生活保護問題対策全国会議blog

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来年度引き下げ見送り決定!

2007-12-21 19:23:51 | 生活保護基準見直し問題
21日の朝日新聞朝刊しんぶん赤旗が報じているように、
厚生労働省は生活保護基準の来年度の引き下げを断念しました。

しかし、厚労省はあくまで引き下げを「撤回」したわけではなく、1年「先送り」しただけです。
来年もまた、引き続き引き下げ反対の運動を続けていきましょう。

北九州市生活保護行政検証委員会最終報告に対する声明

2007-12-20 18:00:00 | 北九州市問題
北九州市生活保護行政検証委員会の最終報告について、以下の声明を発表しました。

2007年12月20日
北九州市市政記者クラブ 御中
(FAX093-582-2243)

生活保護問題対策全国会議
代表幹事 弁護士 尾 藤 廣 喜
事務局長 弁護士 小久保 哲 郎
〒530-0047大阪市北区西天満3丁目14番16号
西天満パークビル3号館7階 あかり法律事務所
電話 06-6363-3310 FAX 06-6363-3320

最終報告に関するコメント
  
私たちは、違法な生活保護行政のあり方をただすことなどを目的として、本年6月3日に設立された、弁護士・司法書士・学者・市民など約200人によって組織される民間団体です。
 本日、北九州市生活保護行政検証委員会が発表した「最終報告」について、以下のようなコメントを発表しますので、よろしくお願い致します。

私たちは、「ヤミの北九州方式」(数値目標、面接主査制度等)の全廃、関係者の処分と大幅な人事異動、申請書の窓口常置と広報の徹底、第三者機関(福祉オンブズパーソン)の設置を含む生存権保障条例の制定等を提言してきた。
最終報告は、生活保護行政に関する第三者による監視機関や利用者からの苦情処理機関の設立を提言している点で、当会議を含む市民各層からのパブリックコメントの内容を反映した発展が見られ、この点について大いに評価するとともに、北橋市長および関係部局に着実な実施を求めたい。一方、いくつかの重大な点で不十分な面が残されるものとなっている。
小倉北区での餓死事件について、辞退届が提出された経緯について事実認定が曖昧であるなど事例の検証が不十分である点、検証対象となった3つの事件について違法性の判断をしていない点、「水際作戦」断行のために導入された面接主査制度の撤廃に踏み込まないなど二度と同様の悲劇を生まないための提言内容が不十分な点、かつて北九州市が全国一の保護率を記録した原因が不正受給の横行によるものとの市の説明を何の科学的検証もせずに受け入れ、過去の「適正化」政策が正当なものであったとの前提に立っている点など、パブリックコメントの内容を反映しておらず、大変残念である。
 なお、北橋市長においては、検証委員会はあくまで「違法性を判断する立場にない」としたのであり、「違法ではない」とのお墨付きを与えたのではないということを留意していただきたい。再発防止のためには、単に「不適切」であったとの判断ではなく、明確に法令に違反していたとの判断が強く求められるところである。改めて、北九州市が自ら、3つの事件について保護行政の対応が「違法」であったとの総括を行うことを求める。
 また、最終報告書では、今回の事件を「孤独死」一般と同列にとりあげ、「地域における見守りの不足」が原因であったかのような総括部分が付加されているが、今回の事件が、「ヤミの北九州方式」といわれる生活保護についての構造的な締め付け政策の下で発生した点についての責任をあいまいにするものであり問題である。
今後は、北橋市長が、こうした市民の声に直接応えて、保護行政の抜本的な改善に首長としての手腕を発揮されることを期待したい。
以 上」

日本司法書士会連合会から会長声明

2007-12-17 22:55:14 | 生活保護基準見直し問題
日本司法書士会連合会から「生活保護基準の拙速な引き下げに反対する会長声明」が発表されました。

(以下声明本文)

生活保護基準の拙速な引き下げに反対する会長声明
平成19年12月17日

日本司法書士会連合会
会 長  佐藤 純通

<趣旨>
1.
生活保護基準の見直しについては、公開の場で市民の意見を十分に聴取した上、生活保護利用者・低所得世帯当事者の生活実態を踏まえた慎重な検討を行うことを強く求める。

