ma vie quotidienne

フランス語で「私の日常生活」。
ささやかながらも大切な日常の記録です。

「ディア・ドクター」鑑賞

2009-07-05 21:50:40 | 映画
公開中の映画「ディア・ドクター」を観て来ました。

前作「ゆれる」が話題になった西川美和監督の最新作。私も「ゆれる」がとても好きだったので、今作も期待して観に行きました。

山間の小さな村で、その村にただ一人しかいない医師が失踪してしまった、というところから物語はスタートします。警察による調査・聞き込みと、失踪に至るまでの経緯の回想シーンが交互に少しずつ進んでいくに従って、村中から慕われていた医師の秘密、そして周りの人々の心の奥底が少しずつ明らかになっていきます。

僻地の高齢化と深刻な医師不足というテーマを扱った映画。確かにそれも無視できない社会問題だと思いますが、この映画で私がいちばん印象に残ったポイントは違うところにありました。

それは、人は物事の表面だけしか見ずにいろんなものに対してレッテルを貼ってしまうものなんだなということ。「ゆれる」を観たときの感想の中で「表面だけを見て人の性格や幸福を判断することの残酷さ」と書いたのですが、すごく近い気持ちです。

無医村だった村にやってきて献身的に働く医者。その医者を慕い感謝する村人。傍目にはどう見ても美談でしかなく、医者は村人のことをとても大切に考えているに違いないし、村人の医者に対する尊敬も揺るぎないものと思ってしまう。本当のところどうなのかは本人にしか分からないし、もしかしたら本人にも分かっていないかもしれないのに。同じような決め付けを、私も実生活の色々な場面でしてしまっていると思います。

「ゆれる」の感想で「表面的なものだけで安易に決め付けてしまわずに、その人のことをちゃんと判ってあげられる人になりたい」とか書いておきながら、3年たっても全く進歩していないことを痛感しました・・・。

このようなことに気づかせてくれる映画を生み出す西川監督は、鋭くて優しい視点の持ち主なのだろうなと思いました。ってこれも決め付けになってしまうかな?でもやっぱり、本質を見抜ける鋭くて優しい視点、私も持てるようになりたいです。

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