寓話の部屋

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第097話 陰謀のルーツ

2021-11-30 14:47:48 | 召喚大統領が異世界を逝く!

第九十七話 

ツイステ合州国のメインランドへの直接攻撃というのは、大洋戦争時のモトヒノの特型潜水艦からのロケット弾攻撃以来である。
その時もパニックにはなったが、実被害と言えば場末の遊園地が延焼した程度で、実害などあってないようなものだった。
今回の航空機の自殺攻撃による死者は、ビル内・ビル周辺、航空機乗客合わせて3000人近い大被害であり、その衝撃たるや、火星人が攻めてきた以上のものがあった。

国内の防諜機関の連邦警察、対外諜報機関の中央情報機関「カンパネラ」、シギント担当のツイステ国家安全保障局などの保安機関が総出で事件の全容解明に注力することを命じられ、テロを未然に防げなかった名誉回復のために血道を上げて捜査をしたが、その成果は芳しくなかった。
なにしろ異世界の超大国と違って、犯罪者やテロリストのデータベース、厳密な入国者管理、監視カメラ、航空機のフライトレコーダーなどといったITテクノロジーがない。
まず、飛行機の乗客リストの中から、犯人を特定するのが難航した。
乗員・乗客全員は全員もれなく死亡し、機内でどういう状況が起こってていたのかを知る術が存在しない。
ハイジャック事件以降、航空券の購入には身分証の提示を要求されるようになっていたが、その身分証もこの世界では偽造が比較的容易である。
全ての乗客が、まず実在する人物かどうかの確認から始めたが、偽造IDや単純に他人のIDで航空券を入手する人間が少なくなかった。
その理由が不倫旅行だったり、よくわからない動機の個人情報の隠匿だったり、自由を標榜するツイステ国民の性質によるものなのか乗客の30名以上が実在を確認できなかった。遺族の照会を付き合わせてようやくそこまで絞り込んだのだった。
非実在乗客を絞り込んだのはいいが、その先を知る方法がまったく存在しなかった。

他方面では、航空機を操縦したという事実から、国内に無数に設立された操縦士養成スクールの生徒を虱潰しに当たった。
しかし、未だ航空法整備の未熟なこの方面での規制はあってないようなもので、農業用の小型飛行機のためのライセンス取得プログラムなど、誰でも気軽に受講できたし、その数は魔動車免許ほどではないが、この数年で一万名近い卒業生を輩出していた。
しかも、受講後、公的機関の試験を受けて正式ライセンスを取得したものに関しては当局も把握をしていたが、技術だけ取得し、帰国した留学生受講生や、あえてこのテロのためにライセンスを取得しなかったような者に関しては、痕跡が途絶えている。
またこんな大それた綿密なテロの実行犯が、こうしたスクールの受講時の偽造IDと、犯行時の偽造IDを同じものを使用するほど杜撰なことをするはずもなく、突合は困難を極めた。

この事件の解明に比べれば、故ジョニー・ファッキン・ケネス大統領の狙撃による暗殺事件の調査など児戯にも等しかった。
この事件も後に全容が国家機密になり50年の機密指定になっていたが。
つまるところデッドロックに達した。事件の全容解明など無理であると。

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「で、雁首揃えて、”わかりません”ですって?いったいあんた達に年間何十億ダラの予算を費やしていると思っているの?国民にそんないいわけができるの?どうなの?」

フラリー大統領閣下は、お怒りであるが、八つ当たりも良いところである。

ビーバー連邦警察長官が発言する。
「国民の自由の権利と安全保障は両立し得ません。テロを未然に防ぐためには”警察国家”化を推し進める必要があります。」

ダレダレス中央情報機関長官
「我が機関の国内活動は禁止されているので、このテロに関しては直接責任を問われても困ります。もちろん敵性国家の我が国に対する陰謀の情報は常時収集していますが、我が国をあわよくば攻撃しようというローグネーション・組織は三桁に及ぼうという数が存在しています。我が国の敵が多すぎて、動機から容疑者を絞り込むなど不可能です。ましてや、どこぞの国が軍隊を用意したとか言うなら、かならず察知しますが、今回のように実行犯が2,30人規模の少数精鋭の作戦を国内で実行するのを事前に察知するなど藁の中の針を探すようなものです。ええ国内は管轄外ですしw(とチラッと、ビーバー連邦警察長官を見る)。我が組織はそういう用途には向いていないのです。」

実際、連邦警察長官と中央情報機関長官は犬猿の仲であり、この機関の間には情報連携など、ほぼ存在しなかった。

フラリーはしばし瞑目し、言った。
「我々には、まず”オズノワールド”が必要なのよ…」

リー・ハサウェイ・オズノワールドとは、公式にはジョニー・ファッキン・ケネス大統領狙撃犯とされていた人物だが逮捕後すぐに暗殺された。
不能犯であり、真犯人は別にいるという陰謀説が事件後30年経っても止まない。

