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第138話 ハンカンの誓い

2022-07-06 18:08:39 | 召喚大統領が異世界を逝く!

第百三十八話 

北コーライを進軍するための大軍の戦略級極大魔法による不毛地帯の「渡河」に成功したダイシン帝國軍の南進が本格的に始まった。
コーライ半島南からはツイステ・モトヒノ連合軍に侵攻され、ガラ空きの北コーライの国土など、戦略級極大魔法さえなければ無人の野を征くが如き快進撃であると楽観的な予想であった。
しかし、旧北コーライには、対ダイシン帝國の侵攻に備えた作戦計画が何十年も前から練られており、実際にダイシン帝國軍の進軍路の橋や高規格道路は爆破され、ドラゴントゥースなどの阻害、砲撃陣地などの事前整備など、「おもてなし」への準備は万全であったのである。
そもそも、虎の子の埋設型戦略級極大魔法による防衛線が、ダイシン帝國国境に敷設されていたのが、旧北コーライが宗主国という建前で親ダイシン帝國のスタンスを取っていながら、国防上、南より警戒していたのはそのダイシン帝國であったということの証左であった。

ムーンの無謀なモトヒノ侵攻作戦に北の戦力を供出せよという命令にも、キムボール・ジョンソン将軍は危機感を覚え、練度の低い部隊を派遣し、精鋭部隊は北に残すという英断を行っていた。
人格的にはムーンに心酔しても、こと軍事に関しては盲信できないという理性的な判断が残っていたのである。
北コーライは、いくら先軍政治を行っていても、旧式装備、貧しい経済状況による弾薬備蓄の少なさなど致命的な弱点があり、悩みの種であったが、大コーライ連邦への合併により、最新装備への転換、弾薬備蓄の改善など、そのポテンシャルを最大限に発揮できる条件が揃い、旧北コーライ軍人の戦意は最高潮に高まっていたのである。

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ダイシン帝國コーライ侵攻軍(国聯軍w)の仮設司令部

「第109戦車大隊・第321自動車化狙撃大隊、敵の砲撃により壊滅しました!」
「なんだとぉ?!敵はどんな大部隊だったんだ?!」
「いえそれが、敵部隊を見ることなく、大口径の砲兵部隊の観測射撃で一方的にやられたようです。」
「なんで、移動する高機動部隊が砲兵如きにやられるんだ?」
「どうやら、前線観測員が至る所に潜んでおり、ある程度の精度は犠牲にして大量の砲撃を比較的広範囲にばら撒くことでカバーしているようです。」
「そんな、無茶責めで、弾薬が持つわけが無かろう!前線観測員の掃除も徹底させろ!」

しかし、北コーライの特殊部隊から抽出され訓練された前線観測員は、開戦前から構築され、念入りに隠蔽されていた前線観測所を転々とし、なかなか足を掴ませない。
こうした戦術により、ダイシン帝國軍の南進は、遅滞戦闘に完全に翻弄されていた。

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一方、挺身的な足止め・砲撃により、甚大な被害を受けていたツイステ・モトヒノ連合軍は、当初、外聞・国際法を気にして、民間施設への攻撃を控えていたために、捨てガンギマリ戦術により大被害を被っていた。
吹っ切れたツイステ・モトヒノ連合軍は、旧来の事前砲撃・空爆を徹底することで更地にして、前線観測員をミンチにした後に進軍する戦術に回帰した。
これにより、なんとか進軍速度を取り戻した彼らは、一路、コーライの首都ウルソに向かって進軍を再開したのだった。

空戦においても南方において接収した民間空港を改修した仮設空軍基地を次々に建造し、本土やモトヒノから呼び寄せた機体により、もはやコーライとの空軍戦力比は1:3レベルにまで達している。
国力を考えれば、その程度なのがむしろコーライは健闘しているが、さすが今世界の航空機発祥の地である。

戦車機甲戦は、戦車の性能では互角であったが、いかんせん無尽蔵かと思われる、ツイステ・モトヒノ連合軍の戦力補充に押しつぶされ、後半では航空優勢をも取られ、次々に、コーライの機甲師団は壊滅していった。

そうして、本来、だまし討ちにより、華麗にウルソを急襲し、外科的攻撃により、最小限の被害と混乱で、コーライを掌握するという構想は崩壊したものの、結局、いつもの泥臭い戦争でなんとかするというツイステの必勝パターンになるのであった。

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ダイシン帝國コーライ侵攻軍(国聯軍w)の南進、ツイステ・モトヒノ連合軍の北進というレースは、距離的には五分五分、南コーライは天然の阻害となるべき大小の都市がある分、進軍には不利という条件の差はあったが、そのファクターにより、奇しくも、コーライの首都ウルソに到達したのは、ほぼ同時のことであった。
実はこのタイミングは決して奇跡などではなく、コーライ軍の撤退戦術が「そうなる」ように綿密に計算したことにも関係していたのだった・・・。

開戦前に予想された楽観論が覆され、散々な目に遭った両軍は、ウルソの母なる川であるハンカンという一級河川で邂逅することになった。
ダイシン帝國とツイステ合州国(お引きにモトヒノもいるよ!)。
その国家形成の経緯から、不倶戴天の敵として、相克の運命を持つ両国が、名目上、モトヒノに対する侵略戦争への懲罰という同じ名目で、この地でついに相まみえたのであった。

軍使の連絡将校がハンカンの橋で出会う。

「我が国聯治安維持軍には法的な裏付けがあるアル!ここまでご苦労だったが、あとはこちらに任せて帰るがいいアル。」
とにべも無いダイシン帝國軍人。

「実際、この戦争は我が国の正当な報復であり、他国の干渉は、受けませんというのが我が国の立場です。あと”ガキの使いじゃねえんだぞ。ここまでにどれだけの血を流したと思ってんだ。コーライはウチのシマだ。そっちこそとっとと帰れ!”とツイステの将軍が言っております…。」
とガキの使いのようなことを言う貧乏くじを引かされたモトヒノ軍人www。

この世界では、歴史的な抱擁もキスも無かったのであるw。

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こうして、両軍はウルソ占領に向けて再びレースを再開するのであった。
交戦こそ控えていたが、互いに最大限に警戒しながら…。



2 コメント

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Unknown (Unknown)
2022-07-06 20:40:10
両軍は、交戦こそ控えていたが

モトヒノ軍人のふりをしたコーライ兵の不意打ちで、両軍の派手な戦闘が始まるのであった。

ゴールデン玉将軍の発想ですかね。
Unknown (新宿会計士)
2022-07-06 22:00:33
>当初、外聞・国際法を気にして、民間施設への攻撃を控えていたために

www

>結局、いつもの泥臭い戦争でなんとかするというツイステの必勝パターン

今日もエッジが効きまくってるゾ

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