史書から読み解く日本史

歴史に謎なんてない。全て史書に書いてある。

崇神紀と垂仁紀

2020-11-25 | 古代日本史
崇神紀の流れ『日本書紀』の崇神紀は、まず即位と后妃皇子女に始まり、次いで神々の祭祀、四道将軍と武埴安彦の謀叛、大物主神の妻問、御肇国天皇の称号、皇太子の選定、出雲の神宝と続き、造営した池を顕した後、任那が使者を遣わして朝貢してきた話を記して終ります。一方『古事記』の崇神紀は、まず即位と后妃皇子女、次いで神々の祭祀,三輪山の伝説、建波邇安王の反逆と続き、初國知しし天皇の称号と造営池を記して終ります。 . . . 本文を読む

四道将軍

2020-11-15 | 古代日本史
信長との類似点一通り諸神の祭祀を終えた崇神帝は、周辺諸国の平定に着手します。即ち大彦命を北陸へ、武渟川別を東海へ、吉備津彦を西海へ、丹波道主命を丹波へ遣わして、伏さぬ者は討てと命じました。所謂四道将軍です。これは現代で言うところの方面軍制度であり、日本史上で再びこれをやったのは織田信長一人しかいません。織田家の軍制下でも、柴田勝家を北陸へ、滝川一益を関東へ、羽柴秀吉を中国へ派遣し、明智光秀には丹波 . . . 本文を読む

崇神天皇

2020-10-26 | 古代日本史
御肇国天皇(はつくにしらすすめらみこと)神武帝の東征から十世代の時を経て、止まっていたこの国の時間が再び動き始めることになります。第十代崇神天皇こと御間城入彦五十瓊殖皇尊(記は御眞木入日子印恵に作る)の登場です。初代神武帝と同じく「御肇国天皇(記では初國知らしし御眞木天皇)」と称される崇神帝は、史学的にその実在性が確実視される最初の天皇であり、以後は今日に至るまで皇位に欠史はありません。学術的に見 . . . 本文を読む

饒速日命

2020-09-13 | 古代日本史
天神の子としての饒速日命次に饒速日命(にぎはやひのみこと)について軽く考察してみます。物部氏の遠祖とされる饒速日命は、神武帝の東征以前から奈良盆地を支配していた豪族であることが史書に明記されています。前述の通り正史の『日本書紀』によると、神武帝が東征に臨んで言うには、聞けば東の方に美しい国があり、そこへ天磐舟に乗って天降った者がいるという。思うにその地は大業を広め天下を統べるに足るだろう。恐らく六 . . . 本文を読む

王臣家の系譜

2020-08-10 | 古代日本史
諸豪族に見る欠史以上ここまで初期天皇の欠史について見てきた訳ですが、実のところ欠史は何も天皇に限ったことではなく、臣下にしても同様です。例えば記紀の東征記では、後の大和朝廷を構成することになる氏族の起源についても触れてられていて、特に主要な家系としては中臣氏・大伴氏・物部氏の三氏が挙げられます。その三氏の祖先を東征の順に従って見てみると、神武帝は宇佐津姫を侍臣の天種子命に娶わせましたが、この天種子 . . . 本文を読む