牧場の日記~競走馬生産者の日々~

競走馬の生産牧場の現状と考察

陰部整形手術

2018年12月14日 | 牧場の生活
今年不受胎だった馬の不受胎馬検査をして、陰部の形が悪いので治す手術をすることになった。
診療所へ連れて行って、まずは枠馬に入れ、尾の付け根の毛刈りをした。
鎮静剤を打って、尾の付け根に麻酔を入れた。
脊髄に入れて下半身の神経を麻痺させるらしい。
効いてきたら、肛門の下辺りに地面に平行に5センチ以上切れ目を入れて切り開いた。

切り開いた中を何やら切り進んでいて、それが終わったらその切り開いた中の方で縫合していた。
何針か縫ったところで獣医さんが「ほら、良くなったでしょ!」と言うので見ると
確かにさっきまで引っ込んで空気が入りやすかった陰部が、ちゃんと出てきて盛り上がっている。

そのあと、さっき、切り開いたところを、綺麗に縫い合わせて、消毒、抗生物質の注射。
最後に陰部の縫合。

膣の中はいじっていないので、種付けには影響ないそうだ。

今はまだ傷が収まっていないので、イマイチ良くなったのかどうかわからない。

これをやることで、膣に空気が入りにくくなり、種付けごとにしていた陰部縫合もしなくても良くなるかもしれない。

手術は2時間かかった。

その日は道路がツルツル路面で診療所まで行くのがとても怖かった。

生産牧場の病気と事故を減らすために 馬外科医から

2018年12月13日 | 牧場の生活

生産牧場の病気と事故を減らすために 馬外科医から

三石のセンターの先生の講習会。

現場の写真をたくさん用意していただき、生々しくリアリティたっぷりの内容。百聞は一見にしかず。

餌は一度に多量与えてはいけない。

馬は死ぬほど食べてしまうから嫌になる。

家も夜間放牧を始めてから一度も先生のお世話になっていない。

ゆっくりじっくり食べられるのがいいのだろう。動き回って疲れているからガツガツもしない。

当才によく出る回虫はイベルメクチンは効かないと思った方がいい。しかし回虫は1才、親にはほとんどいないそうだ。

フルモキサールで回虫を駆除する。

分娩前に葉状条虫を駆虫したほうがいい。これはエクイバランゴールド。

定期的な全頭一斉駆虫は望ましくない。寄生虫の薬剤耐性が問題になっている。

虫卵検査でターゲットワーミングだっけ?虫のいる個体のみ駆虫する。

骨折した仔馬を見つけた場合そこから動かしてはいけない。獣医さんに動かせるように治療してもらってから移動する。

ロドコッカスは治れば予後は悪くない。一才や繁殖でロドコッカスの痕跡を持ったものは見たことがない。

ローソニアにはワクチンがあり効果抜群。(4000円を2回)

 

以下講習会の内容ではない。

駆虫について。

今年は当才が2回回虫がでた。しかも一頭は三回目いま現在、駆虫もしてないのに、回虫が出たので3回目のフルモキサールをやっている。

2回目はエクイバランで駆虫して回虫が出たのだが。耐性のある個体が残っていたのだろうか?

たぶん寄生虫の卵は根絶することはないのだろう。

馬の出入りがあったときはきっとまた違う寄生虫を、持ってきているだろうと思った方がいい。

虫卵検査を自分でできればいいのに、と思う。

 

 


ジョン・マディガン先生の講習会

2018年12月13日 | 牧場の生活

最初の一時間は分娩後;新生子の健康状態についての話だった。

ビタミンEを一日あたり2000から2500IU繁殖牝馬に与えると初乳の質を高める。

天然型ビタミンEが良く吸収される。

分娩予定日の2~4週間前に分娩環境へ移動させる。環境にいる菌に対する抗体が母馬の血中から初乳に移行する時間を確保するため。

15歳以上の繁殖は初乳のIgGが減っていく。

へその消毒薬は0.5%クロルヘキシジンが一番良い。

新生子は何か問題があったときは早期に治療しなくてはならない。様子を見るはいけない。

後の一時間は出生時における意識移行不全について。

いわゆる低酸素脳症と言われている症例の理解と治療について。

意識移行不全は仔馬が生まれ出たのにもかかわらず、まだ子宮内にいるかのようになってしまうこと。

子宮内の仔馬は睡眠状態。ホルモン値が下がらない(プロジェステロン)

病気の仔馬は神経ステロイド濃度が上昇している。

子宮内の状態に戻ってしまっている。

これを改善する方法がmadigan foal sqeez

madigan foal sqeezと検索すると動画で見られる。

ロープで体を締め付ける→仔馬が寝る→20分そのまま→ロープを取る→仔馬起きる→なおる

4時間たっても立てない仔馬はやってみてもよい。

やる場合、骨折がないか確かめたうえで行うこと。

横になって起きれない仔馬は脳の障害も疑われるので輸液などした後に行うのがのぞましい。

動画を見ると、マジックのように仔馬が治っている。

もっとこのやり方が研究されて、当たり前の治療になれば救われる命が増えるかもしれない。

 

 


講習会2

2018年12月13日 | 牧場の生活

②「疾患のある繁殖牝馬の飼養管理」

気になったところを箇条書きする

・妊娠中に骨折した牝馬が無事出産した後発情が来なかったのでデスロレリン注射の治療で発情を誘起できた。

デスロレリンで誘起した発情で受胎したのは42.4パーセントだったが、不受胎でも86.8パーセントが正常な発情サイクルを取り戻した。

・ケイクンがひどくなった繁殖牝馬はアニマルインテックスというホウ酸を含んだ包帯を水で濡らし一晩巻いておくとガビガビがはがれるそうだ。

はがした後、抗生物質入りの軟膏を塗って完了。軟膏の中身はセファロチン添加軟膏(コアキシン2g、オロナイン80g、ラノリン少々)

・去年のHBA不受胎馬検査での潜在的クッシング病が71頭中疑陽性27頭、陽性25頭もいた。

以前はクッシング病の検査は複雑であったが、今はいい検査があるそうだ。

・胎盤炎の治療にエンロフロキサシンがよく効くかも。

 

ああ。もっと早くメモっとくべきだった。