行ってきました18代目勘三郎襲名披露公演。10日の夜の部です。
なんば駅から松竹座へ向かっていると、何人かに「松竹座はどこですか?」と尋ねられました。たくさんの方が行くんですね。遠方から来られたんでしょうか?
松竹座へ着くと、思った通り人・人・人 昼の部を見終わって劇場から出てくる人と、劇場入りを待つ人とで、ごったがえしていました。
今回の私の座席は3階最後列の右端よりです。ぎりぎりチケットを取れたって感じです。5列目だから真ん中辺りかなと思っていたら、3階席は5列しかないんですね。松竹座の3階席は何回も行ってるはずなのに、今頃気づきました。立ち見まで出ていて、大盛況でした。
さて、いよいよ開演です。劇場はすごい熱気に包まれていました。
①『宮島のだんまり』
宮島の厳島神社を背景に、暗闇の中で大勢の人物が無言で大切な巻物を奪い合うというものです。
傾城浮舟に化けた大盗賊の袈裟太郎に芝翫さん。私にとって久々の芝翫さんです出てこられた時、両脇に仁左右衛門さんと勘三郎さんがいましたが、あの貫禄はさすがでした。
大向こうさんがすぐ近くにいたので、「成駒屋」「松嶋屋」「中村屋」の声も迫力満点で素敵でした。
それにしても、大勢の人物が芝翫さん扮する浮舟が持っている巻物を手に入れようと探り合っている舞台、
「す、すごすぎる…」
秀太郎さんに、福助さん、橋之助さん、翫雀さん、扇雀さん、孝太郎さん、染五郎さん、進之助さん、愛之助さん、勘太郎くん、七之助くん、さらに我當さんに三津五郎さん。さすが襲名披露です。他では絶対見られません。夜の部で一番素晴らしい演目でしたひたすら黙っての探り合い。面白い演出でした。
でも、最後の袈裟太郎の傾城六方(荒事の六方と傾城の八文字、男女の動きをミックスした物)での引っ込みが見られませんでした3階席からは花道はほとんど見えないんです…それが残念でした。
ロビーはたくさんの胡蝶蘭でいっぱいでした。襲名披露に花を添えていました。
②『大津絵道成寺―鴈治郎五変化―』
これは「娘道成寺」に風俗画の大津絵を結びつけた舞踊劇です。大津にある三井寺を舞台に、藤娘、鷹匠、座頭、船頭、鬼と、鴈治郎さんが早変わりで演じられていました。
鴈治郎さんの藤娘は何回も見ていますが、いつも可憐で可愛らしいです他の役者さんの藤娘は見たことがないので、また違った雰囲気なんでしょうね。
しかし、全く違う役を踊り分けるのは、さすがです。
この演目には弁慶役で私の好きな亀鶴さん、矢の根五郎役で翫雀さんが出演されていました。ぼうず頭のお茶目な亀鶴さん。槍奴の言うことに素で笑っていて可愛かったです声はいつもながら立派。惚れ惚れします。しかし、目がいくのは頭見事にピカピカに光っていました。
五郎の翫雀さんは、ちょっと小さくて迫力がなかった気がします。
鳴物では、田中傳左右衛門さんが鼓をうってらっしゃいました。なんだか1月に浅草歌舞伎で見た時よりホッソリされたような。この方の鼓と声にもウットリでした。
③『野田版 研辰の討たれ』
さぁ、いよいよ研辰です
私はこの演目は、すごく楽しみでもあり、不安でもありました。勘三郎さんの型を破った演技は大好評で、歌舞伎を観に劇場へ足を運ぶ人が増えたという点では、素晴らしいと思います。でもなんだか私は納得できずにいて、以前テレビで放送されたニューヨーク凱旋公演「夏祭浪花鏡」も最後まで見られませんでした。そんな不安な気持ちのまま、始まりました。
