江口昇次 名大名誉教授Shoji Eguchi, Nagoya Univ., Prof.em., Today!

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大村 智 博士の2015年ノーベル生理学・医学賞: 称賛と天然物化学への効果

2015-10-12 | ニュース
北里大学の大村智・特別栄誉教授が、2015年ノーベル生理学・医学賞の受賞者に選ばれ、日本人、研究者特に天然物化学分野の研究者に大きな元気を与えている。
受賞理由は、熱帯の寄生虫が原因で起こる深刻な病気に効果がある抗生物質エバーメクチン(アベルメクチン)を発見したことを含む寄生虫感染症治療法の開発。アイルランド出身で米ドリュウ大名誉教授(元メルク研究所)キャンベル(W.C.Campbell)博士(寄生虫感染症治療法の開発)、中国伝統医学研究院トウ・ヨウヨウ(Tu Youyou)教授(マラリア治療薬の開発)と共に選ばれた。
大村博士は各地の土壌から微生物を培養し、有望な候補を選び出して有効成分を抽出、動物で有効性を確認し、次に人で確認の手順を経て熱帯病の治療を飛躍的に発展させて3億人を救ったといわれる。この分野はいわゆる天然物有機化学であり、薬学系、理工学系、農学系でそれぞれ多くの研究者が活躍している。この分野でのフグ毒テトロドトキシン、生物発光ウミホタルルシフェリンの解明などで知られる名古屋大学の(故)平田義正教授の研究室出身者の大きな流れを見ても2008年GFPの発見でノーベル化学賞受賞の下村脩(米)ボストン大学名誉教授、2007年文化勲賞受章中西香爾(米)コロンビア大学名誉教授、2001年文化功労者岸義人(米)ハーバード大学名誉教授など世界的に大活躍されている。
現在の名大の天然物化学研究者、特に若手研究者には大村博士のノーベル賞決定は大きな励みとなると報道されている(中日新聞2015.10.7社会面)。
大変うれしいニュースである。
またニュートリノ振動の発見によりニュートリノに質量があることを証明した東京大学宇宙線研究所長梶田隆章教授の2015年ノーベル物理学賞決定のニュースも当東海地方岐阜県飛騨市のスーパーカミオカンデを使った実験成果であり、昨年の名大での実験を基盤としたLED開発による赤崎・天野・中村 博士のノーベル物理学賞受賞と相まって大いに元気を与えており、うれしい限りです。

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