2. 生活保護基準は、憲法第25条が保障する「健康で文化的な生活」を護るものでなければならず、安易かつ拙速な生活保護基準の切り下げには、断固として反対する。
<理由>
 学識経験者によって構成される厚生労働省社会・援護局長の私的研究会「生活扶助基準に関する検討会」(以下、「検討会」という)が本年11月30日に提出した報告書を受け、舛添要一厚生労働大臣は来年度からの生活保護基準引き下げを明言した。
  しかしながら、この検討会は本年10月19日よりわずか5回しか開催されておらず、しかも厚生労働省のホームページにその開催告知がされたのは、いずれも開催日の3~5日前という、極めて直前の公表であり公開性が十分とはいえない。
  検討会報告書は、「生活扶助」額に関して、生活保護を受給していない「夫婦子1人世帯」や「単身高齢世帯」のうち所得の低い方から10%にあたる部分の消費支出水準と比較する一方、「級地間の格差」に関しては、「2人以上の全世帯」しかも所得の低い方から60%との比較を行うなど、その内容においても疑問点が多い。
  一部において厚生労働省は来年度予算での生活扶助額引き下げを見送る方針を固めたとの報道がなされているが、検討会報告書には、生活扶助額と併せて級地加算に関する記述などもあり、全体的な生活保護基準に対して、厚生労働省が最終的にどのような結論を導き出すかを引き続き注視する必要がある。

 日本司法書士会連合会及び各地の単位司法書士会並びに全国の司法書士は、生活保護に関わる人権問題に積極的に取り組む中で、現在の生活保護行政においては、生活保護申請書を渡さないなど違法な窓口規制等が行われているため、生活保護の捕捉率が約2割とされており、生活保護基準以下の生活を余儀なくされている低所得者が多数存在する現実を目の当たりにしている。
  こうした現状において、単に生活保護を受給していない世帯のうち所得の低い世帯の部分の消費支出水準に合わせて現行生活保護基準を引き下げるとの結論を出すのであれば、憲法第25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の水準は際限なく引き下げられていくこととなる。

 さらに、生活保護基準は、最低賃金法による最低賃金引き上げ目標、介護保険の保険料及び利用料、障害者自立支援法による利用料の減額基準、地方税の非課税基準、公立高校の授業料免除基準、就学援助の給付対象基準、公営住宅家賃減免基準、国民健康保険料の減免基準など、医療・福祉・教育・税制など他の社会保障政策と連動しているものである。その基準の引き下げは、生活保護を受給していない低所得者の生活水準を引き下げさせることにも繋がる。

 このように市民生活に重大な影響を及ぼす事項について、市民に検討の経緯をほとんど公表することなくまた意見表明の機会を与えることもなく、結論を出すことは極めて問題であると言わざるを得ない。

 よって、上記趣旨のとおり声明する。

「引き下げ慎重が総意」記事

2007-12-14 10:29:35 | 生活保護基準見直し問題
12月14日付「しんぶん赤旗」によれば、「生活扶助基準に関する検討会」検討委員全員連名により「生活扶助基準引き下げには慎重であるべきだとの考えが『全員の総意として確認された』」とする文書が出されたとのことです。

http://www.jcp.or.jp/akahata/aik07/2007-12-14/2007121401_04_0.html

また同紙には根本嘉昭委員(神奈川県立保健福祉大学教授)のインタビューも掲載されています。
根本委員は
「(夫婦子一人世帯での差額は)誤差の範囲といえます」
「低所得層の単身男性(60歳以上)の消費支出は国民平均の5割でした。とても不自由な生活をしているのではないかと推測され、生活扶助基準が8000円も高くなっていました。『これを単純に比較していいのか』『適切な比較といえるのか』と委員全員で確認」
「同一個人の過去との比較も必要」
「委員会の総意は引き下げは慎重にあるべきだということです」
と述べています。

また、今回厚労省が目論む地域間格差の是正の名の下による引き下げについても、
「報告書は、地域間にある消費支出の差について縮小している事実を示したにすぎません。高い低いということではありません。基準をどこに置くかで変わってきます」
としています。

