第十一話
愕然としたコーライ士官学校戦史学科出の英才マルペ君をよそにムーンが質問した。
「ところで気になっていたニダが、なんで中央大陸の西側、新大陸(ツイステ大陸)の東側の話が出てこないニダか?」
驚愕から立ち直っていないマルペ君を助けるように、ジェーン・スク王女が答えた。
「その地域はありません。」
「へ?地球は丸いニダよ。反対側に行けば繋がっているはず…」
「地球というと、大地・球状説のことでしょうか…。一部の学者がそのような説を唱えていることはありますが、実際には、中央大陸の西のスナギツネ山脈、ツイステ大陸の東の魔海の果てには、”セカイノオワリ”があるのです。」
「ニカッ?!」
「世界の果てを目指して、冒険を行った人々がいました。古くは中央大陸の西へ砂漠を越えて険しい山脈を越えようと激しい吹雪の吹き荒れる高山を登ったところ、それ以上は行けない壁のような空間があるのが発見されました。時代が下り、大海を渡れるようになると、ツイステの航海者が東の海に旅立つようになりましたが、行き過ぎたものは戻ってきませんでした。近年、測位系技術が進むと、ある経度で付近で進めない空間があるのが確認されました。その境界付近では猛烈な嵐があり、初期の外洋船では難破、あるいは壁に衝突して破壊されてしまったのです。」
「(なんだかオープンワールドゲームの「この先には行けません」みたいな話ニダね…)でも地面が丸いのには気がつかないニダか?」
「はい、測地技術が進んで我々の世界の姿が露わになってくると地上半球説が常識となっています。」
もし、この世界の人々が、人工衛星を打ち上げられる文明段階にあったなら、軌道上からは、「地球」の半分を覆う結界のような空間があることを観測できたことだろう。
その境界面では、気流や潮流もバッサリと阻害され、そのため荒天を生じていた。
古くは、その境界は愚かな人類を閉じ込めておくために神が作った檻の壁だという説を唱える宗教者がいたり、この地上は球状なのであり、ただその半分は、超古代文明の結界術式で覆われ内部では未だ絶滅戦争が行われている!というかなり真実に近い超説を唱えるオカルト学者もいた。この設定が伏線になるのかは作者のやる気次第である。
「ダイシン帝國の北には国は無いニカ?」
「ダイシン帝國の北方には極寒の地があり、熊のような蛮族が住んでいると聞き及んでおります。なんでも蛮族の侵略に対して、魔術で巨大な氷の壁が作られ、夜警と称する兵士が常駐している”万里の長壁”と呼ばれる壮観な建造物があるとか。」
「すみません。我を失いまして、続きをお話ししても、よろしいでしょうか」
マルペ君が立ち直って戻ってきた。
「戦略級極大魔法を二発、大都市に落とされたモトヒノは、ツイステ合州国に降伏しました。これで世界は一時は平和になると、その時は、みな安堵したのです…。」
万里の長壁を作るのもさぞ大変でしたでしょう。
ttps://youtu.be/7rFgy3DBPHI
一応の測量技術があるので、曲面であることの認識はあるとしています。
韓国を語るならやはりロシアの影響は避けて通れないので、ロシアの出番にも期待です!