寓話の部屋

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第百三十話 説得

2022-05-26 11:15:00 | 召喚大統領が異世界を逝く!

第百三十話

空輸した大統領選用装甲リムジン、ビートルに乗ったフラリーはヨコシマ空軍基地からオーエドに向かった。

「今度はまともな話し合いになれば良いけど…。前回は散々だったわ。」

「マリア・アベ首相が心肺停止って三人だけのトップ会談場で、なにが起こったんですか…」
と事情を知らない側近がこぼす。

「あ、あれはコーライのムーンの暴挙に興奮したマリアが興奮して、そっ、卒倒しただけよ…」

「はあ…?」

そんなやり取りをしているうちにモトヒノの首相官邸に到着するのだった。

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首相官邸に到着したフラリーが職員に案内されて会談場に入る。
高級なソファーが置かれた会談場には迎えるはずのマリア・アベ首相が見当たらない。

「?!」と驚くフラリー。

すると、よく見るとモトヒノ側のソファーの陰に何かがいる。
うむ。マリア・アベ首相であるw。

「シャーーーーッ!!」と追い詰められた猫のように威嚇する。
かわいそうにニュウヨックでの心肺停止により、軽度の低酸素脳症のダメージが抜けきらず感情失禁の傾向がひどくなっていた。
いくら国民に大人気のマドンナ首相でも、与党の重鎮はさすがにもうダメかもしれんねと匙を投げ出しかけていたが、急変する事態に心神喪失しかけている首相の差し替えという荒療治を行う決断力を発揮できなかった。
いかにもモトヒノの無能な政治屋どもである。

フラリーは唖然としながらも、さすが女だてらに世界最強大国の大統領にまで上り詰めた女傑である。
すぐさまリブートし、

「チー…チチチ、怖くないよ。美味しい話も持ってきたわよ!」
と作り笑いを浮かべて懐柔しようとするのだった。

なんだかんだで、マリアをソファーに座り付けて、会談を開始した。

フラリーが発言する。
「今回の件では、モトヒノに自制を強要しすぎたことは、私も大いに反省しました!そこで我が国も腹を括りましたよ!」
と、腹案を話し始めたのである。

それを聞いたマリアの瞳には次第に理性の光が戻り始め、行き過ぎて狂気の光まで宿り始めたのだった。
「姐さん! 付いていきます!!!」

興奮冷めやらないマリアの姿に、満足したフラリーは、キメ言葉を発するのだった。

「この一件、私が仕切らせていただきます…」

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この会談の一週間後。
緊急展開能力では随一のツイステ合州国海兵隊遠征部隊(MEU)を中心とした先遣部隊と、コーライへの反撃作戦計画で編成済みのためすぐに用意できたモトヒノ軍の同盟軍wが、コーライの南端、プーサンに次々に上陸を始めた。
第一次コーライ戦争以来の海外の大部隊がコーライ半島に展開されることになったのだった・・・。


第百二十九話 転進

2022-05-20 10:05:51 | 召喚大統領が異世界を逝く!

第百二十九話

エルフ襲来による国聯平和維持軍w第二陣の全滅、帝都ペイキン近郊での戦略級極大魔法の使用という大事件は、いくらダイシン帝國の竹のカーテンの防諜体制においても隠しきれないものではなかった。
肝心の「エルフによる事件」と言うところまでは隠し通せても、大軍団の消失・大都市近郊での大爆発という物理的な現象を隠しきることは、さしものダイシン帝國でも無理であり、ツイステ合州国は新鋭偵察機UTU-2での高高度偵察や、ヒューミントによる諜報で知るところとなった。
その原因となる「大陸間弾道ロケットによるエルフの送りつけ」は、ツイステの表の政府の一切関知することではなく、デイープステートとも言われるフリーソーメンによる犯行であったので、その原因に関しては、ツイステ合州国の表の政府機関は首を捻るしかなかったのである。

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「いったい、何が起こったのよ!軍団があっという間にまるごと消失したり、ペイキン郊外に戦略級極大魔法をブチこむなんて、やりたくても我が国にですら不可能なことをコーライにも出来るわけが無いわ!」
フラリー・クリトリン大統領はこんらんしている。