「検討会」報告を口実に生活扶助基準の切り下げを行おうとする厚労省の姿勢については
「検討会が意図していない方向に動いていることに疑問を感じます」
とコメントしています。

また、これに先立ち12月7日付「しんぶん赤旗」では
岡部卓委員(首都大学東京教授)が
「検討会の報告書をもって生活保護(扶助)基準が引き下げられるとするなら心苦しいことです。
 私は、現行の生活保護水準は、社会的参加費、文化的費用が十分ではない、健康で文化的な最低限度の生活を保障する絶対的水準があると主張してきました。
 報告書は、この主張を紹介しながらも「国民的に合意された絶対的な水準が明示されているものではない」としています。今後は国民・住民にとってこのような検討が求められます。」
と述べています。


「検討会」委員からもこうした声が上がっているという事実は、厚労省による今回の引き下げには何の合理的根拠もないということをますます明らかにしているといえるのではないでしょうか。

京都弁護士会から会長声明

2007-12-13 19:37:47 | 生活保護基準見直し問題
京都弁護士会から会長声明が出ました。


生活保護基準の引き下げに反対する声明

厚生労働省内の有識者会議「生活扶助基準に関する検討会」(以下「検討会」という。)は、本年11月30日、低い方から1割の低所得者層の生活扶助相当消費支出額より現行生活扶助基準の方が高いことなどを確認する報告書を出し、これを受けて舛添要一厚生労働大臣は、同日の閣議後の記者会見において、生活保護基準を引き下げる方針を明らかにした。
しかし、生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、生存権保障に直結する極めて重要な基準である。また、生活保護基準は、介護保険の保険料・利用料、障害者自立支援法による利用料の減額基準、地方税の非課税基準、公立高校の授業料免除基準、就学援助の給付対象基準、さらに、自治体によっては国民健康保険料の減免基準など、医療・福祉・教育・税制などの多様な施策の適用基準と連動している。生活保護基準の引き下げは、現に生活保護を利用している市民の生活レベルを低下させるだけでなく、低所得者全般に直接の影響を及ぼす極めて重大な問題である。とりわけ、本年11月28日に可決成立したばかりの改正最低賃金法では、最低賃金の引き上げに向けて新たに「生活保護に係る施策との整合性に配慮する」ことが明記されたが、生活保護基準の引き下げによってその趣旨が没却されるおそれすらある。このような生活保護基準の重要性に鑑みれば、生活保護基準の引き下げに関する議論は、低所得者の生活実態を十分調査したうえで慎重になされるべきであり、生活保護利用者の声を十分に聴取するとともに、広く市民に意見を求めてなされるべきである。
然るに、検討会の報告に依拠した生活保護基準の引き下げは、手続的にも内容的にも安易かつ拙速と言わざるを得ない。検討会は、厚生労働省が選任した5名の学者によって構成され、約1か月半の間のわずか5回の議論で報告書をまとめている。その手続きには、生活保護利用者や市民の声がまったく反映されていない。また、検討会における議論の内容は、低所得者層の消費支出の統計と現行生活保護基準との数字の対比にとどまる。しかし、日本弁護士連合会が昨年7月に実施した生活保護全国一斉電話相談では、福祉事務所が保護を断った理由の約66%が違法である可能性が高く、相談者を違法に追い返す、いわゆる「水際作戦」が全国各地に蔓延している事実が確認されている。生活保護の違法な運用によって、生活保護基準以下の生活を余儀なくされている低所得者が多数存在していることが疑われる。このような現状において、生活保護の運用を改善することなく、低所得者層の収入や支出を根拠に生活保護基準を引き下げることを許せば、生活保護基準は今後際限なく引き下げられるおそれがある。
当会は、クレジット・サラ金相談の初回相談料を無料化し、自治体と連携しながらホームレスの人々を対象とした法律相談事業を行うなど、生活困窮者支援に積極的に取り組んできた。低所得者層の人々の多くは、食費や交際費などを切りつめながら苦しい生活を送っているのが実態である。とりわけ、原油価格高騰の影響によって光熱費や加工食品等の値上げが相次いでいる現状では、今後一層生活が困窮するおそれもある。
当会は、厚生労働省及び厚生労働大臣に対し、低所得者の生活実態を正確に調査したうえで、生活保護利用者や市民の声を十分に聴取し、徹底した慎重審議を行うことを強く求めるとともに、安易かつ拙速な生活保護基準の引き下げに強く反対するものである。