有能なビーバー連邦警察長官が、その意図をすぐさま汲み発言する。
「すぐに望ましい”犯人像”のプロファイルを作成します。適当に地域・人種をばらけさせ今後どのような方針になっても上手く転がるようにいたします!」
本当にクズであるが、これくらいでなければツイステ合州国の秘密警察たる連邦警察長官などやっていられないw。

負けじとダレダレス中央情報機関長官も言う。
「国外の今回のテロ計画も複数の国で進行していたのが”発見”されることでしょう!なに、すぐに””見つかり”ますよ!」
クズさで張り合うライバル。これくらいでなければツイステ合州国の陰謀機関たるカンパネラ長官などやっていられないw。

シギント担当のツイステ国家安全保障局長は、今回のテロ計画で、まさかマヌケにもテロ実行者達が魔伝話で通信するような手抜かりをするわけもなく、まったく何の情報も持っておらず、正直なところ、立つ瀬が無かったが、責任もさほど無かったので傍観していた。しかし、ここで何も言わないと「宮廷政治」では生き残れないと発言する。
「国外からの実行指示などの通信情報がなかったのか再度精査いたします。きっと何か”見つかる”はずです!」
これくらいでなければ莫大な監視のための人海戦術のために多額の国家予算を消費している新興の国家安全保障局長などやっていられないw。

かくして、同時多発テロの全貌は、まったくもって不明であるが、全貌は作られる方向に決定したのであった。


第096話 音速雷撃隊

2021-11-25 16:55:27 | 召喚大統領が異世界を逝く!

第九十六話 

乗客・乗員66名が全員死亡という今世界では例をみない大事件に世界は騒然とした。
列車の脱線事故でも全員死亡などと言うことはまず無い。
これほどの大人数が死亡した事件は、コーライのパーク政権時代に起きたフェリー転覆事故やデパート崩落事件くらいなものであろう。
それでも飛行機による旅の利便性を知ってしまった人々は墜落の恐怖を抑えて今日も搭乗するのであった。
空港では、開発された金属探知魔術を用いたゲート、徹底した手荷物検査などのセキュリティが強化された。
それで銃器などの武器の持ち込みは、ほぼ完全にシャットアウトできるはずである。
更に乗客内に必ず一人、隔壁を貫通しない軟弾頭の弱装弾を装填した拳銃を装備したスカイマーシャルを配することにした。
魔術の使えない空であれば、その一人で複数のハイジャック犯をも制圧できるだろうと見込んでいたのだった。

一方で犯罪者はともかく、テロリストと呼ばれる主義者たちは、航空機ハイジャックという新たなツールの発見に沸いた。
無事の脱出が難しいため、利益目的の犯罪としてはあまり筋が良くないが、政治目的には絶大な効果を持つと見込まれた。
安全を訴えるために航空会社が公表する安全対策の情報を収集し、逆にその裏をかくための手段を一生懸命開発しようとした。

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ニュウヨック・シティの郊外にあるJFK(暗殺されたジョニー・ファッキン・ケネス大統領にちなむ)空港から、四機の大型旅客機が次々と離陸した。
既に1日に200フライト以上の発着のある大空港では珍しくもないことであったが、それぞれ遠方の都市に行くために燃料を満載しての離陸だった。
離陸後、シートベルト解除の表示が出てスッチーが飲み物のサービスを開始しようかというタイミングで、民族色の濃い四人の乗客が立ち上がった。彼らは、一様にショルダーバッグを引っかけた姿で、トイレなどに経つには不自然な姿であったし、四人同時に外国人風の男が席を立つのは不穏しかなかった。同乗していたスカイマーシャルも異変の予感を感じ、所持した特殊拳銃の位置を確認するのだった。

男達の一人が、魔獣の骨から削り出した特殊形状のナイフをスッチーの一人に突きつけた。
「操縦席に案内しろ」

すぐさまスカイマーシャルが反応し、「フリーズ!」と拳銃を突きつける。
残りの三人の男が、通常の人間では有り得ないスピードでスカイマーシャルに肉薄し、やはり隠し持っていた魔獣骨性ナイフで素早く刺殺するのであった。
「この距離では拳銃よりナイフの方が速い…。」
実際、通常人ではそんなことはないのだが、この男にはナイフ使いとしてのプライドがあった。おまけに手荷物のショルダーバッグには巧に充魔槽を仕込んでおり、そこからの魔力供給により極短時間の身体強化魔術の使用を可能にさせていた。身体強化魔術を使いこなす戦闘魔術師を近接戦で負かすには普通の10人の兵士が必要と言われているが、普通の兵士10人を養成する方がよほど簡単で、つぶしが効くので、身体強化魔術だけ使える戦闘魔術師は比較的冷遇されているw。このテロリストも民族色豊かな魔術戦士であったので白兵戦にはとても強かったのであった。

