牧場の日記~競走馬生産者の日々~

競走馬の生産牧場の現状と考察

原因

2018年03月29日 | 馬のお産

今日、家畜保健所から先日死んでしまった仔馬の病性検定(診断)結果通知書が届いた。

肺に異常があっただけで他は異常なかったようだ。

結果として「生後直死原因の特定には至りませんでした。」とのことだった。

怖い伝染病や、感染症、栄養不足など、そういうものではなかったようだが、ではなぜこうなってしまったのかはわからない。

考えられることとしては、早期胎盤剥離で仔馬の酸素不足が起こって、胎便を羊水に出してしまい、それを吸い込んで肺が詰まってしまった。

なら、どうすればよかったのか。

JRAがつくった「JRA育成牧場管理指針」生産編(第2版)にこう書いてある。

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〇胎便吸引症候群

処置方法

先ずは、子馬の頭部を低く保持するように胸部を抱えて持ち上げて軽く叩くことで、肺および気道からの汚染羊水を排出させる。また、酸素供給や気道感染予防のための抗生物質投与を行う。

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今回、鼻をしごいたりタオルでさすったり拭いたりはしたけれど、持ち上げたりはしなかった。

獣医さんにやり方を聞いたら、肺をぎゅっと持ったり、気管をしごいたりするといいと言っていた。

もし、これをやっていたら、助かったかもしれない。鼻からいっぱい汚い羊水が出てくるのを見て、大丈夫だと楽観してしまっていた。

子馬の体重は58キロあった。一人で持ち上げるのは大変だっただろう。

後悔でいっぱいだ。

 

 


原因

2018年03月29日 | 

先日、死んでしまった仔馬の病性検定(診断)結果通知書が送られてきた。

17日に家畜保健所に持って行って、11日後だった。

ERV陰性、という結果は即日に来ていたので、それ以外の詳しい結果である。

内景:胸腔には黄色透明な胸水が貯留していた。肺は後葉に気腫が認められた。その他の主要臓器に著変は見られなかった。

というのが異常ありの部分でそのほかは異常なしであった。

結論として、「生後直死原因の特定には至りませんでした。」とのことだった。

悪い伝染病でも、感染症でも、栄養不足でもなかった。でも、原因はわからない。

 


早期胎盤剥離と胎便が混ざった羊水

2018年03月19日 | 馬のお産

早期胎盤剥離でお産が始まった。

すぐに赤い袋を破ったら、緑色の袋が出てきた。

それも破ると、今度は胎便が混ざった羊水と、黄色く変色した仔馬の足だった。

ERVか!と心臓が止まりそうになったが、ショックを受けている暇はない。

すぐにこっこを引っ張り出した。

幸い、仔馬はすぐに呼吸を始め心臓もしっかりと打っていた。

いつもより念入りに仔馬をタオルで拭いてやったら、タオルが真っ黄色になった。

酸素吸入をして、様子を見ていたら、いつまでたってもぶるぶると震え、呼吸も心臓も早かった。

2時間たっても立てず、搾ったおっぱいも哺乳瓶で飲まなかった。

ラセリングで強制投与し、毛布や湯たんぽで温め、何度かそうしているうちに哺乳瓶で飲めるようになり、6時間後には自力で立てるようになった。

だが自分でおっぱいを吸うことはできなかった。

搾って飲ませているうちに今度は立てなくなってきてしまったので、獣医さんに点滴をしてもらった。

保温をしたり、さすってやったり、1~2時間おきに哺乳をし、一生懸命できる限りのことをしたつもりだったが、産まれて40時間で死んでしまった。

哺乳瓶でお乳を飲ませるとぐいぐい飲んだし、飲むよーと声をかけると嬉しそうにいなないたりしていたので、きっと持ち直すだろうと、

思っていたのだが、ぱたっと死んでしまった。

家畜保健所の検査ではERVではなかった。

とてもかわいらしい男の子だったのでつらくてたまらない。


早期胎盤剥離と胎便のまじった羊水

2018年03月19日 | 

予定日を8日過ぎた馬が放牧地で産気づいた。AM8:00

ゴロを打っていきみ始めているのであわてて迎えに行くと、馬もこちらに気が付いて走ってきた。

連れて行くとき後ろから見ていたら、いつもなら、羊水がばしゃばしゃ出るのに何も出ていない。

まだ破水前だったのかな?と、思いつつ、馬房へ入れた。

すると馬はまた横になって、いきみ始めると、赤い袋が出てきた。

早期胎盤剥離だ。

すぐに、赤い袋を破ると、今度はその中から緑色の袋が出てきた。

本来なら、白い袋が出るはずなのに、羊水に胎便が混じっていることが予想された。

指で緑色の袋を破ったら、かなり汚い羊水が出てきた。

胎便がかなり出てしまっていた。

仔馬をいつも以上に引っ張ってなるべく早く出した。

10分ほどで出せたと思う。AM8:20

仔馬はうんこまみれ。

タオルで拭いて、酸素を吸入させた。5分くらい。

獣医さんにも来てもらっていたのだが、産まれてすぐ呼吸もして、心臓も最初は拍動が少なかったけれどだんだん多くなっていった。

鼻からたくさんの汚い水がぽたぽたと出てきていた。

頭もちゃんと起こしお座りもできていた。

とりあえず大丈夫でしょうと、獣医さんは帰って行った。

AM9:00に後産は落ちた。

2時間たってもたたないのでAM10:30におっぱいをしぼって飲ませた。

哺乳瓶で飲めなかったのでラセリングで強制投与した。

AM11:00に40cc、AM11:30に40ccこのあたりから哺乳瓶で飲めるようになった。

がたがたと震えるので毛布を掛けてやり、ペットボトル湯たんぽを入れてやった。

AM12:00に50cc、PM0:50に80cc、PM1:30に70cc、

このあたりで立つ気が出てきたようで立とうとする。何度か助けてやっているうちにPM2:20に自分で立ち上がれるようになった。だが自分でおっぱいを飲むことはできなかった。