2007(平成19)年12月13日

京都弁護士会

会 長 中 村 利 雄

大分県弁護士会会長声明

2007-12-13 09:55:51 | 生活保護基準見直し問題
大分県弁護士会からも会長声明が出ていますので紹介いたします。

(以下声明本文)

安易かつ拙速な生活保護基準の引き下げに反対する声明

 厚生労働省内の有識者会議「生活扶助基準に関する検討会」(以下「検討会」という。)は、本年11月30日、生活保護基準の引き下げを容認する報告書を出し、これを受けて舛添要一厚生労働大臣は、閣議後の記者会見で「(生活扶助の水準は)若干、引き下げる方向の数字が出ると思う。」と述べ、来年度からの引き下げを明言した。
 しかし、生活保護基準は、憲法25条が保障する「健康で文化的な最低限度の生活」の基準であって、国民の生存権保障の水準を決する極めて重要な基準である。
11月28日に可決成立した改正最低賃金法は、「生活保護との整合性に配慮する」ことを明記して最低賃金引き上げに道を開いたが、生活保護基準が下がれば、最低賃金の引き上げ目標額も下がることとなる。また、生活保護基準は、地方税の非課税基準、介護保険の保険料・利用料や障害者自立支援法による利用料の減額基準、公立高校の授業料免除基準、就学援助の給付対象基準、さらには、自治体によっては国民健康保険料の減免基準など、医療・福祉・教育・税制などの多様な施策の適用基準とも連動している。したがって、生活保護基準の引下げは、現に生活保護を利用している人の生活レベルを低下させるだけでなく、所得の少ない市民の生活全体にも大きな影響を与える。
 このような生活保護基準の重要性に鑑みれば、その引き下げに関する議論は、十分に時間をかけて慎重になされるべきである。また、こうした議論は、公開の場で広く市民に意見を求めた上、生活保護利用者の声を十分に聴取してなされるべきである。しかるに、厚生労働省内の一研究会が、10月19日の第1回開催からわずか1ヶ月半足らずでまとめた報告書を根拠として、基準の切り下げに踏み込むとすれば、手続的にも極めて問題が大きく、拙速に過ぎると言わざるを得ない。
 しかも、検討会報告書は、低い方から1割の低所得者層の消費支出統計よりも現行生活保護基準のほうが高いことを保護基準切り下げ容認の根拠として挙げている。しかし、もともとわが国の生活保護の「捕捉率」(制度を利用する資格のある者のうち現に利用できている者が占める割合)が極めて低く(研究者によって異なるが、一般的に2割程度と言われている。)、生活保護基準以下の生活を余儀なくされている低所得者が多数存在する現状において、現実の低所得者層の収入や支出を根拠に生活保護基準を引き下げることを許せば、生存権保障水準は際限なく引き下げられることになってしまう。「ワーキングプア」が多数存在する中で、生存権保障水準を一方的に切り下げることは、格差と貧困の固定化をより一層強化し、努力しても報われることのない、希望のない社会を招来することにつながりかねない。
 よって、安易かつ拙速な生活保護基準の切り下げに断固として反対するとともに、国及び厚生労働大臣に対し、生活保護利用者や市民の声を十分に聴取し、慎重な検討を行うことを強く求めるものである。
 