そんな光景が同時多発的に他の三機の旅客機の機上で繰り広げられていた。
彼らが操縦室に押し入ると、無情にも操縦士・副操縦士・航空機関士を刺殺する。
勃興する航空機産業の高収入の花形職業であるパイロットの登竜門である小型機操縦士の操縦士スクールが、ツイステ全土で雨後の竹の子のように設立されていた。
広大なツイステの国土を利用した操縦士スクールは、外国の同種のものよりリーズナブルな費用でライセンスを取得できるという触れ込みで、諸外国の航空会社も自国のパイロット候補を盛んに留学させていた。
テロリスト達は書類を偽装し、そうした操縦士スクールに潜り込み、操縦技術の基礎を身につけたのだった。
もちろん、そんな学校を出ただけでは大型旅客機の離着陸のような高度なマニューバができるわけもなかったが、彼らの目的に離着陸技術は必要なかった。
この時代の機体は、小型であろうと大型であろうとパイロン・フラップ・エレベーター・ラダーといった基本構造は同じであり、方向転換・上下降などの操縦には、にわかパイロットでも支障は無かった。
機体を旋回させるとそれぞれの目的地に向かう各機。

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そのうちの二機は、ニュウヤックに舞い戻り、ランドマークタワーであるところの、高層ビルである貿易センタービルの中層階に減速無く突入した。
数秒の時間差で二カ所に燃料の満載された航空機が強力なミサイルとして機能し、衝突の衝撃と燃料火災で高層ビルは数分で構造を維持できなくなり崩壊。ビルのテナントの住民・会社員など数千人が即死した。崩落したビル先端部によっても地上の無辜の人々にも死傷者が多発した。

残りの二機は、それぞれ国防総省、国会議事堂を狙ったのだがハイジャックする機体を調達するのにニュウヤックを選んだのが災いした。
さすがにワシントウD.Cには常時、上空待機している迎撃機が存在し、すぐさま迎撃に向かうレスポンスタイムが存在した。
焦った1機は突入速度を誤り、国防総省まであと100mというところに墜落した。
議会が開催されていた国会議事堂を狙った1機は、迎撃機が市街地上空という交戦規定上の制限を無視し、ミサイルを発射し撃墜に成功した。
ワシントウD.C郊外の民家には破片が降り注ぎ、雑多な被害を生じたが、地上の死者は出なかった。

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その日、上院議会のために国会議事堂にいたフラリー大統領は、怒り狂った。
「WTF!いったいどこの国が攻めてきたの?!」

「未だ調査中ですが、ハイジャックされた民間機が次々と自殺攻撃を仕掛けたようです。ニュウヤックの貿易センタービルに二機の大型民間機が突入し、一瞬で崩壊したとか…。国防総省と、ここ(国会議事堂)を狙った機体は撃墜に成功しました!」

「神に誓うわ!この攻撃を仕掛けた奴らを地獄に送ってやる!」

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このニュースは、世界を駆け巡った。
海底ケーブルを使った通信社によるニュース配信に、白黒写真を符号化して魔伝送する技術が開発・導入されたばかりであったが、崩落する貿易センタービルの姿の写真が翌朝の各国新聞の一面を飾った。
世界各国にまんべんなく大量に存在する反ツイステ感情の強い人々は、この「快挙」に喝采を送った。
強力な軍事力を背景に好き勝手をするツイステ合州国の潜在的な敵国は多い。
とある国では、AraKan-47自動小銃を空に向かって実包の祝砲を撃ちまくり、墜ちてきた弾丸で死者が続出したw。

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今日も、ダイシン帝國の行く末を決定する親政の朝議が行われる。
ジャアアアーーン。大きな銅鑼が鳴らされると、御簾がしずしずと上げられ、玉座に座った皇帝陛下が、開口する。
「ダイシン帝國皇帝、マオ・タイラ・カーイー(ねこかわいい)でアル!。なんでもツイステで大事件が起こったとか?」

弁公室室長が上奏する。
「ハハァ!なんでもテロリストが民間航空機を乗っ取って、ツイステ資本主義の象徴である高層ビルに突っ込んだとか。惜しくも国防総省と国会議事堂に向かった壮士は失敗して撃墜されたそうですが…。」

