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明子ひとり➂

2022-02-05 16:13:46 | 日記
2月5日明子ひとり➂


明子が小学五年生の頃、景気は徐々に良くなり、
周りを見ても好景気に幸せそうな光景が見られた。

その反面、明子の父は事業に失敗し、
借金生活を始め、家の苦しさを子供ながらに理解した。

学校に行けばとても理解できない先生が担任となる。
数学の時間になると簡単な問題が分からぬ子等に

竹の棒で頭を叩き、頭からは血を流す男子も数人見れば、
明子は恐怖感を覚えた。

まるで昭和初期か大正、明治時代のような厳しさ、
怖さを覚え、その子等はよく小学校を休校していた。

「先生、辞めて下さい!」と止める子は誰一人見えず、
明子が止めようかと思ったが勇気が出ない。

明子も余り勉強をする少女ではなく、
興味のある読売新聞の連載小説を毎朝読み
登校し、有名人の自叙伝等を読んでいた。

暮らしが貧しい我が家に家庭訪問した時、
先生はお酒を呑んでいた事を子供ながらに覚えている。

その後、明子は「何故お酒等を出したの!」母に
怒りをぶつけ親子喧嘩をした事もある。

兎に角変わった許せない先生だった。
今なら堂々と言える、何故あんな教育をしたのか、
全く宿題も勉強もしない子供が良いとは言わない。

只、打つならお尻を打てばいい。
翌年父兄会で問題になったらしい。

明子ももっと人並に勉強しておけば良かったと
後悔し大人になって暇を見て大原簿記学校に通った。

会社の事務には役に立ったと思う。
しかし実家の貧しさは世の中と反比例していくばかり。

高校受験だというのにバイトばかりしていた。
高校時代の昼食はお弁当もなく
梅干しのおにぎりばかり食べていた。

何とか高校卒業し会社の試験に合格して会社員となる。
会社では自分の言いたい事を言える女性になっていた。

明子19才の春も夢多き明るい女性に成長していた。