話は「元は刀の研ぎ屋の守山辰次が、殿様に上手く取り入って侍になったものの、武芸が全くダメなので馬鹿にされ、その仕返しを企てます。ところが、ちょっとこらしめようと思ってやった事が原因で、家老は死んでしまい、辰次は家老の息子2人に追われることとなります。自分が敵で追われる身なのに、「家老の息子2人が自分の敵だ」と嘘をついて、周りを自分の味方につけたりと口が上手い辰次。ついに嘘がばれ、辰次は殺されます。辰次の奔放さが目立ち、大爆笑のお芝居です。その中に家老の息子の、敵を討ったという満足の中に人を殺してしまったという苦悩が残る」という物です。(私なりの解釈がかなり入ってます。)
幕があき、まず影絵から始まったのは意外だったので「おっ!!」と思いました。
でも、その後にドタバタ劇が始まり「う~ん、やっぱり…」と思いましたが、周りの役者さんがしめていたので、めちゃくちゃ脱線はしていませんでした。
勘三郎さんの、お客さんもお芝居に巻き込んでしまう力はさすがですね。私も巻き込まれてしまいました。途中のギャグやギター侍には、私はひいてしまいましたが、最後まで飽きのこないお芝居でした。
廻り舞台の使い方は素晴らしかったと思います。また、「宮島のだんまり」を真似たような暗闇での探り合いや、3階席に辰次(勘三郎さんではないと思いますが)がバタバタッとやってきたりする演出は面白かったです。
私は主役の辰次よりも、染五郎さんが演じていた家老の息子 九市郎の「敵を討ったにも関わらず、人を殺してしまったという苦悩の気持ち」に最後は心を打たれました。
見終わっての感想は、満足はしたけれども大満足までは残念ながらいきませんでした。なんかモヤモヤ感が残っています。人それぞれ感じ方は違いますが、歌舞伎の世界にどっぷり浸かるのが好きな私にとって、研辰のようにドタバタと舞台展開が早い物は、浸りきる前に次々と進んでしまって、お芝居の上辺だけをサラッと見てしまった気分です。
初演よりも良い物をということで、結果的には上演時間が短くなっているそうです。これが今後更にどう変わっていくのか、期待します。
なんば駅から松竹座へ向かっていると、何人かに「松竹座はどこですか?」と尋ねられました。たくさんの方が行くんですね。遠方から来られたんでしょうか?
松竹座へ着くと、思った通り人・人・人 昼の部を見終わって劇場から出てくる人と、劇場入りを待つ人とで、ごったがえしていました。
今回の私の座席は3階最後列の右端よりです。ぎりぎりチケットを取れたって感じです。5列目だから真ん中辺りかなと思っていたら、3階席は5列しかないんですね。松竹座の3階席は何回も行ってるはずなのに、今頃気づきました。立ち見まで出ていて、大盛況でした。
さて、いよいよ開演です。劇場はすごい熱気に包まれていました。
①『宮島のだんまり』
宮島の厳島神社を背景に、暗闇の中で大勢の人物が無言で大切な巻物を奪い合うというものです。
傾城浮舟に化けた大盗賊の袈裟太郎に芝翫さん。私にとって久々の芝翫さんです出てこられた時、両脇に仁左右衛門さんと勘三郎さんがいましたが、あの貫禄はさすがでした。
大向こうさんがすぐ近くにいたので、「成駒屋」「松嶋屋」「中村屋」の声も迫力満点で素敵でした。
それにしても、大勢の人物が芝翫さん扮する浮舟が持っている巻物を手に入れようと探り合っている舞台、
「す、すごすぎる…」
秀太郎さんに、福助さん、橋之助さん、翫雀さん、扇雀さん、孝太郎さん、染五郎さん、進之助さん、愛之助さん、勘太郎くん、七之助くん、さらに我當さんに三津五郎さん。さすが襲名披露です。他では絶対見られません。夜の部で一番素晴らしい演目でしたひたすら黙っての探り合い。面白い演出でした。
でも、最後の袈裟太郎の傾城六方(荒事の六方と傾城の八文字、男女の動きをミックスした物)での引っ込みが見られませんでした3階席からは花道はほとんど見えないんです…それが残念でした。