「お前、なんか嬉しそうだな。で、その壮士とやらにはウチは関係していないのだろうな?いや関係していても関係がバレるような証拠は残していないのだろうな。」

「いいえ、誓って我が国の工作はまったくありません。まったくのフリーのテロリストのようです。」

「なら良い。適当にお見舞いの声明を出しておけ。あとテロリスト許すまじとか美辞麗句を並べて我が国の不穏分子の摘発にも利用するが良い。」

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ウルソの赤瓦台(大統領官邸)。
新聞を見てムーン・ジェガンが呟く。
「この世界でも、この事件が起こってしまったニダか…。収斂進化…シンクロニティ…。」

「異世界でも似たような事件があったんですかあ。大変ですねえ。」
とマルペ君。

「一応、北コーライの失職した工作員などが関係していないか洗っておく必要があるニダね。ジョンソン君に連絡するニダ!」
このあと、ツイステが、あることないこと証拠を捏造し、戦争をふっかける未来が見えるムーンは気を引き締めるのであった。

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なおこの一連のテロに対する本物と思われる犯行声明を出した団体は存在しなかった。
便乗した有象無象の組織はあったが、連邦捜査局の厳しい吟味の末、イカれた泡沫組織のみで本命はないと推測されていた。
見えない敵にツイステ合州国は不安を抱き続けることになる。


第095話 空を自由に飛びたいな

2021-11-24 12:32:18 | 召喚大統領が異世界を逝く!

第九十五話 

経済的なターボファンエンジンの進歩とアルミニウム合金、炭素繊維素材といった航空機機体材質の改良は、民間航空の普及に拍車をかけた。
民間航空会社の先鞭は大コーライ連邦のコーライ航空が付けたが、当初は魔力転換装甲技術採用機体の安全性に大いに疑問が呈され、ツイステ合州国での運用はかなり取り沙汰されたが、それでもその利便性を一度知ってしまうと、危険は承知の上で、次々とツイステ合衆国本土にも航空便網が敷かれていった。
先行するコーライ航空の跳梁跋扈に、危機感を抱いたツイステ合州国は、飛行の安全や保安など理由付けて、あの手この手でコーライ航空の営業を妨害し、ツイステ資本の航空会社を設立させ、ツイステの民間の空をコーライに蹂躙されるのを避けようと抵抗した。
ツイステッド航空、パンナム航空というナショナルフラッグキャリアと対抗会社が設立され、最初はコーライから運航機を購入して、営業を開始した。そこでコーライから納入された機体のヤバさを初めて知り、理解したのだったw。
それでも平気でバンバン飛ばすコーライ航空に対抗するため、やむなく、その機体を使って、ツイステの航空会社も営業を続けた。
この時期の航空会社の社長は毎朝、墜落したというニュースが無いようにと、神にお祈りするのが日課だった。
なんとしてでも安心できる機体が欲しいと、ツイステの航空会社が要求し、ヨーイング社・マックダネ社などの航空機製造会社がアルミ合金・炭素繊維素材を機体に採用し、ターボファンエンジンもパテント代を払って、自国の安全基準に従って製造した高品質の改良エンジンを採用したツイステ製民間機が納入される段になって、やっと航空会社の社長の頭髪の減りが遅くなったと言われている。
主要都市には空港が建築されたが、こちらもコーライ系の資本が空港に向いた立地のところを先行者として買い占めており、主要空港はコーライに抑えられている形になってしまっている。

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今日もドル箱路線のニュウヤック~ロス・アンドヘルズ路線のパンナム航空の大型民間機が離陸する。
この頃になると、長いフライトの間に機内食や飲料を提供するまでに機内サービスも充実していた。
スチュワーデスが、乗客にサーブする。
「Beef or Chicken?」(伏線回収)

食事の性向を問うなら「Fish or Beef?」と聞くべきであろうに、ツイステ人は肉しか食わねえのかと言わんばかりの傲慢さである。
それはさておき、和やかな食事時間の最中、むくつけき男性乗客の三人が突然席を立った。
スチュワーデスが、「はて、トイレだろうか?」と案内補助のために近づくと、彼らはおもむろに拳銃を取り出し、彼女たちに突きつけた。
「操縦席に案内しろ!」

