禅と薔薇

高島市 曹洞宗 保寿院 禅の話と寺族の薔薇のブログ

舟に乗ると岸が動く

2014年11月09日 | 小さな法話
自分の眼は、自分の眼を見ることはできません。眼だけではなく、顔さえも見ることはできません。
私たちは、鏡などをとおして、自分の顔を見ているわけですから、鏡を見ているともいえるのです。

「人、舟にのりてゆくに、目をめぐらしてきしをみれば、きしのうつるとあやまる。目をしたしく舟につくれば、舟のすすむをしるがごとく、身心を乱想して万法を辨肯するには、自心自性は常住なるかとあやまる。もし行李をしたしくして箇裡に帰すれば、万法のわれにあらぬ道理あきらけし。

道元禅師は『正法眼蔵』現成公案の巻でこう説かれています。

舟に乗って移動していると、まるで岸が動いているように誤って見てしまう。もちろん舟が動いていることは、わかっているのですが、つい、見誤ってしまいます。
これと同じように、諸行無常の中で、自らの心身が無常の外にあると錯覚しないように心がけねばなりません。


きょうの薔薇はミニバラです。オレンジ色が少し薄くなってきましたが、結構長く咲いています。