ロビーはたくさんの胡蝶蘭でいっぱいでした。襲名披露に花を添えていました。
②『大津絵道成寺―鴈治郎五変化―』
これは「娘道成寺」に風俗画の大津絵を結びつけた舞踊劇です。大津にある三井寺を舞台に、藤娘、鷹匠、座頭、船頭、鬼と、鴈治郎さんが早変わりで演じられていました。
鴈治郎さんの藤娘は何回も見ていますが、いつも可憐で可愛らしいです他の役者さんの藤娘は見たことがないので、また違った雰囲気なんでしょうね。
しかし、全く違う役を踊り分けるのは、さすがです。
この演目には弁慶役で私の好きな亀鶴さん、矢の根五郎役で翫雀さんが出演されていました。ぼうず頭のお茶目な亀鶴さん。槍奴の言うことに素で笑っていて可愛かったです声はいつもながら立派。惚れ惚れします。しかし、目がいくのは頭見事にピカピカに光っていました。
五郎の翫雀さんは、ちょっと小さくて迫力がなかった気がします。
鳴物では、田中傳左右衛門さんが鼓をうってらっしゃいました。なんだか1月に浅草歌舞伎で見た時よりホッソリされたような。この方の鼓と声にもウットリでした。
③『野田版 研辰の討たれ』
さぁ、いよいよ研辰です
私はこの演目は、すごく楽しみでもあり、不安でもありました。勘三郎さんの型を破った演技は大好評で、歌舞伎を観に劇場へ足を運ぶ人が増えたという点では、素晴らしいと思います。でもなんだか私は納得できずにいて、以前テレビで放送されたニューヨーク凱旋公演「夏祭浪花鏡」も最後まで見られませんでした。そんな不安な気持ちのまま、始まりました。
話は「元は刀の研ぎ屋の守山辰次が、殿様に上手く取り入って侍になったものの、武芸が全くダメなので馬鹿にされ、その仕返しを企てます。ところが、ちょっとこらしめようと思ってやった事が原因で、家老は死んでしまい、辰次は家老の息子2人に追われることとなります。自分が敵で追われる身なのに、「家老の息子2人が自分の敵だ」と嘘をついて、周りを自分の味方につけたりと口が上手い辰次。ついに嘘がばれ、辰次は殺されます。辰次の奔放さが目立ち、大爆笑のお芝居です。その中に家老の息子の、敵を討ったという満足の中に人を殺してしまったという苦悩が残る」という物です。(私なりの解釈がかなり入ってます。)
幕があき、まず影絵から始まったのは意外だったので「おっ!!」と思いました。
でも、その後にドタバタ劇が始まり「う~ん、やっぱり…」と思いましたが、周りの役者さんがしめていたので、めちゃくちゃ脱線はしていませんでした。
勘三郎さんの、お客さんもお芝居に巻き込んでしまう力はさすがですね。私も巻き込まれてしまいました。途中のギャグやギター侍には、私はひいてしまいましたが、最後まで飽きのこないお芝居でした。
廻り舞台の使い方は素晴らしかったと思います。また、「宮島のだんまり」を真似たような暗闇での探り合いや、3階席に辰次(勘三郎さんではないと思いますが)がバタバタッとやってきたりする演出は面白かったです。
私は主役の辰次よりも、染五郎さんが演じていた家老の息子 九市郎の「敵を討ったにも関わらず、人を殺してしまったという苦悩の気持ち」に最後は心を打たれました。
見終わっての感想は、満足はしたけれども大満足までは残念ながらいきませんでした。なんかモヤモヤ感が残っています。人それぞれ感じ方は違いますが、歌舞伎の世界にどっぷり浸かるのが好きな私にとって、研辰のようにドタバタと舞台展開が早い物は、浸りきる前に次々と進んでしまって、お芝居の上辺だけをサラッと見てしまった気分です。
