牧場の日記~競走馬生産者の日々~

競走馬の生産牧場の現状と考察

春は来たけれど

2017年03月28日 | 繁殖学

一歳馬は順調に春を迎え元気いっぱいだけれど、繁殖牝馬の春はまだ遠い。

今年は去年留まりが悪く、腹空がたくさんいるけれど、なかなかは種付けにならない。

一日おきに当て馬をしているけれど、みせてはいるが、直検すると「1.0くらいのたまごがあるくらいで・・・・。」と言われてしまう。

春先はなかなか繁殖モードになってくれない。卵ができても大きくならなかったり、排卵しなかったり。

繁殖牝馬がこんな調子なのに、一歳の女馬たちは発情しまくっている。

この子たちはまともな発情ではないのだろうけれど、これが親馬ならいいのに、と思うほどのやつもいる。

早く暖かくなって、青草が生えてきてくれればよいのだが、今年は最高気温がなかなか上がらない。

まあ、日高はいつもこんなもんかもしれない。

腹空で種付けにこぎつけたのはまだ一頭。

 


春到来

2017年03月28日 | 牧場の生活

放牧地の雪がすっかり解けた。

この時期は一才馬の怪我の季節だ。

冬の間は寒いし、雪が積もってるし、ところどころ凍ってるし、で、馬はあまり走らない。

しかし、雪が解けて、走りやすくなり、そこへ暖かくなると、今までたまっていた鬱憤を晴らすかのように、

走り回る。

ただ走り回るだけで物足りないのか、男馬はほかの馬を追い掛け回したり、上にのっかかったり。

するといじめられた馬は蹴ったり何かにぶつかったり、ひどいときは牧柵にぶつかったりする。

なので、この時期の男馬はきずだらけ。

膝を腫らしたり、血が出てたり、皮がめくれてたりする。

これから夜間放牧が始まるまでは、元気なやんちゃどもに悩まされそうだ。

 


新生仔馬の膀胱破裂

2017年03月08日 | 牧場の生活

昨日産まれた仔馬がおしっこをしたいそぶりをするのに全くでないので、これって膀胱破裂?と思って、うちにあるJRAさんの作った「JRA育成牧場管理指針」を読んだら、

●発生原因

膀胱破裂は娩出時に発症することが多い。これは、狭い産道の通過時における膀胱圧迫が原因である。胎児期に膀胱から胎盤へ尿を排出させる尿膜管は通常分娩後に閉鎖するが、この尿膜管が分娩前に閉鎖する場合がある。このことにより、膀胱が尿で充満され、産道の通過時に圧迫されやすい。また、牝馬に比較して牡馬に多発する。

と、かいてあった。

産まれてまた10時間しかたっていなかったが、破裂して手は一大事、と、獣医さんを呼んで診てもらった。

破裂はしておらず、おしっこが出にくいだけと診断された。

尿カテーテルを入れて出るだけ出してもらって、抗生物質を打って様子を見ることに。

ほっとして、次の馬の夜番をしながら、獣医さんの書いてるブログ「馬医者修行日記」で、膀胱破裂を検索してみた。

すると・・・、「分娩の時に破裂するのだという成書の記載は間違いだと思っています。ほとんどの症例は出世後に尿閉を起こすことで破裂していると考えています。」と、書いてあった。

いつも思うことだが、医学書を読むと不安が募る。症状なんて字で書いてあっても目で見なければわからない。

一番大切なのは冷静で落ち着いた心、だと思う。


お産の兆候 (仮説)

2017年03月05日 | 繁殖学

馬のお産の兆候はよく言われるのは、まず、ヤニ。

馬のおっぱいの先に蝋のような分泌物がつくこと、とか、産道が下がることによる、臀部の平坦化とか、陰部が伸びる、とか。

最近では、おっぱいを搾ってそのpHとかBrix値を調べるとわかるというのもある。

以前軽種馬農協の広報誌にお産が近づくと、ボロがやわらかくなる、というのも書いてあった。

わたしが最近これもそうではないかと思うのが毛が抜けること。

予定日が近づくと母親の毛がすごく抜けるようになるのだ。

去年、予定日がまだまだの馬が突然毛が抜けるようになって、まだ寒い時期なのに今年は抜けるのが早いなあ、と思っていたら、

一か月近く産んでしまった。

今、予定日を過ぎた馬はバンバン毛が抜けている。4月が予定日の馬はそれほどでもない。腹空に至っては全く抜けていない。

まだ、仮説の段階だけれど、ありだと思う。

この時期はお産の兆候を見つけることが、生活上とてもありがたいものとなる。

夜番が続くとつらいので。