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第13回北海道肝移植適応研究会

2007年09月23日 | 学会研究会報告
肝移植適応研究会に行ってきました。北大の肝移植を担当している古川教授よりお話しがあり、今回から幹事として参加させていただくことになりました。職場が移動するのでちょっとややこしいですが、これからも頑張りたいと思います。
研究会の方は、肝移植に向けての内科医からの患者さんの検討で、いろいろな場合があることが紹介されていました。
北大での肝移植の登録と実際に受けることができた人の割合、移植を受けられず亡くなる人の状態などが報告されていました。まだまだ、受けたいときにすぐ受けられる環境ではないことがわかりますが、肝癌での肝移植の成績でも5年以上の生存が70%前後となっており、非常に成績がいいことがわかります。

また、2007年6月から肝癌の肝移植について、保険の適応がしっかりと決められて、治療後の状態で肝癌が5cm1個か、3cm3個以内であれば、肝移植前1カ月以内のCTやMRIで診断できる肝癌にて判定し受けられることが確認されました。

肝癌の保険適応が認められて、移植件数がぐっと増えたあと、治療した部位も基準に入れるということになり、移植をしたあとの患者さんが保険がきかない状態にされ、医療機関が査定(保険料を支給されないこと)をうけ何億という赤字になっていました。今回の基準であればクリアされていた患者さんへの移植ストップしていたのです。このことで自己負担を強いられた患者さんもいましたし、移植を断念した患者さんもいたことは新聞等で紹介されているところです。

もちろん、移植をせずに肝臓が正常化する治療がさらに求められていることは間違いありませんが、PBCや自己免疫肝炎など正常化が難しい疾患については、移植が最終的な救済手段であることは依然として変わりません。
ウイルス肝炎である、B型C型肝炎については、ウイルスへの治療が進歩しており肝不全になる時期を遅らせることが出来るようになってきています。しかし、肝癌が増えてくるとやはり移植が可能であればしていく方が生存率がいいと言えます。
まずは、自分たちの持っている肝臓を悪くしないように以下に治癒力を引き出していくか、これが課題であると思います。

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