2007(平成19)年12月 7日

大 分 県 弁 護 士 会
会 長 古 田 邦 夫

厚労省が北九州市に監査結果を通知

2007-12-12 18:08:51 | 北九州市問題
北九州市に対する厚労省の監査結果について、以下のメールをいただきましたので転載いたします。

<転送・転載大歓迎>

厚労省が北九州市に対して10月29日から11月2日に行った
生活保護法施行事務監査の結果を通知しました。

各紙・各局の報道によると、入り口の面接相談と出口の廃止手続の
ともに問題点を厳しく指摘したものになったようです。

これについて、北九州市の三崎利彦保護課長は
「かつては高く評価されていたので、残念で悔しい思いだ」
と語っています。

かつて旧厚生省は約30年間、北九州市に幹部職員を派遣し、
直轄指導体制を敷いていました。


そして、厚労省が北九州市に高い評価を与えていたのは何も昔の話ではありません。

去年の秋に行われた監査では、厚労省は
「面接相談体制として『面接主査制』を導入し、保護の相談・申請段階において3名の面接主査が賢明に相談の対応に当たっている。」
「福祉事務所が一体となって、生活保護の適正実施に取り組んでいる」
「今後とも、こうした保護の適正実施に向けた取り組みを継続して実施し、引き続き高い実施水準の維持、向上につとめていただきたい」
「本庁としてのリーダーシップを十二分に発揮し、本庁と事務所が一体となって保護の適正実施に取り組んでいる。今後も管内の保護動向等に留意しながら福祉事務所への適時適切な指導・支援を引き続き行っていただきたい」

などと最大級の賛辞を送っていました。

厚労省社会・援護局長の中村秀一は、昨年6月12日の参議院行政監視委員会で
門司区での生活保護申請妨害による餓死事件について
「北九州市は適切な対応をした」と答弁しています。

厚労省は、北九州市の生活保護行政が
この1年で急に悪くなったとでも言うのでしょうか?

このことは、去年までの厚労省監査がいかに漏救防止という視点が欠如していたか
を象徴的に示すとともに、今強行しようとしている保護基準切り下げなど、
今後、生活保護制度改悪を進むていく上で、
「北九州市と一連托生と思われたままではまずい」
という厚労省の思惑が浮かび上がってきます。

三崎保護課長は、「厚労省の指導に従ってきただけに残念だ」と
述べています。北九州市としては、「厚労省に裏切られた」
という思いなのでしょう。

ともあれ、厚生労働省の監査によっても
北九州市の違法・不当な保護行政が断罪されたことは
極めて重要です。

北橋健治市長は、最近の市議会の答弁で
保護行政の改善についての姿勢がトーンダウンしています。
改めて、市長および市当局に対して抜本的な改善を要求していきましょう。

北九州市長・北橋健治
市長直通メール
〒803-8501 福岡県北九州市小倉北区城内1番1号
北九州市市長秘書室
電話:093-582-2127
FAX:093-562-0710

北九州市総務市民局市民部広聴課
電話:093-582-2525
FAX:093-582-3117
sou-kouchou@mail2.city.kitakyushu.jp

また、この問題は現在進行中の保護基準切り下げ問題とも
密接に関連しています。厚労省が保護受給者との比較の対象としている
「低所得者」の中には、北九州市のような水際作戦や保護辞退強要の
被害者もたくさん含まれています。そうした人たちの「消費実態」が
生活保護受給者より低いのは当たり前です。

引き続き粘り強く保護基準切り下げ反対の声を挙げていきましょう。

<抗議先(転載大歓迎)>
厚生労働省社会・援護局長 中村秀一
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
電話:03-5253-1111(内線2801)
FAX:03-3501-4878

厚生労働省社会・援護局保護課企画法令係
〒100-8916 東京都千代田区霞が関1-2-2
電話:03-5253-1111(内線2818・2827)
または03-3595-2613(直通)
FAX:03-3592-5934
seikatsuhogo@mhlw.go.jp

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共同通信
就労や収入のめどなく廃止 北九州市の生活保護不適切

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毎日新聞
北九州・生活保護:ホームレスにも不適切対応 保護要件で誤説明 厚労省監査

生活保護行政:厚労省、厳しく指弾 「北九州市に責任転嫁」との見方も

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読売新聞
北九州市の生活保護行政、不適切な例指摘…監査で厚労省

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西日本新聞
厚労省の生活保護監査結果 きめ細かい対応欠如 北九州市

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朝日新聞12月11日夕刊
保護行政の評価散々 厚労省 北九州市を監査

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[ 緊 急 声 明 ]「級地」の見直し(生活保護基準切り下げ)も許されない!

2007-12-10 13:02:07 | 生活保護基準見直し問題
産経新聞の報道を受けて、緊急声明を発表しました。


[ 緊 急 声 明 ]
「級地」の見直し(生活保護基準切り下げ)も許されない!