この世界初のハイジャック事件であった。

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民間航空を運用し始めたばかりのこの世界では空港セキュリティがまったくもってなっていなかった。
簡単な人力による手荷物検査程度しか行われず、悪意を持って本気で分解し、二重底などで手荷物内に隠蔽した小型拳銃は発見することが敵わなかった。
ハイジャック犯は、手荷物内に隠した拳銃を取り出して凶行に及んだのだった。
犯人の一人がスッチーに銃を突きつけて、操縦席に行く。
当然、操縦席のハイジャック対策の隔壁なども当時の機体には存在しなかった。
コックピットへの侵入を許した操縦士達は、犯人達の要求通り、近在の空港に向けて犯人達の要求を伝える無線通信を行うのだった。
(この時代には、空港近くに行かないと無線魔導通信は繋がらなかった)
数百万ダラの身代金と逃走用のヘリを要求し、用意が出来るまで、その空港の周囲で周回飛行で待機させる犯人達。
一方、残りの二人が客室の見張りに残っていたが、長時間の待機に、緊張感が途切れているのが、素人目にも明らかであった。
60人の乗客の中には、生憎と現役軍人と警察官が数名、偶然搭乗していたのだった。
彼らは、拳銃程度で武装した相手なら制圧できるという自分の戦闘能力に自信を持っていた。
どうにかして、彼ら同士で意思疎通をすると勇敢にも拳銃で武装したテロリスト二名に立ち向かおうと立ち上がり突進するのだった。

「うぉぉぉ!」
「殺ってやるぜ!」
「チェェェストゥ!」
「UUURRRYYY!」

果敢な突撃であったが、さすがに完全に発砲を阻止できるような短時間で肉薄できるわけもなく、犯人達は彼らに向かって拳銃を発砲した。
しかし、乱射した拳銃の命中率というのはさほど高いものではなく、都合16発発射された弾丸で勇敢なるヒーロー達に命中したのはたったの2発しかなかった。
残りの14発はすべて外れて、航空機の機体壁に命中する。
フルメタルジャケットの拳銃弾は、民間機故に防弾性など考慮されていない機体壁を貫通した。
与圧キャビンに空いた穴による減圧の被害は、空港との通信のために低空飛行していたために、さほど問題ではなかったが、生憎とこの機体は魔力転換装甲を使用した最初期の機体であり、魔力供給ラインの多重化などの被弾対策が甘かった。
14発中の3発が見事に一応は三系統に多重化されていた魔力供給ラインをすべて断ち切り、機体構造の一部に致命的な崩壊をもたらした。
機体は瞬く間に空中分解を起こし、部品と乗客・乗員を空にぶちまけるのであった。

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空から航空機の部品や荷物、そして乗客乗員が降り注ぐ、悪夢のような光景に地上で固唾を吞んで見守っていた関係者達は愕然とした。
なにしろ犯人の要求通り、現金を用意し、逃走用のヘリまで手配し、逮捕は着陸してから無事に乗客が解放されてから特殊部隊を突入とか考えていたのであるから青天の霹靂である。
まだ数年の歴史しかない航空史上、最悪の事件となった。
フライトレコーダーなんぞないこの時代、丹念に機体部品を拾い集め、必死で解析したものの、わかったのは爆発物などによる内部からの破壊ではなさそうだということだけだった。
ツイステ側が設立した航空安全委員会は、なんらかの原因によって機体構造が破綻し、墜落したという非常に正解な結論を出したがその原因が安全性に問題のあるコーライ製造の機体構造にあるのか、不可抗力のハイジャック犯のなんらかの破壊工作によるものだったのかで、ツイステとコーライで責任の押し付け合いの丁々発止のやり合いが繰り広げられた。
ツイステ航空安全委員会は、一切の責任を認めないコーライ側に業を煮やし、魔力転換装甲技術を使用した民間機の用途廃止を勧告して憂さを晴らすのだった。

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その日、特技研で茶話会を催していたムーン一行。

「ムーン様、ツイステでハイジャック事件があって墜落したようですよ!」
とマルペ君。

「機内に拳銃を持ち込ませるとは、ツイステのセキュリティ意識は低いニダねえ…。金属探知ゲートとか手荷物のX線検査とかちゃんとやっていなかったニダか…。」

研究員A
「そんなのうちらもやってませんよぉ!そういう大事なことは最初から言ってくださいと何度も…」

この後、空港セキュリティ用の機材を急遽開発してコーライ企業に作らせ、ツイステに売りさばく厚顔無恥なコーライなのであった。


第094話 ノーヘル症の季節

2021-11-17 13:59:18 | 召喚大統領が異世界を逝く!

