生活保護問題対策全国会議blog

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「水際作戦」で申請者を追い返した大阪市に公開質問状提出

2007-09-07 11:32:30 | 大阪市の「水際作戦」問題
公 開 質 問 状
2007年9月7日
大阪市 市長 關  淳 一 殿
(所管:生活保護担当課)

生活保護問題対策全国会議 代表幹事 尾藤 廣喜
(連絡先)〒530-0047 大阪市北区西天満3-14-16
西天満パークビル3号館7階あかり法律事務所
弁護士 小久保 哲郎(事務局長)
電話 06-6363-3310 FAX 06-6363-3320

 私たちは、弁護士・司法書士・研究者・市民など約150名で構成する、生活保護行政の改善などに取り組む市民団体です(別添資料ご参照)。

 本年8月31日(金)付け朝日新聞朝刊に「生活保護申請に『無駄』」と題する新聞記事が掲載されました。この記事は、当会議に所属する弁護士が、貴市福祉事務所の窓口における「水際作戦」の実態を録音したテープを公開したことを報じるものですが、記事中、厚生労働省保護課は「受給権を侵害」する対応で問題がある旨コメントしているにもかかわらず、貴市の上野厚雄生活保護担当課長が、「家賃が高額の場合、保護を受けても最低限度の生活が保障されないため、申請前に通常、転居を勧めている」と対応に問題ない旨回答したことが紹介されています。

 しかし、上記録音テープに公開されている大阪市の対応は、
(1) 申請者が再三申請意思を明確にし、申請用紙の交付を求めたにもかかわらず、なかなか申請用紙を交付しなかった点、
(2) のみならず、「申請しても却下されると思う」、「無駄」、「無意味なことに近い」と申請の断念を働きかけた点、
(3)さらに、申請を断念させようとする際に、
 a (住宅扶助の上限額が決まっているだけで、本来、保護を適用してから、基準内家賃の住居への転居指導をし、引越し代・新住居の敷金等も生活保護費から支給すべきであるのに、)家賃が高いと保護できないので保護基準内の家賃のところに引っ越してから来るようにと説明し、
 b (居住地への住民登録は保護申請の要件ではないのに、)申請にあたり他市においている住民登録を居住地に異動させ、住民票を添付しなければならないと説明し、
 c (家賃や預貯金等に関する資料は、本来、申請を受け付けた後の調査の段階において徴求すべきであるのに、)いろんな書類を添付する必要があるので申請には手間がかかると説明
するなど、明らかに謝った説明をして、申請者の申請行為を妨害したものであって違法です。このことは、弁護士が申請者の代理人として保護申請をした後は、一転して、直ちに保護を開始し転居費用等も支給するという上記(  )内の正しい対応がなされたことからも明らかです。

  ところで、窓口職員のみならず、その上司である係長、さらには、貴市における生活保護行政について責任をもつべき生活保護担当課長までもが、担当職員の対応に問題がなかったと開き直るのであれば、今回の違法な「水際作戦」は、単なる一職員の過誤ではなく、大阪市が組織ぐるみで違法な保護行政を推進している「氷山の一角」がたまたま明らかになったものと評価せざるを得ません。
 
そこで、私たちは、貴市に対して、以下の諸事項について質問いたします。ご多忙中とは存じますが、9月末日までに書面でご回答をいただきますよう、よろしくお願いいたします。

【質問事項】
1 上記のとおり、私たちは、録音テープに残された貴市福祉事務所職員の対応は、上記(1)、(2)、(3)a、b、cの諸点において明らかに違法であると考えていますが、この点については、どのようにお考えですか。
  仮に、違法ではないとお考えであれば、個別の違法事由ごとにその理由の詳細を明らかにしてください。

2 仮に、窓口職員の対応が違法(または少なくとも不適切)であったとお考えであれば、
(1)申請者に対してどのような被害回復措置(謝罪や慰謝等)を講じるおつもりですか。こうした措置が必要ないとお考えの場合には、その理由を明らかにしてください。
(2)今後同様の問題が生じないようにするため、どのような再発防止策を講じるおつもりですか。特段の措置が必要ないとお考えの場合には、その理由を明らかにしてください。
以 上