厚生労働大臣 舛添要一 殿
厚生労働省社会・援護局長 中村秀一 殿
(関連部署:社会・援護局保護課企画法令係)
                             
2007年12月10日

生活保護問題対策全国会議 代表幹事 弁護士 尾藤廣喜
(事務局)〒530-0047
大阪市北区西天満3-14-16西天満パークビル3号館7階
あかり法律事務所  弁護士 小久保 哲郎(事務局長)
電話 06-6363-3310 FAX 06-6363-3320

私たちは、福祉事務所の窓口規制などの生活保護制度の違法な運用を是正するとともに生活保護費の削減を至上命題とした制度の改悪を許さず、生活保護をはじめとする社会保障制度の整備・充実を図ることを目的として、今年6月に結成された、全国の弁護士・司法書士・研究者・市民184名で構成する市民団体である。

 12月10日付け産経新聞は、「 政府・与党は9日、平成20年度から引き下げを検討していた、生活保護費のうち食費や光熱費など基礎的な生活費となる生活扶助の基準額について、見送る方針を固めた。ただ地域間の基準額の差を実態に合わせ縮小するなどの微修正は行う。生活保護費全体の総額は維持される見通しだ。」と報道している。この報道の趣旨は、必ずしも明らかではない。しかし、仮に、これが級地間の格差が大きいことを理由に、都市部の基準を下げ、地方の基準を上げるということであれば、私たちが指摘してきた問題は何一つ解決していない。あたかも「引き下げを見送り」し譲歩したかのように装い、国民の目を欺こうとしている点で、より姑息であるとさえ言える。

 「級地間の格差が大きい」という厚生労働省の結論には、十分な裏付けがない。

1)この結論を導くときだけ、これまでとは違った根拠データを持ち出している。
 「生活扶助基準に関する検討会」第2回資料にあるように、「級地間の格差」は、第1・十分位との比較ではなく、また、「夫婦子1人世帯」や「単身高齢世帯」との比較ではなく、「2人以上の全世帯」しかも「第1~3・五分位」によって行われている。第1・十分位の「夫婦子1人世帯」および「単身高齢世帯」で見るとどうなのか、その検証は一切行われていない。厚生労働省にとって都合のいいデータだけを抽出して「級地間の格差が大きい」という結論を導き出している疑念がある。
 鈴木亘・東京学芸大学准教授・政府規制改革会議委員・参議院厚生労働委員会顧問はこの点、次のように批判している。
「地域差縮小も単身高齢者では確認されていない!・・・地域差が縮小しているので級地の見直しをすべきという重要な結論は、標準世帯にしようとしている単身高齢者の生活費を実際にみて得られた結論ではない。地域差縮小に関してだけは、なぜか、1から3・五分位(下から60%までの世帯)の状況から分析を行っており、非常にトリッキーな分析をしている。第1・十分位の低所得世帯において地域差が縮小しているかどうかすら明らかではないのである」

2)仮に「級地間の格差が大きい」としても、その是正のために必要なことは「地方の基準を上げる」ことであって、「都市部の基準を下げる」ことではない。
 この点、布川日佐史・静岡大学教授・生活保護制度の在り方に関する専門委員会委員は、当会議に次のようなコメントを寄せている。
 「生活保護費は、1級地の1を最初に決めて、級地で差をつけることになっている。100:90:80というイメージ。級地の格差をなくすなら、100:95:90という形にならないといけない。そうでなく、95:90:85にするというのが、今回の地域間の差の「是正」と呼ばれるものである。厚労省は、低いところは増えるぞといって、受給者の分裂をはかっているのだと思われる。しかし、1級地の1をそのままにして、差を減らすほうが、一番低いところの金額は、もっと上がるはずである(100:95:90)。95:90:85というのは、1級地の1、すなわち都市部の引き下げである。上がることになる3級地の1,2などの郡部は、人口も少ない上に、保護率も極端に低く、保護受給者はほとんどいないというところばかりである。上がる人、下がる人の数をみれば、狙いがはっきりすると思う。」

我々は、今後とも、広く市民各層との連帯のもとで、国会内外の活動を強め、生活保護制度の「切り下げ」阻止の運動をより一層強めて行く決意である。

以上