「まあ、コーライ問題に対応する時間稼ぎにはなります。その原因は非常に気になることで調査は継続しますが、現実的な対応策を進めた方が建設的です。」
「いくら1個軍団が消失したところで、ダイシン帝國全体からすれば、ごく一部でしかありません。しかも第二梯団は、コーライの戦略級極大魔法の二回目の使用を警戒して、衛星国からの派遣軍を主体にし、本国軍は温存していたという情報も入っています。大した被害はないのかもしれません!」
「しかし、コーライ領土での防衛的な戦略級極大魔法の使用はまだ理解出来ますが、いったいどうやってペイキン郊外で起爆できたのかは重要な問題です。最新の移動式戦略級極大魔法陣構築部隊の展開をペイキン近郊で許すほどダイシン帝國は緩くないはずです。」

と次々に発言する国家安全保障会議の面々。
まさかダイシン帝國ほどの大国が弱者の戦略である自国土での防衛的使用を行ったなど想定の埒外なのであった。

「とにかく、ダイシン帝國の南進に待ったが掛かったのは僥倖。在コーライ駐留ツイステ軍の戦力ではとても太刀打ちは出来まい。我が国もコーライ半島派遣軍の編成を急がねば。」
「しかし、コーライ有事の作戦計画は、万全に行っていましたが、そのどれもナジア方面軍の主力が駐留しているモトヒノの全協力を前提にしています…。今回のコーライのモトヒノ侵攻という暴挙によって、モトヒノの国民感情・政府の態度は最悪の状態です。コーライ救援の妨害すら辞さないことでしょう。こんなことなら、モトヒノ自身での軍事的反攻くらいは許しておくべきだったかもしれません。」
「今更、ツイステ・モトヒノ安保条約を見直してみると、在モトヒノ駐留ツイステ軍の出撃には、モトヒノ政府の要請・許可が必要という項目があり、モトヒノ政府が我が国に本気で逆らうなどと言う事態はまったくの想定外でした。この政治的問題は政府間でなんとかしていただかないと軍としては手詰まりであります。(政府のお偉方がモトヒノの当然の権利である防衛戦闘を止めたからモトヒノが拗ねたんだろ!なんとかしろ!)」

しばし、瞑目したフラリー・クリトリン大統領は、
「わかったわ。私も腹をくくる必要があるようね。ナジアへの弾丸訪問を行います!準備しなさい!」

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ニュウヨックの緊急国連安全保障会議で三者会談を行って間もないというのに、急遽、フラリーのナジア歴訪が通達された。
なにかしらのアクションがあるのだろうとナジア各国のc首脳には緊張が走った。
まあ、ダイシン帝國の動きからして対抗する連合軍結成の準備であろうというのは想像に難くは無かった。
多くの国にとっては、いつものツイステの戦争遊戯へのお付き合いでしかない。
ただいつもと違うのは、戦場となるコーライと、直前のコーライによる侵略の被害を受けていたモトヒノの立場である。
フラリーの弾丸ナジア歴訪は分刻みのスケジュールで、計画され、まず大コーライ連邦wの首都ウルソへの来襲が通知されていたが、これは、当然のことであったと言えよう。

ウルソ郊外の空港に到着した大統領専用機エアホースワンから降り立ったフラリーは、ウルソの大統領官邸赤瓦台に直行した。

開口一番

「コーライ救援軍を編成しています。これから友好国を歴訪して協力を要請し、大軍を用意します。それまで旧北コーライでの遅滞戦闘を行いなさい。もちろんモトヒノに派遣した部隊はすぐさま引き揚げさせ、北方の前線に転進させなさい!。そんな火遊びをしている余裕など無いはずでしょう!」

「うう…、わかったニダ…。」
としぶしぶ言うことを聞いている風だが、もとより本気でモトヒノの領土を掠め取る気などなかったので、心の中で舌を出し、「しめた!」と思っているムーン・ジェガン大統領であった。
言われたとおりに、対ダイシン帝國シフトに移行するように軍に命令し、モトヒノ派遣軍を撤退いや転進させるのであった。

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次に日を置かず数時間後にフラリーが向かったのは、モトヒノの首都オーエドである。
「さて、ここからが正念場ね…。」

あの電波系女首相を言いくるめる大仕事が待ち受けているのだ。