第九十四話 

第一回ノーヘル賞の受賞者が発表された。
ちなみに、この「ノーヘル賞」というのは、この世界に元の世界のノーヘル賞に相当するモノが存在しないことを知って愕然としたムーンが、ワガママを言い出して、コーライ王家に創設させた、科学や社会に功績のあった人物に贈るこの世界初の国際的な名誉賞である。
コーライノーヘル財団の創設基金は、兵器や新型魔道具の輸出で絶好調の大コーライ連邦が全額供出した。
かなりの出費ではあったが、コーライ人がホルホル(夜郎自大)できるシステムであったので反対意見はまったく出なかった。
コーライ一の白亜の塔たるウルソ大学では、気の早いことに歴代受賞者の像を飾るための台がずらり並んだ一角を建築した。
しかし、元ネタの異世界と違って、コーライ出資100%の財団に忖度されることが多く、土台が空のまま放置されることは無かったので安心である。それでなくても、最近の革新的な魔導技術や科学技術の発明はコーライ発であることが多かったので、忖度されなくてもコーライ人の受賞者が出るのは、さほど不自然ではなかったが。

ノーヘル賞は、化学・錬金術賞、物理学賞、魔法賞、経済学賞、生理学・医学賞、文学賞の6部門で創設された。
生憎と平和賞は、「平和に対する貢献」が客観的に評価不能であるという理由で初回には設立が見送られ、ムーンを歯ぎしりさせた。
この世界の人間の方が合理的なのかも知れない。
自分が退陣するまでには絶対に設立させてやるニダ!とムーンは息巻いている。

ノーヘル賞の授与式は、コーライ王室の主催で国王コチジャンからメダルが手渡される。
栄えある第一回の受賞者たちの晴れ姿に、授賞式に出席したムーンは苦心して笑顔を貼り付けながら、嫉妬を隠した。

化学・錬金術賞
ツイステ合州国、ハーバート・ボッシュウ博士
「魔導制御技術を用いた自動錬金システムの理論」
近年、複雑な魔導陣を現実的な価格で製造することが可能になった基幹技術を用いて、様々な錬金術による加工を錬金術師の介在なしに自動化することに成功した。これにより大気から窒素を取り出したり、ボーキサイトからアルミニウムを取り出すようなことが、工業レベルで可能になり、その社会的な影響は絶大である。化学肥料や爆薬もバンバン作り放題である。アルミニウム合金が作れるようになり航空機への採用も進んだ。ちなみにウランも濃縮できるようになるが、今のところ、その有用性に気がついているのはコーライの一部の人間だけである。

物理学賞
大コーライ連邦、ジャン・キルミーとモトヒノ、エザキ・グリンコの共同受賞
「光学魔法を用いた魔導陣製造技術」
魔導陣の従来の製造法は熟練した職人がルーペと極細の彫刻刀で複雑な紋様を掘り、失敗すると全部おじゃんという個人の技量に依存した製造法であった。比較的大きめの光透過性のマスクに魔方陣のパターンを描き、その透過光をレンズで縮小して、感光物質を塗布した魔導陣原盤に焼き付けた後に、化学的にエッチングすることで、微小な魔導陣を製造することを成功させた。レンズの精度や、魔導陣原盤の材質などによる制限はあったが、手彫りに比べれば生産性は天と地の差で違う。
このアイディアは、実はコーライ特技研のメンバーであるジャン・キルミーが、ムーンの話からこの世界にマッチする方法に翻案し発表。それを工学系の技術に優れるモトヒノのエザキ・グリンコ博士が実用技術に完成させた。
文系のムーンが詳しく製造法を知っていたのも前世の大統領任期中に隣国がサムソソの半導体製造に必要な生産財の輸出制限(実態は管理でしかなかったが)を加えたのを政治問題化させたからだった。さもなければフォトリソグラフィーの原理も、レジストなんぞも知りはしなかっただろう。
この技術は弱魔法系(弱電系みたいな感じ)の制御・情報処理系の魔導陣製作に革命的な進歩をもたらした。
ビル一棟の計算魔道具が、グランドピアノ並みのサイズになり、将来は一家に一台冷蔵庫並みのサイズの計算魔道具が装備され、毎日の献立を決めてくれるようになるなどという未来想像図を描く科学雑誌もあった。

魔法賞
イ・タンワ シャルル・カオ大魔導師
「天候予報魔法の実用化」
明日雨が降るかどうか、今までは履き物を空中に放り投げて50%程度の的中率しか実現できなかった魔導技術に気圧や雲の様子などを考慮する術式を組み上げて、的中率80%に及ぶの天候予測魔術を実用化した。
地味な魔法であるが、外の仕事をする人間に取っては、とてもありがたいものである。

経済学賞 ツイステ合州国、リーマン・ブロ
「融資の証券化による複合信用創造および不渡り対策に関する理論」
今までは相応の土地や有形資産といった換金可能な担保に制限されていた貸し付け額の限界を大いに緩和する画期的な金融商品の理論を発明した。それに伴って起こりうるデフォルトリスクに対する保険システムをも考案し、こうした金融危機に対する”リーマン予想”として理論化した。

