716 :名無しさん@お腹いっぱい。:2007/05/27(日) 21:12:35 ID:SwafWn3o
たまには独占欲丸出しなキョンも見てみたいな。
719 :いつもどおり:2007/05/27(日) 21:37:05 ID:4yv7eKBC
>>716
「実は今日の昼休み、本人の名誉の為に名前は言えないが、告白されてしまってね」
いつもの塾の帰り道、何となく話題が途絶えた時に、彼にそう言ってみた。
「…、そうか」
答える彼はいつもよりも少しだけ長く考えて、いつもより少し眉を顰めた。
「勉強もスポーツもルックスもいいのに、何で僕なんかに告白をしてきたのか」
お前だからだろ、と彼はいつもより小さな声で、いつもより少しだけ向こうを向いた。
「…恋愛は精神病の一種じゃなかったのか?」
いつもより少しだけ拗ねているように聞こえるのは、僕の気のせいじゃなければいいと思った。
「そうは言っても、とても情熱的に口説かれたからね。いや、口説くなんて比喩は彼にとって失礼だな。
彼はとても真面目で、真摯だったよ」
彼はいつもより余計にこちらを向いて、いつもより少しだけ焦った声で言った
「まさか、付き合うことになった、なんて言わないだろうな」
彼はいつもより長く僕の目を見て、いつもよりもずっと僕の言葉を待っている。
多分、ここが「いつも」と「いつもじゃない」の境界だから。
「もちろん断ったさ。受験生で、しかも進学先が違うんだ。まあ、それが無くても、僕は断ってただろうけどね」
「そうか、…そうだろうな」
漏れる溜息はいつもの通り。いつの間にか、彼と僕の間はいつも通りに戻っていた。
喉元までせり上がってきた問いを何とか押さえつける。
この冬が終われば、いつもどおりは、前にあったことになってしまうから。
せめて、もうすこしだけこのままで。
桜が咲く頃に言ってみようか。彼と僕の距離が変わってしまう前に。
「もし、君が告白してきたなら、僕は何と答えるんだろうね」