ぷちです。
夏らしく怖い話でもしますか。
我輩が住んでいるこの家、実は「霊の通り道」である。
昔からそういう雰囲気はあった。
この家の敷地内で、「何だか知らないけど怖い場所」と感じる場所も全員一致している。
親分をはじめこの家の人々は、子供の頃から理由の分からない不思議な出来事を数々体験してきているのニャ。
朝方、誰もいない応接間から大勢の人が談笑している声がはっきり聞こえたり。
夜中に光る老婆が廊下を歩いていたり。
同じ敷地内にある姉上の上はもっと頻繁に出現する。
子供らしき気配が家の中をうろついていたり、姿なき何者かが階段を上がってくるなんてのはもう日常茶飯事。
姉上の娘なんかは、まだ幼稚園にも行ってない幼い頃、夜鳴きでひんひん泣いていたところピタッと泣き止み、誰も居る筈のない部屋の隅っこを指差して
「その人・・・誰?」
と不思議そうな顔をしたというエピソードがある。
ほら。今も目の前を・・・。
この家は家族が多い故、遊びに来る友達の数も多い。訪れるお客の中には霊感の強い御仁もいらっしゃる。そういった方々は必ず
「うわっ・・・ココって・・・」
露骨に顔をしかめるのニャ。
どうも見える人にはバッチリ見えてしまうらしい。
夜遅く、この家の前を通過する若者などは、狂ったように大声で歌いながら素早く去って行く。
親分は「うるさいなあ」と腹を立てていたが、どうやらアレは恐怖心を紛らそうとしているのだなと察し、最近は大目に見てあげることにしたようだ。
親分の友達にもそういう能力を持った人がおられる。その方が言うには、ココは霊の通り道であると。この家の人たちは皆、波長が高いのでそういうモノを感じたり見たりしているハズだと。親分たちが「何だか知らないけど怖い場所」と思っているゾーンは、まさに霊道だそうニャ。
言われてみれば納得。
まさにリアルホーンテッドマンション!
先日も、姉上の旦那様が何十年ぶりかに小学校時代の友人と会って、まず最初に言われたのが
「お前・・・何か憑いてるよ」
だったそうニャ。その方の言うことも、親分の友達が言っていたことと全く同じ内容。
ほんでもって、やっぱり一家揃って波長が霊の波長に近いと言う。
しかしここまで言われたらフツー怖がるんだがニャ。
この家の人たちは
「ひえ~。やっぱりそうなんだね」
で終わってしまう。
んでもって、稲川淳二の怖いDVDなんぞを見て盛り上がっている。
一種のドM・・・?
最近流行りの「呪いのビデオ」なんていう恐ろしげなモノを見ても、「何だこりゃ?」と一笑に付して終わるんだから・・・恐ろしい一家だニャ。
毎晩くらだない番組を見ちゃぁ爆笑して、その笑い声が近所に響いたらいかんとパパ上が慌てて窓をしめるほどだから、霊たちもこの空気に圧倒されて、気づかれんまま通過していくのかもしれないニャ。
それに、悪い気を持った不審霊が来た時はきっと我々が威嚇すれば消えてしまうと信じて安心してるのニャ。
我輩たちは番犬ならぬ番猫ってとこですかニャ。
しかし、「波長が高く霊に遭遇しやすい」と言われてるのに親分は平気な顔して1人旅に行く。1人でホテルに泊まって怖い思いをしたコトはないのか?と訊くと、
「ぜーんぜん。怖くないもんねー」
と、エスパー伊東風に答える。
怖さよりも楽しさの方が勝っているのだろうか。
ただ、1回だけ京都の宇治を歩いている時に不思議な体験はしたそうだが・・・。
親分は霊の存在を信じてはいるが、自分は死ぬ程恐ろしい霊には遭遇しないと確信しているそうニャ。その根拠は全く分からない。
霊を怖いと思えば怖くなるけど、霊はその辺に普通にいるんだと解し、お互いに邪魔せず霊との共存に慣れてしまえば別段怖くもないと言う。
めでたい人だニャ。
そのくせホラー映画を観ちゃあ、キーキー悲鳴をあげて怖がっている。
ニャんだかなぁ・・・?
我輩にはどうも解せない一家である。