生理学・医学賞
ツイステ合州国、ミックス・タオラー博士
「赤熱病およびその治療法に関する発見」
赤熱病と呼ばれる熱帯性の感染症が細菌感染ではなく、ウィルス感染であることが確認されたのはつい最近ではあるが免疫を利用したワクチンの開発はその原理より先に経験的に発見されていた。
この世界の工学技術では細菌までは目視できてもウィルスの姿は確認できていなかったが、これも実はムーンがもたらした知識であった。
だけど、当然、医者でも何でもないムーンが細かいことを知っているわけもなく、特技研でアイディア絞りの時の雑談に、「政権末期に世界的なウィルス性の疫病が猛威を振るったニダが、ウリの指導したK防疫のおかげでなんとか致命傷ですんだニダ!」という自慢話から、ウィルスやワクチンという概念がこの世界にもたらされたのだが、先行していた赤熱病の治療法に理論的な後援が加わって、この業病の克服に繋がった。

文学賞 大コーライ連邦、ウン・コゥ 詩人
「ボクの尻を舐めて」「この桃尻野郎」などに代表される肛門期に執着したようなエロチカルな詩情の支持者は多いが、はたして栄えある第一回受賞者に相応しいかはかなりの疑問があり、この選出にはコーライへの忖度があったのは間違いない。
この選出の微妙なセンスの悪さが後日、批判され、平和賞の設立の遅れに繋がるwww。

首から黄金のメダルをぶら下げた壇上の受賞者を貴賓席から見ながら、

「グギギギ…本当ならウリが平和賞受賞者としてあそこに立っていたニダ!!」

と肉染みが消えないムーンであった。


第093話 New World おだ

2021-11-16 11:59:54 | 召喚大統領が異世界を逝く!

第九十三話 

「国際聯盟」が結成され、平和的な国際秩序が形成されたかというと、まったくそんなことはなかったw。
東に国際紛争があれば、すぐにツイステ合州国が行って「そんな面白いことには俺も混ぜろ」と軍事介入し、西の小国家間に緊張が高まればダイシン帝國が双方に軍事援助をして煽っていたのが、まずは国聯安全保障理事会にその解決策が諮られることになった。

しかし、この会議は、常に紛糾した。
ツイステ合州国とダイシン帝國のプロパガンダ合戦、多数派工作、コーライの事務総長の無能のマリアージュによって、国聯の平和維持活動は画餅にすぎないと参加国が理解するのにさほど時間はかからなかった。

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第23回臨時国聯安全保障理事会
この会議では南北に分離したスーダラ国の平和維持活動に関して対策が話し合われていた。
スーダラ国は、まあぶっちゃけ、世界の趨勢にはまったく影響を及ぼさない小国であり、近年戦略物質として注目され始めた油田が発見されるまでは、ほぼ無視されていた。しかし、民族問題とその石油利権がこんがらがって、南北スーダラに分かれ、悲惨な内戦が起こっていた。

米国国聯大使、サマンサ・オバサ
「南スーダラが民族自決を訴えて、圧政から逃れて独立したのは必然。国聯はその独立を支援すべきです!」

ダイシン帝國国聯大使、花春節。
ちなみに彼女はコーライでの活動が評価され、順当に出世。
国聯大使という重責を担うまでになっていた。
「南スーダラ勢力は、テロリストのローグネーションであり、地下資源を占有するための利益集団でしかありませんわねえ」

こんな調子で、国聯内でも対立。手をこまねいているうちに、悲惨な虐殺事件が頻発するようになる。
平和なニュウヨックでいくら舌戦を交わしていたところで、国聯の無能さが露わになるだけというのは、双方勢力も合意し、スーダラへの平和維持活動軍が派遣される事になった。
主に北スーダラには、ダイシン帝国派閥の国家群が、維持軍を供出し、南スーダラ側には、ツイステ合衆国側の諸国から成る混成軍が派遣されることになった。
しかし、ふざけたことに北スーダラ側にはダイシン帝國本国もちゃんと軍隊を派遣したのに、南スーダラ側にはツイステは自国の軍隊を派遣せず、コーライ・モトヒノ・オパール・カレー共和国などにぶん投げたwww。

国聯維持活動の目的の平和維持のために、国際聯盟スーダラ派遣団の交戦規定には、厳しい制限が加えられていた。
持って行ける装備は軽装備、自衛戦闘に使用できる兵器の制限、スーダラ人同士の戦闘が起きても介入して戦闘を止めることなど不可能な無理ゲーであり、派遣された軍人達のフラストレーションは相当なものであったという。