PM2:30に40cc、PM3:30に120cc、PM4:30に170cc、PM6:00に200cc

哺乳瓶で飲ませている間にも何度か立っておっぱいのところにはいくのだが飲むことはできなかった。そのうちPM6:00ごろから立てなくなってきた。

足に力がなくなるような半身不随のような感じだった。

それでも哺乳瓶でおっぱいを飲むことは旺盛で、私がおっぱい飲むよと声をかけると嬉しそうにヒヒンと鳴いた。

PM8:30に獣医さんを呼んで診てもらった。点滴と抗生物質とステロイドを打ってもらった。そのあと酸素も5分くらい吸わせた。

PM9:00に150ccと酸素吸入、PM10:30に150ccと酸素吸入、日付変わってAM0:30に210ccと酸素吸入。

AM2:30に200cc、AM4:00に200cc、AM6:00に220ccAM6:30に獣医さんに補液をしてもらった。それと酸素吸入。

夜の間は立つことはできず寝たきりの状態だった。でもおっぱいはよく飲んだ。呼吸が荒いのと心臓の鼓動が早いのが気になった。100回/分くらい

時々足をばたつかせることもあったり、触ったらはらったりするようになったので、少し動かせるようになってきたのかなと、希望が持てた。

AM7:00に100cc飲みもいいしミルクも足すことにした。AM8:30に200ccとミルク100cc。AM9:30にミルク100cc。

AM10:30に200ccとミルク100cc、AM11:30にミルク200ccと酸素吸入。

PM1:00に240ccと酸素吸入。PM2:00に180ccと酸素吸入。PM3:00に200cc。

PM4:00に240cc。ここで、急にのみが悪くなってきた。200飲んでもう飲もうとしなかった。でも待っているうちに、何とか飲み干した。

PM5:30に140ccと酸素吸入。残してしまった。140は飲めた量。

PM7:00獣医さんが来て血液検査の結果タンパクが低いので輸血することにして、そのために親から血を2袋採った。

そして、こっこに補液と注射。種類が一つ増えていた。あと酸素吸入。

しかし、仔馬はもう哺乳瓶で飲まなかった。そして、顔を内側にぐーーっと緊張させたり、手足をまっすぐに突っ張ったりするようになった。

PM9:00に50ccをラセリングで強制投与。口に入れると舌なめずりをして飲むときもあった。

PM11:00ラセリングで口におっぱいを入れるといやそうにした。ますます体のこわばりが出てきた。

家に帰って、監視カメラのモニターを見ていた時に、足をばたばたっと動かしたあとぱたっと動かなくなったので、もしやと思ったが、やはり死んでしまった。

ずっと呼吸が荒かったし、起き上がれなくなってからは呼吸の音も雑音が混ざるときがあった。

心臓は早すぎるしずっと全速力をした後のような動悸であった。

たぶん、胎便が肺に入ってしまっていたんだろう。

今は家畜保健所からの死亡原因の結果待ちである。

 

 


白鳥帰る

2018年03月18日 | 牧場の生活
放牧地で親馬のにブラシをかけていたら、遠くの方で白鳥の群の鳴き声が聞こえた。

探して見たがなかなか姿が見つからない。

雲の上でも、飛んでいるのだろうか。

そのうち聞こえなくなって、行っちゃったんだな、と思っていたら、
次の群の声が聞こえてきた。

今度こそ、と、目を懲らして見たらV字にならぶ群発見。

さよならさよならまた来年。

と、言っているようだ。

雪もすっかり溶けて、馬は泥だらけだ。

ブラシをかけると、ゴッソリ冬毛が抜ける。

やっと、春の兆し。

春の嵐

2018年03月12日 | 牧場の生活
今年は雪が多く、3月になっても、多くの積雪が残っている状態で、大雨が降った。

今冬はコンスタントに雪が降って、放牧地がつるつるになることがなかったのだが、
ここへ来て来てしまった。

使っていなかった放牧地はつるつるにならなかったので1歳はそこを使い、
繁殖雌馬は放牧地に土をまいて滑り止めにした。

雨が降った次の日の朝は氷面の放牧地だったが、日中の日差しで溶けてサクサクのザラメ雪になったので、次の日からは放牧できるようになった。

でも、まだまだ厚い氷が残っている。

放牧地の地面が現れるのはまだまだ先か?


多雪の冬

2018年03月02日 | 牧場の生活
1歳の男馬が元気がない。

みんなで走り回っている時に、一人だけ走るのをやめてしまう。

歩様を見ると、並足、速足は特に異常は見られないけれど、
駆け足は、ちょっとだけギクシャクしていた。

厩舎に入れて、歩かせて見たがそれ程悪くはない。
脚をあげたり伸ばしたり引っ張ったりしても、痛みは無いようだった。
ただ、バックをすると痛みが出て、しばらく跛行していた。

一応次の日から舎飼いした。

五日間舎飼いして、良さそうなので、放牧してみたら、やっぱりなんかおかしい。
明らかな跛行はしないけれど、スムーズでは無い。

今度は舎飼いではなく、パドックで様子を見ることにした。

五日間パドックで、放牧。

今度はよさ気だ。

今年は雪が多い。

馬も放牧地の雪が深くて歩くのも大変だ。

深い雪で脚を取られて捻ったりしたのかもしれない。