初演よりも良い物をということで、結果的には上演時間が短くなっているそうです。これが今後更にどう変わっていくのか、期待します。
亀鶴さん、声いいですよね
私も坊主頭に目がいきました。笑
滅多に見られないわ・・・と思い、ついつい
研辰、3階席は勘三郎さんではなかったんですか
私ひとりで感心してました。
すごいな~、早いな~って。
言われてみれば、2階席に降りるの早すぎですよね・・・
この前ちらっとチケット販売の窓口を見たら、立ち見の値段があって、口上だけっていうのもあるんですね。知りませんでした。確か700円だったと思います。
こんにちは。
そもそもの歌舞伎のなかには、人間にとって大切な「情」の世界が描かれているものでしたが・・・時代が進むにつれ、「情」が大切だ、という観念自体が希薄になってきているのかもしれません・・。
オリジナル研辰の書かれたのが大正時代、すでに江戸~明治の作品とは、かなり香りが違っていたような気がします。
S57版を伝統芸能チャンネルで観たときには、人間の孤独感を、もっと、ねっとり感じました。
日本社会での「排除されることへの怖れ」が色濃く描かれていたからかもしれません。
野田版では、「生き死に」の不条理をクローズアップするため?でしょうか、大正のものよりも、さらに、人と人との間の「情」がドライに描かれているので、より、最後の、心情を吐露する家老の息子の言葉が、るみさんの心の深いところに触れたのかもしれませんね~。
うわ、また長いですね。ゴメンナサイ。
コメント、本当にありがとうございます
珊瑚さんのおっしゃるとおり、今回の研辰では「情」があまり感じられなかったのかもしれません。私は「歌舞伎の世界にどっぷり浸かる=情の世界にどっぷり浸かる」まさにこの世界が好きなんです。しかし情を大切にしている作品は、初めて歌舞伎を観る人にはとっつきにくかったり、重かったりするかもしれませんね。私もよく考えたら、最初からどっぷりが好きだったわけではないんです研辰のような分かりやすい、観やすいお芝居を足がかりにして、歌舞伎の世界に入り、そして歌舞伎の奥深さに足を踏み入れ、そして同じ演目を観るたびの新しい発見、違う役者さんが演じた時の型の違いなどなど、歌舞伎の世界にどっぷり浸かって抜けられなくなってるんですよね不思議な世界です。
オリジナル研辰がすごく観たくなりました。
おっしゃるとおり(笑)、です。
少し前までは、そのときそのときで、こういうものが観たい、と思えば、
ジャンルを選ぶように、座組みや、劇場で選んで観ることができたと思うのですが、・・・
今はちょっと、ごっちゃになってるかもしれませんね。
極端なことを言えば、どういう歌舞伎が好きなのか、その役者(ならなんでも)が好きなのか、という部分で見方がどんどん分かれてくることもあるかもしれません(<また、かも・・・^^;
S57オリジナル版に関して言えば、延若さんと、梅玉・東蔵さんがよかったから、いいものと感じたのだと思いますし。
見る側の問題に加え、作品をいいものと感じさせてくれる役者の力もまた問われているのだと思います。
まあ、簡単なことを、むずかしそうにじゃらじゃらと(笑)言ってますが、
今回の研辰は、亀鶴さんが、それぞれのお役で亀鶴さんならでは!、になさっていると感じたので
あの方ならこれぐらいおやりになるだろう、と思いつつも、
それを始終見せてもらう場があっただけで、もう、胸がいっぱいになってしまいました~。
(これを、”イタイ”っていうんですね、きっと。
う、また、長い・・・た、退散します~~(((((
はじめまして、よろしくお願いしますです。m(_ _)m
1個削除してくださいまし。m(_ _)m