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モトヒノ軍は先のグンマー戦争で塹壕線突破などと言う戦術思想的で旧態化が著しい90式戦車をすっかり様変わりした現代戦に対応させるための後継機種の開発が全力で進められていた。本流は、他国と同様に戦車同士の戦いに対応できる正統的な主力戦車であり、その系統は後に10式戦車という、まあ妥当な兵器に結実した。一方で、変なことをしないと気が済まないのもモトヒノ人であるw。
正統的な主力戦車であるツイステの無敵戦車M-1が市街戦でヒドイ目に遭ったり、コーライの暴風戦車が歩兵相手に惨敗したという戦訓を元に市街戦を想定した高性能戦闘車両を考案した。
それが、98式多脚戦闘指揮車「レイダー」である。まず、履帯を廃して、6脚の足で機動するようにした。
平地では履帯の戦車には敵わなくても、ジャングルや市街地では多脚式の方が機動性に勝るという判断である。
この世界ではゴーレムという魔導遺物があったため、多脚式への心理的抵抗は低かったし、魔導モーターという発掘技術もあった。
戦車の弱点である、視界の問題も、昨今ドッグイヤーで進歩している魔導センサーや通信管制能力類のモトヒノの最新技術を惜しみなく導入し、対歩兵戦闘には留意し、大口径砲こそ無かったがチェーンガン・機銃などで制圧力を高めた。対戦車には、主力戦車を指揮して共同で当たるという、理論上は実に素晴らしい最新兵器であった。
モトヒノ・スーダラPKO派遣軍には、この先行試作型98式多脚戦闘指揮車「レイダー」が4機投入されていた。
監視任務には、その卓越したセンサー能力・通信管制能力が有用であろうというもくろみもあっての実戦試験配備である。

その日も、モトヒノ陸軍の多脚戦車試験部隊隊長のムクゲ中佐率いるレイダーの小隊は、スーダラのジャングルで監視任務のパトロールに就いていた。
実戦を想定するなら、本来、ジャングル迷彩塗装をされているべき機体は、国聯平和維持軍の規定により、真っ白に塗られ、LN(国聯)の文字が記されていた。
先行する機体が、ジャングルに埋設された対戦車地雷を踏んだ。
戦車の履帯や底部のミッションを損傷させて足を止めるのを目的とした対戦車地雷は、もちろん比較的脆弱な多脚戦車の足を破壊し、擱坐させた。
構造上、地面から本体まで距離のあるコクピット内の搭乗員は無事ではある。
擱坐した僚機を囲んだ残りの機体、皮肉にも優れたセンサーを持つレイダーは、大勢の北スーダラの武装勢力に包囲されつつあることを察知した。
とはいえ歩兵勢力程度であれば、本来、充分なチェーンガンや機銃で武装したレイダーの敵ではない。むしろ戦車が苦手な対歩兵戦闘の為に設計されたのだ。
その能力を十全に発揮すれば、敵性勢力の排除も僚機の救出も難しくはないはずであった。

ムクゲ中佐
「指揮本部へ、レイダー4が触雷し擱坐。敵歩兵勢力に囲まれつつある。交戦許可を。」

ザザというノイズ混じりの音声魔導通信に
「国聯PKO交戦規定により、交戦は許可できない。威嚇射撃のみ許可する。救援部隊を派遣する。」

「!」
ムクゲ中佐は、衝撃を受けた。しかし、宮仕えの悲しさ。
敵歩兵部隊に散発的な威嚇射撃を開始する。
命中弾のない北スーダラの武装勢力は、調子に乗り、次第に大胆になっていく。
ダイシン帝國から流れてきた新型対戦車ミサイルを持ち出した。これはまだ成形炸薬弾頭では無かったが、粘着榴弾の開発には成功しており、未だ複合装甲の開発されていない今世界の装甲車両には実に有効な兵器であった。
脚部や本体にミサイルの直撃を受けて、次々に撃破される。
救出部隊が到着した時に生存していたのは、ムクゲ中佐だけだった…。
彼はこの後に失踪し、モトヒノで映画化決定するような大事件を起こすのだが、それは別の物語である。

ちなみに、同様な目に遭いそうになったコーライ軍やカレー共和国軍は、そんな非現実的な交戦規定などガン無視して、バンバン撃ちまくっていたので、北スーダラの雑多な小火器で武装した武装勢力如きに壊滅的な被害を受けるようなマヌケな事態は起きなかったという…。
そしてコーライ軍は、景気よく弾を撃ちすぎて、補給がショート。
弾をほとんど撃たないモトヒノ軍から、急遽、弾薬を融通してもらうという、現場での麗しい戦友間の交流があったが、現地指揮官がコーライ国会に召喚され、モトヒノに助けて貰うなどとんでもないと更迭されたw。