牧場の日記~競走馬生産者の日々~

競走馬の生産牧場の現状と考察

臍帯捻転

2014年11月29日 | 牧場の生活

妊娠六か月の馬が流産した。

最近食欲がないなあ、と思っていたら、夜飼いにいくとすっかり出てしまっていた。

ERVが心配だったが陰性だった。

ネットでいろいろ調べていたら、ERVは12月から出ることが多いらしい。それに妊娠末期で流産することが多い。

多いとは言っても100パーセントではないので、結果が出るまでは心配だったが、杞憂に終わった。

ERVで流産した仔馬は爪が黄色いらしい。

獣医さんも堕ちた仔馬を見て、爪が真っ白できれいだからたぶん大丈夫だと思うといっていた。

家畜保健所で検査した結果は臍帯捻転による流産ということだった。

ネットで調べたら、7か月までは仔馬がおなかの中で動けるので臍帯がねじれることもあるらしい。

また、臍帯捻転の仔馬はほかと比べると臍帯の長さが長い傾向があるようだ。

85センチ以上とか・・・。

ショックでしばらく夜飼いに行くのがこわくなった。

20年近くやってきたけれど臍帯捻転の流産は初めてだ。

堕ちた仔馬はもう結構大きくて健康そうな仔馬だった。

とても残念でかわいそうだ。

 


講習会

2014年11月12日 | 牧場の生活

JRAと振興会青年部共催の講習会へ行ってきた。

お題は4つ。盛りだくさんです。

新しく知った話題としては・・・。

流産の兆候をホルモン検査で知ることができる、ということ。

7か月になったらホルモン検査をするとその値で流産の兆候が分かるそうだ。

血液検査なのだけれど、一か月に一度以上はしたほうがいいそうだ。

そして、異常は早く見つけて早く治療に取り掛かった方が治りが良いとのこと。

うちではあまり流産はないので、すぐ取り組もうとは思わないけれど、そういう馬を扱うことになったら、

検討するかもしれない。

まあ、流産癖のある馬は怖いのであまり牧場には置きたくないけれど・・・。

そのほかには・・。

黒穂の生育特性

黒穂は開花後22日で種子が発芽能力を有する。

その発芽率は25パーセントを超えないが播種後100日後でも発芽することがある。

開花後22日以前の刈り取り(6月上旬)と、その後40日程度(2番草のころ)での刈取りをすると、発芽能力を有する種子の落下を防止できる。

オーチャードの早生種の適期刈り取り時期と黒穂の開花後22日以前の時期が一致するのでオーチャード早生種の作付が黒穂の抑制に有効である。

 

黒穂はほんとにタフな奴だ。

刈っても刈っても穂が出て増えるし、地下茎でもどんどん増える。

これが牧草ならどんなによいことか。


不受胎馬検査

2014年11月11日 | 牧場の生活

初めて不受胎馬検査をした。

どんなことをするか

診療所へ連れて行く。

枠場に入れる。

陰部の形と大きさ、つき方の把握。

直腸検査のエコーで卵巣と子宮の状態をみる。水疱のあるなし、卵胞のようすなど。

鎮静剤を打つ

子宮口の消毒をしてから、内視鏡で子宮の中を調べる。

中に汚れがあるかどうか環流して中の汚れを取る。

子宮の一部を摘み取り、組織検査。

水疱があればレーダーで焼切る。

洗浄、薬注。

陰部の形の悪い馬は縫合。

時間は30分から一時間かかった。

うちの馬はとりあえず異常なしで、あと汚れと、組織の検査を待つのみだ。

とても疲れる検査であった。

 


食道梗塞

2014年11月04日 | 牧場の生活

嵐の夜に夜間放牧していた繁殖牝馬を厩舎に入れた。

その晩、夜飼いでビートパルプをのどに詰まらせてしまった。

今まで昼間与えているときはこんなことはなかったのだが、

なぜか夜に与えると詰まる。前にもやったことがある馬だ。

しばらく様子を見ていたら、大きな咳とともに詰まっていたものが出てきたが、

すっかり通過というわけにはいかなかった。

今晩はようすをみることにした。

馬の医学書をみたら、食道は頭のほうは気管の上側にあるが、首のあたりでは気管の左側にあると書いてあった。

そのあたりを触ってみると、大人の中指ぐらいの太さの硬いものがあった。

これが詰まっているところであろうか?

優しくもむように上にむかって詰まっているものを押し出すようにマッサージした。

特に変化はないようであったが朝、見に行ったらつまりが取れていた。中指大の硬いものもなくなっていた。

しかし取れた後でもなかなか食欲は戻らず、一日馬房で休ませることにした。

牧草はもそもそ食べるが、餌をあまり食べない。

詰まっていたところが痛むのか、昨日苦しんでつかれたのか。

ビートパルプはのどつまりを起こすので注意が必要だと改めて思った。