の生活実態を把握し、長期的なナショナルミニマムの水準と平仄を検討する」と述べているものの、直ちに復活させようとしていません。
先般、新政権のもとで貧困率が測定され公表されました。全体の貧困率は15.7%、ひとり親世帯の貧困率にいたっては54.3%に達しています。また、今回は測定されていませんが、高齢者単身世帯の貧困率は、研究者の推計では43.0%に及びます。
長妻大臣は野党時代、「ミスター年金」と呼ばれ、高齢者の生活保障の問題に熱心に取り組む高齢者の権利の擁護者でした。政権政党の責任ある立場に就いた今こそ、母子加算を復活させた立場からして老齢加算を復活させないことは、高齢者をないがしろにするものであり、高齢者の貧困の解消の第一歩として老齢加算復活も決断することを強く求めます。
母子加算の復活を転換点として市民生活の底上げを
高齢者とひとり親世帯については、それぞれの高い貧困率や老齢加算と母子加算が廃止された根拠から、すでに貧困が広がっていることが明らかとなっています。老齢加算の廃止によって、高齢者は日々生命をすり減らしています。ひとり親世帯の子どもたちは、将来の希望を奪われています。私たちは、今回の母子加算の復活を受け、さらなる一歩として、老齢加算の早期復活を求めるとともに、児童扶養手当の拡充と来年度以降の母子加算の継続を強く求めます。老齢加算を復活させないままでの「長期的なナショナルミニマムの水準と平仄を検討する」ことは、いわば最低基準を切り下げた状態を基礎とすることにつながるおそれがあります。
母子加算の復活を政策の転換点とする市民生活の底上げを強く求めます。
以上
2009年12月1日
NPO法人しんぐるまざあず・ふぉーらむ 理 事 赤 石 千衣子
近畿生活保護支援法律家ネットワーク 共 同 代 表 辰 巳 裕 規
しんぐるまざあず・ふぉーらむ沖縄 代 表 秋 吉 晴 子
生活保護支援九州ネットワーク 代 表 永 尾 廣 久
生活保護支援ネットワーク静岡 代 表 布 川 日佐史
生活保護問題対策全国会議 代 表 幹 事 尾 藤 廣 喜
生存権裁判全国弁護団 弁 護 団 長 竹 下 義 樹
全国生活と健康を守る会連合会 会 長 松 岡 恒 雄
全国クレジット・サラ金問題対策協議会 代 表 幹 事 木 村 達 也
全国生活保護裁判連絡会 共 同 代 表 藤 原 精 吾
反貧困ネットワーク 代 表 宇都宮 健 児
反貧困ネットワークふくしま 呼びかけ人代表 丹 波 史 紀
ホームレス法的支援者交流会 共 同 代 表 後 閑 一 博